「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第48回 教育論

堀口 紀博

 教育は大切だと全ての人は言います。反対する人はいません。2014年ノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイ(17 歳)さんは、受賞講演で1 人の子ども、1 人の教師、1 冊の本、そして1 本のペン、それで世界を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。教育を第一に。
 「One child, one teacher, one pen and one book can change the world. Education is the only solution. Education First.」と訴えました。
 しかし、本の内容が何かと言うことには言及していません。教育には目的があり、何の為の教育か、が重要です。
 次に、教育の場と段階と内容を考えてみます。
教育の場には、家庭教育、学校教育、社内教育等があります。
教育の段階には、初級、中級、上級、高級の区分があります。
教育内容は、人格(人間)教育、技術教育、職業教育等の区分があります。
 人間として生まれてきて最初の教育の場は「家庭教育」です。 家庭教育の要点は「敬」「愛」です。
 敬は父親の役目です。後姿をみてその真似をする(学び)。自分を、家族を他者から守ってくれる盾、拠り所。頼りになる、尊敬される存在です。
 愛は母親の役目です。子供を慈しみ、受容し、無限の許しを与えるものです。
 皇太子殿下の第一子、内親王殿下は「敬宮愛子・としのみや・あいこ」と命名されています。皇室が国民に対し如何に今何が大切かを示されている証左ではないでしょうか。実にありがたいことです。
 また、家庭教育は何が大切か、何をしなければいけないか、何をしてはいけないか等の人間教育の基礎を学ぶ場です。常識を教えます。時代は変わっても人間は変わらないし、家族関係も変わらないはずですが、近年の子供に対する虐待、ネグレクト等の報道を見ると、日本の家庭教育のレベル・質が変化してきたのかもしれません。
 学校教育は知育、徳育、体育が「三大要素」ですが、戦後忘れられかけている徳育が必要だとの声により近頃「道徳教育」の時間が設けられるそうです。体育の時間もありますが、一番は知識を教える知育教育の場になっています。
 知育教育では教育効果の判定が必要となります。評価基準を簡単にしないと多人数を短時間に判定出来ません。問題は○×方式、択一方式をとり、軽易に点数化する必要があります。
 論述方式は読む作業が大変です。少人数の判定ならば可能ですが、費用対効果は悪すぎる傾向があります。更に、採点する側の能力の均一化を図るのが大変です。
 点数化できる問題は必ずは答えがあると言う前提が必要になります。学校教育で答えを見つけ出す能力が磨かれてしまうと、社会に出てから使えない人種が生み出される危険度が増します。何故ならば、社会に出れば答えの無い問題、正解の複数ある問題、解けない問題、解いてはいけない問題まであります。そんな状態に直面すると学校での優秀な人間は迷ってしまいます。
 社内教育では、特に目的を明確にしなければいけません。近年は家庭教育不備の社員も散見され、「常識」までも会社が責任を持ち、教育している状況があります。しかも、教育効果の発現は遅効性です。
 社内教育の初級では即戦力的な教育を短時間に行います。事後は、先輩を教官として継続教育が必要です。人材開発室のみでは人も時間も足りません。
 教育の本質は教官教育です。直属の上司が教官です。そして所属長は最終責任者としての教官です。教育は「時間と金」がかかります。2年や3年で職場放棄させるのは所属長の最大の責任問題です。「会社も個人」も共に不幸になります。
 自分が出来ることを部下に教える。そうすれば部下が上司の代わりに仕事をしてくれます。上司はもっと大きな仕事をする時間がもてることになります。
 何のために社内教育をするのか、上司がもっと大きな仕事をする時間を獲得するために、自分の現在の仕事を部下に任せるためです。売り上げ数字が効果を雄弁に語ることでしょう。

(続く)