みね姉の見た「防人たちの素顔」 その3:自衛官、震災以降のイメージ

峯 まゆみ

 が、自衛官と民間女性の出会いの場というものを企画運営するようになって、私が最もこういう機会を開催して良かった、と思った時がありました。昨年初めて御殿場で開催した時のことです。福島から御殿場の会にわざわざ参加した女性がいたのですが、その時の彼女の参加動機は「どうしても自衛官に直接お礼がいいたい」というもので、私はとても感銘を受けました。じつは、この時開催募集記事の中で「東日本震災で救援活動に従事された陸上自衛官が来られます」という一文を入れていましたので、その記事に目をとめた彼女は、福島からわざわざ御殿場まで来ることを決めたとのことでした。
 当日私は、彼女を参加自衛官に紹介する時に、もちろんそのことを伝えると、彼女は、まっすぐにキラキラとした目で「本当にありがとうございました!」と、正面にいる自衛官に御礼を言いました。…が、その答えに、私はここでも自衛官の生真面目さを目の当たりにしました。「…私が行ったのは陸前高田の方なので、福島には行っていません。その御礼は、福島に行った人に言ってください」と返されたのです。自分ではないので、その御礼を受ける理由がない、というその発言に私は、現代にまだまだ武士の魂のようなものがたしかに残っているように感じたのです。
 さらに、そう返された後の女性の言葉がまた感動的でした。「私たちにとっては、同じことなのです!!場所は関係ないのです。同じように被災した私たちを助けてくれたことに変わりはありません。…あの時、何日もお風呂にも入れず、食べ物もなく、ものすごく不安でいっぱいだった中、駆けつけてくれた自衛隊の車両を見た時、私たちがどんなにうれしかったか、勇気づけられたか分かりますか?!自衛隊には感謝しかありません。どうしても御礼を直接言いたかったのです」と、彼女はまっすぐにそう言いました。それを聞いた自衛官は「そう言ってくれて、本当にありがとうございます」と振り絞るように、ようやく言ってくれました。
 以前も書いたように、ほとんどの自衛官は、私が主催する会に参加するその時まで「自分たちは嫌われている」「自衛官を好きな女性なんているわけがない」という非常にネガティブな思いこみを持っています。そういう方たちに「そんなことないよ」と100回言うよりも、そういう言葉を直接かけてもらう方が彼らにも伝わるし分かってもらえることは間違いないので、こういう機会を作ることができたことに、心から嬉しく思いました。震災の時に派遣された方は、直接現地の方から御礼を言われる機会が増えたものの、まだまだ伝わっていない声の方が多いという事に、歯がゆさを感じずにはいられないのですが、そういう想いを、声をできるだけ多く直接届ける機会を増やしていきたいと考えています。
 同時に、多くの民間女性は、自衛隊に対するイメージだけで好意を持っていることに対して少なからず危惧を覚えています。この東日本大震災は、多くの世の女性に、たしかに自衛隊への好感度をあげるきっかけになっていますが、同時に、勘違いをしている女性も少なくありません。それは多くの女性が自衛官のことを「頼りがいがある男性」という目で見て好感を持っていることです。だから、結婚したいと。この大きな勘違いをしている女性たちを啓蒙すべく、ブログを書いています。曰く「あなたが最も側にいてほしい時、頼りたい時に側にいてもらえないことが自衛官なのです。その事を理解できない女性に自衛官と一緒になる資格はありません」と。甘い幻想を抱いたまま、自衛官とのお付き合いや結婚を望んでほしくない、というのが私の強い想いです。
 私が知る限り、多くの自衛官はとても家族思いで、家族を大事にしています。恐らくそれは、彼ら自身の中に「一番家族が心配な状況下で家族の側にいてあげられない」という想いが根底にあるからであろうと、私は思います。だからこそ、その想いを汲むことができる「銃後の守り」がしっかりとできる女性と、自衛官には一緒になってほしいと強く望んでおり、そういう女性を1人でも多く育てたいと思っています。有事の際には、ただ怯え心配するだけでなく、気丈に家族を護ることができる女性…「永遠の0」に出てくる「松乃」のような女性を再び日本に多く増やしたいのです。
 多くの自衛官は、どこかで、もはやそんな女性はいないのではないか、とあきらめています。以前、自衛官が海外や長期演習に行っている間に他の男性と浮気をする奥様が少なくないと聞いたことがあり、少なからず不愉快な想いになったことがあるのですが、そういう方ではなく、きちんと家庭を守ることができる女性はちゃんといるので、そういう女性と巡りあえることをあきらめないで頂きたいです。逆に、自衛官との出会いを求める女性たちには、ぜひ、憧れるだけでなく「自衛官」が日々どんな思いで任務についているのかを、きちんと理解して頂きたいと願う次第です。