インド洋の補給支援活動を振り返る

「時の話題」でも取り上げられましたが、2月6日に補給支援特措法に基づきインド洋で補給支援活動に従事していた海上自衛隊の補給艦「ましゅう」と護衛艦「いかづち」が晴海に帰ってきました。
この機会にインド洋における活動を簡単に振り返ってみたいと思います。

各国海軍が共同して実施するインド洋での海上阻止活動はテロの拡散を抑止あるいは防止し、テロ組織がインド洋を自由に利用することを防ぎ、アフガニスタンの治安・テロ対策、民生安定に寄与し、さらにインド洋における海上交通の安全の確保にもつながる重要な活動です。

原油の約90パーセントを中東に頼る我が国にとって中東から我が国にいたる海上交通路の安全は死活的問題と言えるでしょう。我が国が補給支援を提供してきたことにより、海上阻止活動を行っている各国の艦艇は補給のためにその都度、港に立ち寄る必要はなく、効率的に任務を行うことができました。

我が国がインド洋での支援活動に寄せられた関係する国あるいは国際機関からの感謝あるいは歓迎の辞は我が国の補給支援が国際社会が取り組んでいる「テロとの戦い」に大きく貢献してきたことの表れであろうと思います。
現場においては補給を受けた艦艇から様々な感謝が寄せられました。

補給支援特措法に基づく第100回目の補給を実施する補給艦「ときわ」
相手艦はフランスのフリゲート「ACONIT」(統合幕僚監部提供)

フランスの「ACONIT」の艦橋に掲げられた感謝の横断幕
(統合幕僚監部提供)

さらに、関係する国あるいは国際機関からも感謝、歓迎の言葉が寄せられてきました。
ここにそのいくつかを紹介しておきたいと思います。

・ドイツ外務省イェーガー報道官の発言
ドイツ政府は、日本が再び国際社会のアフガニスタン復興のための努力への支援を強化できるようになったことを歓迎する。
・カナダ ハーパー首相
日本のインド洋での補給支援活動に感謝する.その上で、日本のアフガニスタン復興支援を評価する。
・アフガニスタン カルザイ大統領
日本の力強い寛大な支援に感謝します。特にインド洋の補給支援活動については、評価するし、これからも行っていただきたい。
・インド ムカジー外務大臣
テロとの闘いに向けて日本が断固とした決意をもって貢献しようとしていることを評価する。テロとの闘いはインドにとって最重要課題であり、地域の平和と安定のため、日本を含む国際社会と協力していきたい。
・国際連合 潘基文事務総長
国際部隊への支援活動を再開するという2008年1月の日本政府の決定を歓迎する。この活動は、アフガニスタンの治安部隊とともに、アフガニスタン国民に安全と発展をもたらすための助けとなっている。

(統合幕僚監部提供)

海上自衛隊の補給支援部隊が活動したのは上の地図に示した海域で、日中の気温は40度に、甲板の温度は70度にも達し、湿度は90パーセント、不快指数は80を超え、さらに砂漠からの砂塵に悩まされるという厳しい自然環境の中で、2隻の艦が給油用のホース及び関係するロープなどを繋いだまま40~50メートルの間隔を保ちながら12ノットの速力で1時間から、時には数時間にわたって併走するという高度な操艦技術と忍耐が要求される洋上での補給を派遣された隊員達は実施してきました。

エンジンへの空気取り入れ口に砂塵の対策をする隊員(統合幕僚監部提供)

しかも、このような任務は1回だけのものではなく、補給活動の中心となる補給艦は繰り返し参加し、「はまな」、「とわだ」の両艦は7回のインド洋派遣任務を遂行してきました。護衛に当たる護衛艦でも「いかづち」は4回のインド洋での任務に従事しています。個々の隊員についてはテロ対策特措法と補給支援特措法と連続した記録が確認できませんでしたが、テロ対策特措法に基づく活動の期間だけで6回の派遣任務に当たった隊員があり、補給支援特措法では7次までの派遣で3回、任務に従事した方がおられます。
さまざまな議論の中で、インド洋での支援活動は終了しましたが、これまでに任務に従事してこられた隊員の方々、陰で支えてこられた方々に感謝しつつこの稿を終わりたいと思います。

東京晴海に帰港し、家族と再会する派遣部隊の隊員(海上幕僚監部提供)