みね姉の見た「防人たちの素顔」 その2:確かに「真面目」な自衛官

峯 まゆみ

 衛官と関わることが必然的に増えると、自然、プライベートでも食事に行く自衛官も増えてきます。なぜか仲良くなる自衛官は、2尉から1尉の若手幹部で、私からすると弟というのも憚られるくらいの年齢の自衛官たちなのですが、彼らと一緒に行動していていろいろ感じた事がありますので、そのことについて述べさせていただきます。
 プライベート、と書きましたが、基本的に若手幹部たちはいつも忙しく、特に用事がなければ、土日でもいつも仕事をしています。しかも、朝早くから夜遅くまで。これはたしかに、民間女性との出会いの場などに時間を作って積極的に来なければ、自然と女性と出会って結婚する、なんてとても無理だろうなとつくづく思います。しかも、よしんば出会えたとしても、ちょっとでも連絡が取れないと嫌がる現代の女性では、なかなか関係を続かせるのは困難であろうことは想像に難くありません。
 以前、ある護衛艦の副長から「出会いの場に誘ってあげてください。でないと、ずっと仕事している連中なので」と言われたこともあります。それくらい、いつも彼らは仕事をしています。その言葉を聞いた時に、なんとも切ない気持になりました。彼女もいない中、国を護るという責任を背負って必死に膨大な仕事をしながら、彼らは何に安らぎや楽しみを感じているのだろうか、と、私は勝手に悲愴感を感じてしまったのです。しかし、それは私の思いこみすぎでした。もちろん彼女が欲しいという気持ちはあるには違いないのですが、こちらが切なるくらいに自分の現状を辛いと思っている自衛官は、少なくとも私が知っている中にはいなかったのです。それは、そんなことも考える余裕がないくらい、忙しい、ということも理由の1つではないかと思います。
 昨今、女性から自衛官の人気が高い理由の1つに、真面目で誠実だというイメージがあるからですが、そういう男性が民間人よりもたしかに多いように感じることは多々あります。私が開催するイベントでも、私がプライベートで食事に行く時でも、とても細やかに気を使ってくれる自衛官は少なくありません。その背景には様々な理由があると思われますが、恐らく、1つの大きな理由として、公私に関わらず彼らは常に「自分は自衛官なのだ」という意識を外すことなくそこにいる、という事ではないでしょうか。
 例えば、私が主催するイベントに参加してくれたある若手幹部は、自分は一切飲み食いをせずに、女性の質問に丁寧に答えていたことがありました。あるいは、誰も見ていないから、と小さなズルをするようなことを決してしません。どんな小さなゴミも持ち帰るし、どんなに短い横断歩道で、見通しもよく1台の車もいなければ人っ子一人いなくても、赤信号だと絶対に渡ったりしません。また、一緒に靖国神社に参拝したこともありますが、参拝時のその一礼の美しさに、一見普通の若者でも、確かに彼は自衛官なのだと感じますし、別れる時などは、ほとんどの自衛官は駅の改札まで見送ってくれます。この時に敬礼してくれたり、美しい一礼をしてくれたりと様々ではありますが、そういう姿を見ると心が洗われる思いです。断言しますが、同世代の民間人男性ではとてもお目にかかれない姿でしょう。
 ちなみに、私が思うに、特に海上自衛官は普段女性が少ない(あるいは全くいない)環境に長くいるせいか、女性に対してのふるまい方が特に紳士的で、やや古風な接し方であるように感じます。恐らく、女性に対しての美しい幻想のようなものを辛うじて持っている男性がまだ残っているような、そんな印象を受けることがあります。それは、船乗り特有のものであるのだと思いますが、たしかに何かしら違う感じがします。女性に対してこんなに紳士的に接してくれる男性が、この21世紀の日本にまだいたのか、といつもあります。
 もちろん、全ての自衛官がそうだ、などと言うつもりは毛頭ありません。自衛隊の中にはいろんな人がいるのを、私もよく知っています。しかし、私直接の知っている自衛官の多くは、民間人にとても親切で礼儀正しく、自分の考えをしっかりと持ち、かつ論理的に説明することができて、自分に厳しい人達です。そんな彼らは友人として好ましく、自衛官として尊敬できる人たちです。少なくとも、私が知っている自衛官はそんな人たちです。