「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第37回 問題解決法

堀口 紀博

 前章では幹部(管理者)教育について、特に「問いを考える力」が必要と述べました。本章では、問題解決法について話してみます。
 問題解決はまず、現状分析を行い、そこから、問題点を描出します。そして問題点「問い」の解決策「答え」を案出する段階を踏みます。現職時代、若い幹部に「自衛隊の問題点は何か?」と問うと
  1. 実員不足(人がいない)
  2. 予算不足(金がない)
  3. 装備品が少ない(ものが無い)
とステレオタイプ(人物金の欠乏)に答えます。
 これは現状分析を行う段階で、小部隊の長か、幕僚である、自分の地位(現実)が分かっておらず、更にその地位で何を組織から、上司から期待されている(役割)か、分かっていない事による間違いです。
 地位が上がり、責任が大きくなってから考えなければいけないことと、現在の目の前の仕事「いつやるの、今でしょう」の現実とのギャップを認識させねばいけません。
 昨年、新入社員に課題「10年後に何をやっているのか?」を与えました。当然予想通りですが、誰が誰に聞いているのかという「問題分析」が出来ていません。
 聞かれている自分(主体)はどんな地位であるのか?「○○グループの新入社員」が主体であらねばいけません。10年後にはどのような役割を担っているのか?想像力、創造力を働かせなければいけません。
 しかし、「褒めてやらねば人は動かず」で、直線的に「問いに答えていない」の一言で彼らの力作を切って捨てたので、後ほど「恨み節」を聞いてしまいました。反省です。
 幹部教育の場で「あなたの長所・短所は」「今後管理者として伸ばしてみたい方向は」等のアンケートとか、部下の勤務評定欄「良好な点・改善を要する点」等があります。
 この時、何処でも、誰にでも、何時でも、あてはまる具体的でない表現は厳に戒めなければいけません。具体的でない戦術は形容詞戦術と言われるものです。「圧倒的に優越した火力、機動力を保持し、敵の機先を制して、これを戦場に補足、撃滅することとする。」
 何処にも具体性はありません。敵の状況(火力・機動力)も分からず、評価基準も示さず、優越しているなどとは言えないはずです。兵站を考えない、「それ行けドンドン」方式は大東亜戦争敗戦で終わりにしなければいけません。
 また、勤務評定では「常に上司の意図を体し、積極果敢に行動しているのは他の範とするものである」故に評価はA。何を言っているのか分かりません。
 具体的とは、今期の成果を出すために行っている準備は何か?それを何時やったのか。部下掌握の為、早朝毎日30分間でホウレンソウ会を欠かさず行い、そこでの情報を他の部署にも自分自ら積極的に水平展開し、その成果は自分の部門のみならず、他の部門にもある。この程度の具体的事象を書かなければ、部下は可哀そうでしょう。
 具体的とは常に数字で表わされるものです。部門の精強性すら数字に変換させることが出来ます。たとえば休暇取得率、無断欠勤率、病気休暇者数等々、自分で評価指標を作り出すことが重要です。

(続く)