「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第21回 100回会える人

堀口 紀博

 時節柄、喪中の挨拶状が多く届きます。近しい人が段々鬼籍に入って行き、二度と会えなくなります。会おうと思えば会える人も、何時も会っていた人も相互の状況が変化してくると会えなくなっていくものです。「会う」とは、「チラリと見る」「挨拶程度」「話し合う」の3段階あります。「この人と今後何回会えるかな?」と考えると、多分そんなに多くの回数ではない事に気がつきます。現職時代、よく部下に質問していました。「君がこれまでに100 回会えた人が何人いましたか?また今後何人いると思いますか?」部下はたいてい「そんなこと考えたこともありません」と答えました。人生において100 回会える人を数えると、学生時代に机を並べていた同級生、今一緒に生活している家族、同じ職場の同僚ぐらいしかいないのではないでしょうか。職場で毎日会っていた人も異動があると事後ほとんど会わないものでした。親子ですら一緒に過ごす日々は永遠に続くように思いますが、進学・就職で家から離れた途 端、年に数回会えれば良い方です。田舎から出てきた私は、家を出た時から、100 回も親とは会っていないように思います。兄弟、姉妹は言うに及ばず、夫婦ですら、単身赴任になってしまうと、月に1回会えるかどうかになります。年齢を重ねると、今日会えた人とは次の機会は無いかもしれないと思うようになります。友人、知人と会うためには、努力をしなければ会うことが出来ません。近頃私は、会えるときは無理をしても会うようにしようと思ってきました。「茶の湯」の場のみならず、普通の生活においても「一期一会」になってしまうものです。一期一会とは、「一生に一度とか、ただいまこの時のみ」と言う意味ですが、今この場、この時、この出会いを大切にせよという意味だと思います。仕事に於いて会う人も今日で終わりかもしれないと想い、誠心誠意、真心を持って接すれば、売り上げ実績も上がっていくのではないでしょうか。毎日顔を見ている人の数は限られてきます。家族よりも職場の人の方が会える回数は多いと言えます。家族を大切に思い大切にすることは重要ですが、数多く会える人を、毎日でも会えるからとぞんざいに扱うことなく、更に大切に関係を保って行くために、職場環境は皆で良好にしていかなければ、全ての人がとても不幸になります。大切な職場環境を、明るく、楽しく、笑い声が出るようにすることは職場のリーダーの責任です。楽しい職場、明るい職場を作ることは、その場の人々の人生を豊かにします。100 回会える人のことを考えて、「今一番会える」であろう職場の人と家族を大切に思い、仕事を一生懸命やることが、一番幸せなのかもしれません。平凡なところに幸せはあるのでしょう。私は、毎月社長、専務に業務報告をしていますが、入社後今月で43 回目になりました。この報告の回数を、100 回以上にしたいものと思います。師走を迎えるにあたり、人間関係の「会える」を考えてみました。あなたは100 回会える人、何人いますか?

(続く)