「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第30回 贖罪について(謝りなさい、理由はいいから)

堀口 紀博

 或る時、とても怒っている上司がいました。何をそんなに怒っているのか聞いたところ、部下が約束の時間に遅れた時、「謝らなかった」と言うことでした。
 その部下に問い質したところ、上司にはしっかりと「謝罪」をしたのに、なぜかいまだに怒っていると不満顔です。
 何故このようなことになるのでしょう?部下が謝った内容は以下のようなものです。
1.車で着ましたが、道路が混んでいて遅れました。(道路状況が原因です)
2.電車で来ましたが電車が定刻に来ませんでした。(電車が遅れたのが悪いのです)
3.会議があり、予定通り終わりませんでした。(私は会議時間を決められません、私は悪くはありません。)
 これらの例では、遅れた理由(言い訳)を一生懸命述べています。更に、自分は悪くない、自分以外が原因ですと責任の転嫁を行っています。
 遅れた理由を電車に一車両分述べたとしても、それは謝罪したことにはなりません。相手はそんなことはどうでも良く、遅れたことが問題なのです。
 「時間は守る」のは社会人としての常識であり、道路が混雑しているのは何時もの事で、それを見越して十二分に余裕をもって行動すればよいことです。電車が遅れたのではなく、自分が遅れたのです。社内会議は社内の理由であり、相手にはなんら関係がありません。
 「約束」はたとえ地震が起ころうとも必ず守らなければいけません。
時間も守れないような人とは今後付き合わないし、そんな会社とは取引はしてはいけないと判断されます。
 松下幸之助は株主総会に遅刻した重役に、速やかな会社からの退出を命じたそうです。遅刻した理由は、交通ストがあり電車が動かなかったからでしたが、そんなことを予見することが出来ないことは会社経営を預かる立場の人間としては失格とみなしました。「社長の私でも、ストの情報があったので前日からホテルに宿泊した」のに何を考えているのかと言ったそうです。これは、「謝罪」が出来ない例ですが、それでも土下座をしてでも謝罪をすれば首にはならなかったかもしれません。謝罪とは「私が悪いのです。申し訳ありません」と相手に真摯に詫びることです。どうしても理由を言いたくなります。自分のせいではありませんと言いたいものです。
 相手がどうしたの?と理由を聞いてくれれば、其のとき、さりげなく状況を説明すれば良いことです。
 学生が「だってー私のせいじゃない♡」と可愛く言うのは許せますが、立派な社会人がたくさん理由を述べて、それが謝罪だと思っているのは許されません。
 民主党は政権担当能力が無かったことを国民に謝罪していません。それが今回の参議院選挙での大敗の原因だと思います。
 謝罪は正に罪を謝ることです。出来なかった理由を説明したり、言い訳することではありません。
 敗戦の季節になると、第3国(戦勝国、敗戦国では無い国)にも関わらず、しかも70 年も経っているにも関わらず、隣国はいまだに謝れ、謝れと、声高に言い募ります。日本国の象徴である天皇陛下(憲法第1条)がそれなりの謝罪を表明しているにも関わらず、止まりません。
 こんな隣人と今後も付き合わなければいけない日本も大変です。国際社会では、謝罪すると次は賠償問題になります。金の無い国は、自分が悪いと分かっていても謝ることは出来ないそうです。日本は多大の賠償金をこれまで支払っています。
 我が社の社員の方々にも、謝罪しなければいけないこと が起こるかも知れません。仕事をする限り、生きていく限り、仕方の無いことです。
 そんな時は理由を述べず、言い訳しないで、真摯に謝りましょう。
(続く)