みね姉の見た「防人たちの素顔」 その4:英霊への畏敬の念を持つということ

峯 まゆみ

 が自衛隊との関わりが増えるにつれて、ある機会が増えました。それは、英霊に対する慰霊顕彰の場に参加させてい頂くと言う、大変光栄な機会です。海上自衛隊が人知れず慰霊顕彰を続けていたことを、私はそれまで知りませんでした。いえ、私に限らず、まだまだ民間人では知らない人の方が多いと思います。この事を知ったのは、ある艦のレセプションパーティで隣り合わせた自衛官から聞いたことがきっかけでした。
 私が、英霊への感謝の気持ちというものをもっと日本人は持った方がよいのではないか、というような話をしたのですが、その時に彼が「実は、海上自衛隊では、海外に行く時などで、各海戦の洋上を通る時に、洋上慰霊式を行っています。あまり知られていませんが…」と教えてくれました。その洋上慰霊式において、皆で正装をして弔銃を発射し、花やお供物を海に奉げるのだと聞いた時、私は大きな感動を覚えたと同時に、世間が左傾化して英霊への感謝の念というものが失われつつある中で、海上自衛隊が伝統的に続けているという事実に大きな感謝の念を抱きました。その後運よく、洋上慰霊式に参加させて頂く機会に恵まれ、またそういう記事を目にしては、海上自衛隊に大きな感謝が込み上げ、胸が熱くなります。
 昨年、私がある護衛艦を訪れた時、乗員のある士官が「今年、海外に行く時、今まで一番多く洋上慰霊式を行いました」と話してくれました。この艦の艦長は、私が知る限り最も熱心に慰霊顕彰に取り組まれている自衛官の1人ですから、その方らしいと思いながら聞いていました。一昨年、国際緊急援助活動に参加された時も、現地にある日本兵の荒れ果てた墓地の清掃活動も行われていました。
 また、昨年私がもっとも感動した話の1つなのですが、練習艦隊がガタルカナルに立ち寄った時に、遺骨収集のボランティア団体よりその遺骨を受け取り日本に帰国させてくれたということがありました。これだけでも充分に素晴らしいことなのですが、練習艦隊司令官が、練習艦内に設けた遺骨設置場所を「飲酒可能区域」とされ、入れ替わり立ち替わりその部屋を訪れた実習幹部たちが、英霊と酒を汲み交わすことができるという、とても粋な計らいをされたのだそうです。
 また、かの硫黄島にまつわる話もききました。ここに行く時は必ず日本国内のお水を持って行くことや、LCACで上陸する時は、音がうるさいので必ず接近する前に「島を騒がせて申し訳ございません」とお神酒を捲いてから行うということでした。
 そういう話を知っている上で、自衛官と行動する時に、普段の中でも自然と彼らが英霊に対して敬意を払っていることが、非常によく分かる瞬間を垣間見ることがあります。ある若手海自士官と映画「永遠の0」を見に行く時でした。売店でビールが売ってあるのを見て、その自衛官が「あ、ビールがあるんですね」というので「飲んだらいいじゃない」と言うと、彼は「いえ。今から見る映画を考えると、アルコールはちょっと…」と言ったのです。また、ある若手空自幹部と靖国神社に参拝に行く前に、食事をしてから行くことにしていたのですが、その時もビールに釘付けになっていた彼に飲むことを促すと「いや、靖国神社に酔っぱらって行くわけにはいかないから」と、彼は言いました。この2つは、私にとって非常に大きな感銘をうけた出来事でした。
 また、民間人にとっては「東郷平八郎」や「山本五十六」などは歴史上の人物という感覚なのですが、海上自衛官にとっては「大先輩」だと認識していることも、私にとっては興味深かったです。また、元戦艦伊勢の乗組員だった呉市在住の田部清人氏(90)曰く、「今の若い自衛官は、私などとお店で偶然居合わせると、店員から聞くのでしょうね…ちゃんと挨拶しに来てくれるんですよ。大したものだなぁ、と思いますね」と。これは英霊顕彰と共に、先人に対する敬意の念というものを、若い自衛官がきちんと持ちわせているということの証左だと思いますし、こういう話を聞くと本当にうれしいです。
 翻って、現代の民間男性でこのようなメンタリティを有している若者が、一体どれほどいるのかと思わずにはいられません。同時に、自衛官の中にはこういう若者がまだまだいるということに、大きな感動を覚えます。現代では失われつつある英霊顕彰の気持ちや、先人に対する感謝の念、これらが自衛隊では、きちんと受け継がれていることがわかるにつれ、私の中で自衛隊に対する尊敬の念が深まっていくのです。このあたりの事に関しては、色々と横やりが入ることも多いことと思いますが、支持する人間が多いことを知って頂き、自らに誇りを持って、様々な任務同様に貫き通して頂きたいと願う次第です。