「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第12回 思考の3原則(その3:長期的に考える)

堀口 紀博

 日本人のお酒は「生一本」今年できた新酒が一番です。中国は「老酒」欧州では「ウイスキィー」「ワイン」これらは年月をかければかけるほど良い味になるといわれています。ボジョレヌーボーをありがたがるのは日本人くらいです。
 お酒だけの話であれば良いのですが、考え方や行動にもこのことが現れます。長期的観点から物事を考えることは日本人にはとても難しく思えます。不法に占有されている領土問題などは、歴史的な視点から長期的に考えないと解決には至りません。映画、演劇の世界では、多くのものがハッピーエンド、めでたし、めでたし。しかし、日常においてはハッピーエンドの後を考えなければいけません。長い人生が待っています。ハッピーエンドが不幸の始まりでは笑えません。
 現職時代、学生教育の課題に「10 年後の自分について」を書かせました。個人生活を長期的に考えることにより、将来を考えることの重要性を気づかせるためでした。人はカレンダーが無いと3日先のことはイメージできませんが、今日のことしか考えずに生きていては動物とあまり変わりないとの思いもありました。しかし、10 年後をイメージできる人は少なく、何をどのように考えるのか迷っていました。ここに考え方の一方法があります。10 年後を考える時、補助線として、自分の10 年前を考えてみる。10 年前に自分を置いて、10 年後の現在を考えたとき、現在の自分はそのときに想像していたものとは、明らかに違います、違うはずです。10 年間の努力、勉強の積み重ねが今の結果となっているのです。10 年後の自分を大きく変化させるためには、今日一日の努力が大切になります。突然10 年後が現れるわけではありません。今日が10年後に密接に繋がっているのです。「ローマは一日にして成らず」です。仕事においても、今日一日の努力を長期的観点から、倦まずにやり続けることです。
 今売れればよい、後のことはケセラセラとは行きません。「お客を顧客に」しなければいけません。真面目に、素直に、一生懸命が日本人として生きていくのに必要なことであり、騙したり、脅したり、裏切ったりすることは、長続きしません。ここでも「ウイン・ウイン」の関係が生きてきます。
 何故、長期的に考えなければいけないのか?時間は悠久の流れの中にあり人はその中にてひと時すごしている存在に過ぎないといわれます。一時の事柄に拘泥することなく、長い時間の大切さを考えていかなければいけません。
 短絡的に今のことしか考えられないとしたら、今一息ついて「明日はどうなる」と考えてみたらどうでしょうか?「今良いことが明日も良いことか?」問題の解決策はなんらか見つけることが出来るかもしれません。「考える」事と、「迷う」事とは、外見的にはよく似ています。しばしば、「考えている」と言いながら、ただどうしようかと迷っていることがあります。今回、原則その3「長期的に考える」を、迷わずに?説いて見ました。参考になれば顧問冥利です。

(続く)