「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第26回 大反省の巻

堀口 紀博

 顧問就任以来、社内教育講演を札幌、仙台、東京、千葉、兵庫、名古屋(12/8)で実施してきました。管理者対象の少人数の場合は焦点が定まり易く、「指揮官とは」「管理とは」などの話をしてきましたが、販社の全社員を対象にする場合、何処に焦点を合わせるのが最適か中々困難です。どんな話をしたら良いのか聞きますが、「なんでもいいですよ」「顧問塾の話を」「面白い話を」などと注文されると、どうしたものかと何週間も安眠状態を得られないことがあります。私はパワーポイントを使用していないので、目からの刺激を与えられません。
 校長のとき教育視察に行くと、各教官の教育は美しいパワーポイントを多用し、消化されないほどの情報を次から次へと流していく技法で、学生が理解しているのかどうか、なんら関係がないように感じたものでした。そんな事情を理由に実はIT化されていない自分自身の弁護をしています。「相手の立場をよく考えて」「自分が知っていることは相手も知っていると思うな」「大きな声で分かりやすく」などと教育指導してきましたが、今回の講演で私自身どうも大いなる誤解の元に講演をしてきたのかと反省をさせられました。
 日本人の大半は実は「自衛隊」のことをほとんど知らない。自衛隊としては一生懸命に「広報活動」していると思っていますが、実は、人は知りたいことだけを理解しているので、知らなくても良いこと、知りたくないことは、受け入れようとしません。私自身、陸上自衛隊のことは少し分かりますが、海上、航空自衛隊のことはほとんど分かっていません。自衛隊の組織階級などは国民の常識に近いと思っていましたが、これは日本人の知識の外でありました。これが私の大反省の第一です。
 わが社も国民の皆様に良く知られた存在だと思いますが、十分な広報活動、販売活動を地道に継続していく必要がここにあります。
 プレゼンテーション技術向上の競技会もありますが、常に心がけなければいけないことは、分かっている人によく分かる説明になっていないかということです。販売現場においても、自分と同等以上の知識がある人に説明するのではなく、分からない人にわかる説明(プレゼン)をしなければいけません。私の教育視察でも、教官は本当に一生懸命に説明しています。私には本当によく分かる教育ですが、学生には多分理解できない説明も多くありました。話をすることは、分かってもらうためにするわけです。分かってもらうためには相手の知識・常識の範囲をしっかりと把握して、丁寧に話をしなければいけません。技術者は専門のことを細部に渡り詳細に説明したがりますが相手のわかる日本語で話す技術が大切です。今回の講演の大反省は以上に述べた私も十分に分かっている?事項をしっかり考慮して話せなかったことです。正に「言うは易く、行うは難し」でした。

(続く)