「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第20回 指導受け

堀口 紀博

 柔道の判定に教育的指導があります。現職時代は上司に相談、決済、合議等の指導を受けたものです。指導受けが大変なのは中々本質的な指導をする上司は少なく、方向違いの指導をする「嫌がらせ」「いじめ」的な人が多くいることでした。以下に指導受けの具体例を示します。日時についての指導受けの場合。「カン違い指導」は、日時の指導なのに、参加人員はどうなっている?隣の部隊との調整は済んでいる?さらに、その方向違いの中身(参加人員の階級構成は?年齢構成は?)に入っていく指導です。「発散指導」は、日時の指導はするのですが、その日は記念日だなー、その記念日は俺が若い頃とても苦労して立派な式典をやったよ、今年の記念日は何をやるんだ、と話が発散していき、全然まとまらない指導です。「瞬間湯沸かし形激怒指導」は、話の途中で何か急激に自分だけ気になることが出没し、あれはどうなっている、これはどうなっていると、関係ないことに囚われてしまい、怒りだすような指導です。何を怒られているのか部下は了解不能になります。「威圧指導」は、静かに話せば分かるのに、妙に大きな声を出したり、指導内容が周囲に分かるように最初からの状況をくどくどと説明させたり、俺はえらいぞと、自分の優秀さを開けさすような指導です。「傍若無人指導」は、何が不満なのか指導受けの書類を机の前に投げ出し、部下が書類を拾っているのを冷たい目で見ている横暴な指導です。これをやられた先輩は投げられた書類を床の上から一枚一枚拾うときの悔しさ、情け無さは一生忘れないと、恨みを残す指導でもあります。「丸投げ指導」は、いいね、君の案どうりで良いよ、でも責任は君が取れよ、との指導です。「金庫入り指導」は、今忙しいから後でね、でもいつまで待っても指導はありません。別名「ブラックホール指導」です。さて、どのような指導が成果を出す事ができるのでしょう。上記の「日時の指導」であれば、選定理由?他の業務等との整合性?等の問題の本質を指導しなければいけません。更に、部下は自分とは異なる人間です。経験、知識等が違います。顔が違います。言葉の定義をしないと共通の場には立てません。「よく考えよ」と言っても、何を考えるのか分からないかもしれません。指導とは、具体的に、相手が分かる日本語を使い、紙に書いてやることです。上司の指導を聞きながらの筆記は、手と目が働いて、頭は働いていない場合が多いのです。こんなことまで分からないのかと思わずに、部下の理解の段階をゆっくりと時速4Km程度で進まなければいけません。上司の速度は部下には時速100kmにも感じるものです。「狭い日本そんなに急いでどこに行く」の表示のように亀の歩みで指導しなければいけません。指導受けの若干の経験を述べましたが、私の指導も上記のような、カン違い、発散指導が多かったのではないかと今更ながら反省をしています。皆様が指導する場合は、指導受けと指導する立場は異なるのでよくよく考えて指導し、楽しい職場を作りましょう。

(続く)