「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第51回 教育は投資か 投機か?

堀口 紀博

 情報共有化会議(7月25日)での講演依頼を受けました。教育者と被教育者が共に学ばなければ、教育投資ではなく、教育投機になってしまいます。人材開発室が計画する「情報共有」が現場で役に立つように、被教育者の責任も重大であるので、学習の覚悟を最初にお願いしました。

 マネージャークラスになりますと、年長者の部下を持つことになります。日本では「長幼の序」と言う道徳規範が重んじられます。
 日頃の呼びかけでも注意が必要です。呼称の軽重は「1様、2殿、3君、4は呼び捨て」となります。「陛下、殿下、閣下」は「様」以上の上位の人に用います。自衛隊の将官OB同士では互いに「閣下」を付け「閣下」遊びをしている人もいます。 年長者の部下を持つのも大変ですが、年長者の部下のほうがもっと嫌な思いをしていることも知らなければいけません。部下は貴方をたまたま上司になったと思っています。社内での地位、権利、権力は思慮深く、遠慮深く使う必要があります。年長者を呼び捨てにしてはいけません。
 会議参加者の要望事項に、統率の「極意」とか「コツ」を知りたいと言うのがありました。私は「極意」「コツ」は相手から盗み取るもの、教えて教えきるものではないと思います。例えば、大金持ちの人にどうしたら大金持ちになれますか?と問う様なものです。説明しきれないし、教えて出来るものでもありません。人はそれぞれの個性があります。また、TPOで変化することのほうが多いものです。同じ言葉でも、人によって、場所によって、状況によって部下に与える影響は大いに異なります。
 我々凡人は経験することが一番ですが、個人が多くを経験することは困難です。分からないことは分かっている人に聞くことで解決できます。知っている人をどれだけ沢山知っているかが、「人脈の有無」というものです。
 先人の知恵と経験を知るための方策は本を読むことです。古典を読めば、人間の歴史的重みが分かってくると思います。「日の本に新しきことなし」といいます。どこかで誰かが知っています、書いています。せめて新聞紙(ネットでなく)くらいは毎日読んでもらいたいと思います。
 言うことを聞かない部下、何度も言っているが成長しない部下がいるのが困るとの意見。逆に、分からないことを言う上司だから、部下は言うことを聞かないのかもしれません。どの様な指示、命令を出しているのか、具体的に部下が分かる言葉で、1H5Wを満たしているのかが問題です。「気合いと真心、それ行けドンドン、義理と人情とお中元」では部下は理解出来ません。
 貴方の目前の部下は貴方ではありません。自分に関心がない、興味が無い、利益にならないことは耳に入りません。給料は天から降ってこない、自分が稼ぐという現実を示せば、意思の共通化は図れると思います。分かるまで、成長するまで根気良く、飽きずに、言い続ける「耳タコ作戦」を実践してください。
 ゆとり世代、世代間断絶、新入社員の取り扱いが難しいとの意見もありました。しかし、常に何を考えているのか分かる他人はいません。妻子兄弟等の家族も同床異夢かもしれないのです。
 アルタミラの洞窟にも書かれています「近頃の若い人は分からない」。

(続く)