「ある会社顧問(防衛省元将官)の独り言」
 第52回 水平、垂直、直角、平行

堀口 紀博

 投資をしようと考えるならば、当該会社の受付を見なさいと言うのを以前読んだことがあります。受付嬢の受け答え、受付の状態等を観察することで隆盛を極めることが出来る会社か否かは分かるそうです。

 現職時代に部隊を視察等する機会が多くありましたが、視察等を重ねるに従い、駐屯地に入っただけで、駐屯部隊の精強度が分かって来ました。

 なんとなく分かると言うことではありません。精強度判定は、警営所(受付)の勤務態度、服装、号令・敬礼の美しさであり、駐屯地内の道路、庭園等の清掃の状況、駐屯地駐車場の車両整列状態の確認でも出来ます。更に、勤務中の隊員の室内外での動作・敬礼の確行等を見ることにより、容易に確信できるものです。

 会社内でも部・課内の事務所に入り机の並び方、机上の整理整頓状況、電話の受け答えを見ればその部署の精強度(仕事力)が分かります。

 整理整頓が重要で、常に注意をしていると管理職は言いますが、整理整頓の基準を示さないと、其々個人の不十分な基準に従い、整理整頓が為されていると思ってしまいます。

 整理整頓の基準を具体的に示すと「水平、垂直、直角、平行」で表せます。皆様の周囲を見てください、室内の並んでいる机の線は直線ですか?机と机の間隔は平行でしょうか?机の上の書類は垂直・直角に並んでいますか?床にゴミなど無いでしょうか?

 仕事が終わり帰宅する時は、机の上には書類等は無い状態でしょうか?職場に着いて直ぐに仕事にかかれる様になっていますか?昨日の片付けをしてから今日の仕事が始まる様では、精強な職場とは言えません。

 仕事中も机の上は整理されていますか?整理されていない机の持ち主は、頭の中も「ぐちゃぐちゃ」です。良い仕事が出来るとは思えません。

 個人の家庭においても、玄関を見ればその家のかなりの事柄は分かります。靴やスリッパが直角、平行になっていますか?核家族であるにも関わらず、何人分もの靴、スリッパが散乱しているとすれば、その家庭はかなり「トッチラカッタ」生活をしていることでしょう。

 子供に靴の片づけを教えなければいけませんが、脱ぎっぱなしの自由を教えるのではなく、「靴を片付ける自由」を教えなさいと言います。「整理整頓」する自由もあります。社員の皆様にもこれらの自由を満喫してもらいましょう。自由の幅広さを知ることも楽しいことです。

 校長の時代、部下の総務部長は駐屯地の月末点検の予備検査ではカメラを持って清掃等の確認をしに行き、問題があると写真を撮って隊員に示してやり直しをさせていたものです。

 例えば、砂利が敷かれた校庭には時として小石が混じることがあります。何グラムの石以上は取り除くと言う指示では、正確に伝わらないので、写真を見せることにより隊員に清掃の徹底を図っていました。

 視覚的に分かるようにすれば、清掃の前後でその出来栄え、整理整頓状況は誰にでも直ぐ分かります。

(続く)