「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第10回 思考の3原則(その1:本質的に考える)

堀口 紀博

 「考える」ことは、毎日、いつも、誰でも、やっていることです。しかし、考える(思考)時に、原則があることに気づいている人はいるでしょうか?すべての出来事には「原則」があります。
 そこで今回は思考の3原則(「本質的」「全面的、多面的」「長期的」)について述べてみます。
 仕事とは、商いとは、どういうことであるのか?考えてみましょう。
 商売の本質は、安く作り又は買い、高く売り、利益を得ることです。本質的に考えれば、簡単です。商売の本質はこれに尽きます。
 では、安く作るためには、どうすればよいのか?製品を構成する材料、部品を安く購入すればよい、日本中、世界中から安い部品を購入すればよいことが分かります。
 此処で問題?安ければいいのか?品質の問題があります。求める品質(以上)のものでなければいけません。また、正規品でなければいけません。どこかで盗難に会ったようなものではいけません。単価の多寡のみならず、物流経費、供給時間対応(適時性)、 安定供給も問題になります。増加要求に速やかに答えると同時に、急激な減少要求にも答えられるのか?海外調達の場合は、常に国際情勢、為替変動、品質の維持、安定供給等に更に留意しなければいけません。契約についても、国内とは比べ物にならない注意点が多くあります。

 外国との関係の本質、その一つが「契約」であります。日本人は契約という概念を中々理解できません。キリスト教社会では、契約は人と人との約束ではなく、「人」と「神」との約束であります。契約を破ることは、地獄に落ちてしまうことです。あやふやな事項があってはいけません。契約書が分厚い書類になるのは当然のことであります。結婚式の神前契約は「死が二人を分けるまで、共に愛し合う」のであり、死んでしまったら例え大統領の妻であれ、再婚は自由となります。 日本では契約は、人と人との約束であるので、信頼関係が契約の基本となります。紙に書くことは、信頼していない感じとなり、契約書は1枚(一行)で十分となりがちです。世界は、キリスト教社会ばかりでは無いので、契約についても、日本の基準だけで、判断をすることは出来ません。世界は1つではなく、アジアも1つではありません。

 製造過程では、人件費、工程の難易、部品等の在庫、工場の配置等を考える必要があります。在庫も無ければ無いに越したことはないが、ジャストイン方式では、下請けに時間、数量等の緩衝作用を丸投げしているだけであり、自分だけが良ければ良いと言う強者の論理であり、共に繁栄できる関係とは言えません。人件費は安ければよいとのことで、海外に出ても労務管理の困難さだけでも、大問題です。

 商売の本質、外国との関係の本質について述べました。しかし、もっと分かりやすくいえば、商売はどんな相手であれ、売り方、買い方共に利益を得る「ウインーウインの関係」が本質です。思考の3原則第一「本質的に考える」を、商売をキーワードに考えてみました。

(続く)