「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第3回 一流と二流そして金メダリスト

堀口 紀博

 札幌にはスキーを専門に訓練している部隊があります。冬季オリンピックにも出ている人がいます。そこの隊長の質問「一流選手と二流選手の違いがわかるか?」さて、なんだろう?能力かな?体力かな?彼の答えは「コーチの指導を聞ける者」。なんだそんなことかと思うでしょう。しかし、一人になっても、誰が見ていなくても、やれという事が出来、やるなという事をやらない、これが一流だそうです。例えば、間食を止めろと指示しても、二流は隠れて食べてしまう、一流は決して食べない。二流は何故指示が出ているか、その理由が理解できない。このくらいはいいかと勝手に理由をつけて指示を守れない。
 では、超一流はどうか。自衛隊は人材の豊富なところです。幹部候補生学校の後期課程で出会ったのが1963 年メキシコオリンピック、レスリングフリースタイル、フライ級金メダリストSN さんでした。親しくさせていただき、課業外時間には金メダリストとスパーリングなどをしたものです。彼の筋肉はとても柔らかく、押さえつけられたなら、身動きの取れないものでした。彼から「金メダルを取るために一番必要な事は何かわかるか?」と質問された時、皆様ならどのように答えますか?歴史的に見て、金メダル当然の実力で取れた人の方が少ないのです。予想どうり、実力どうりに取れる人は凄いの何倍も「凄い」のです。さて、答えは「試合に最高のコンデションで望める事だそうです。」当たり前のようですが、その為には、事故にあったらいけません。電車に乗る時は一番前には 乗らない。ホテルではシャンデリアの下などには絶対に行かない。4 年間常にオリンピックのことを考え、練習以外にも不慮の事故等ないように行動したそうです。更に凄いのは、練習の最後は、毎日雨が降ろうと、嵐になろうとカッパを着て10Km のランニング。持続する意志力、体力が必要です。超一流は「考え」も「行動」も「持続力」も凄いものです。オリンピックではそんなアスリートが競っているわけです。金メダルを取ると一年くらいは燃え尽き症候群になるそうです。何もする気力も意欲も湧かないと言ってました。
 そして、4 年後を目指しました。出れば実力上間違いなく勝てたそうです。後少しだったそうです。しかし、名誉だけでは続かない、コップ一杯分の減量が、毎日10Kmのランニングが出来なくなったそうです。モチベーション、それは将来の保証または金銭かもしれません。カールルイスは走る事がお金に変わる事を実証し、長年戦えたわけです。スポーツには色々なモチベーションがあります、しかし、やはり金メダルを取る人は超一流以外には無理なんでしょう。
(了)