「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第43回 教育のあれこれ

堀口 紀博

 教育と訓練を主軸としている自衛隊では新隊員教育から始まり高級幹部教育まで幅広く教育を実施しています。当初、海外支援活動前の教育では、どの様な教育内容が良いのか「何分初めてのことである」ので極めて不安でした。
 海外支援活動派遣後の隊員の所見では、自衛隊の各種課程教育及び日々の教育・訓練が現地において、とても有効であったと報告されました。先人の経験を生かした教育がどんな場面であろうと活用できることが証明された一例です。
 過日、ある会社を再興させた社長の「教育についての記事」を読みました。彼が重視したのは「5S;整理・整頓・清潔・清掃・躾とAF;挨拶・服装」でした。教育内容は具体的でなければいけません。整理・整頓は、水平・垂直・直角・平行で表されます。自衛隊入隊時、生活空間全てはこの基準で整理整頓するよう教育されます。
 机、ベッド、ロッカー等の並び方、朝礼時等の整列状態、また駐車車両ですら、縦横の線は水準器で測ったようにどこから見ても水平・垂直・直角・平行に並んでいます。国連平和維持活動派遣部隊でも車両は全てこの基準で駐車されます。
 駐車状態から見ても日本の自衛隊は世界レベルでの精強さを証明しています。諸外国の将校は駐車状態を見るだけで、自国の至らなさを知ることになります。
 清潔・清掃は朝に晩に自分自身および所属する空間を掃除・洗濯することにより維持します。点検者は真新しい白手袋をはめ、天井の桟やドアの上部を軽く撫でて検査します。少しでも黒くなれば「失格」やり直しです。清潔な空間に住めば、各人の行動、言動もまた清潔、高潔なものになり、悪いことはしない人間になるそうです。
 躾とは、読んで字の如し、心身を美しくすることです。整理・整頓・清掃・清潔を常に考えなくても出来るようにさせることが、考える前に体が動くようにすることが、躾教育です。「習い性」とすることです。朝起きれば歯を磨き、顔を洗うように、考えなくても出来るようにしなければいけません。
 親として、子供に勉強する習慣をつけさせるには、学校から帰れば直ぐに机に向かわせるように強制的に習性・習慣をつけることです。最初は嫌がるかもしれませんが、そのように行動するのだと体に覚えさせれば、強制しておけば、自然・当然に机に向かうようになります。社内教育でも、大人であっても、「やらねばならないことはやらせる」ように強制してさせればよいことです。
 子供の自主性を重んじるとか、新入社員の個性を大事にするとかは、躾教育が完成してからです。優しい親、物分りの良い大人、上司になる必要はありません。社会人として最低常識は強制して習い性とさせなければいけません。
 挨拶はとても重要なことです。西洋では握手をしますが、これは武器を持ってない、害を及ぼさないと互いに証明しあう動作です。敵意を持たないことを具体的に証明する手段です。
 社内で同僚と顔を合わせば、会釈をするか、「やあー」と声を出すことで互いに今日も元気に仕事をしていると、秒以下で互いに確認できます。
 部下および社内での後輩と思える人が自分の顔を見たにも関わらず「無言」「無視」をして通りすぎていけば、また、自分たちの部屋に社長や取締役が入室したにも関わらず、目礼をもしなければ、これは「反乱」です。無礼打ちにしても良いほどの「無礼者」です。果断の処置をされても文句は言えません。
 服装はTPO及び地位職責に応じて適切なものがあります。世の中の常識といささか外れている服装は個人及び会社の品格を貶めます。制服は同じものを与えられますが、長い間には各個人の性格が現れます。物品愛護の精神を常に持っていないと、なんだかだらしの無いものに変化していきます。
 自衛隊でも、会社でも「5S&AF」で表される教育の基本が必要と理解していただければ幸いです。我がフクダグループにおいても5S・AFを体現し、社業のますますの発展を期待したいと思います。

(続く)