みね姉の見た「防人たちの素顔」 その9:実習幹部生たちのコミュニケーション能力

峯 まゆみ

 日、自身が開催するイベントにおいて、海上自衛隊実習幹部生たち約40名とお話しました。実習幹部生たちとは、3月に江田島にて卒業式を見学させて頂き、国内巡航においてレセプションパーティに参加させて頂いたので、3度目の接点ではありますが、前2回は、実習幹部生たちとゆっくりお話する機会があまりなかったので、今回、ようやくお話することができました。
 様々な実習幹部生たちは、皆、一様に明るく、聡明で意識が高い素晴らしい若者たちでしたが、お話していて特に驚いたのは、彼らのコミュニケーション能力の高さです。私は、以前、コミュニケーションの法則というものを学んだことがあり、それ以来、非常にコミュニケーションに敏感になり、この法則から大きく外れたコミュニケーションとする人との会話に強い違和感を覚えるようになってしまったのですが、彼らは、そんな私が驚くほどに、きちんとしたコミュニケーションをとっていました。正直、23~26歳くらいで、これほどまでにきちんと会話ができる若者は、日本にそうそういないでしょう。
 彼らが女性に質問をする⇒女性が答える⇒答えを受け取った後、その答えに対して興味を持って、次の質問をする…一見何でもない事に見えるかもしれませんが、一般的に、この流れできちんと会話ができている人には、そんなに多くありません。私自身でも、頭で理解していても、この流れにのっとって会話ができない時もあり、反省することが多いです。
 しかし、彼らは、若いながら、あれほど素晴らしいコミュニケーション能力を有していました。その数日後、私は、現在中級課程にいる知人の海上自衛官に「実習幹部生のコミュニケーション能力の高さにとても驚いた」という話をしたところ、彼は、「幹部候補生学校では、わりとコミュニケーションに重きを置いていますから」という答えをもらい、納得しました。
 実際、コミュニケーション能力とは、持って生まれた能力ではなく、ある程度訓練によって培われるものなのですが、通常の生活において、コミュニケーションについてきちんと勉強する機会などはありませんので、知らないまま過ごしていくものです。しかし、実習幹部生は、幹部候補生の時に、コミュニケーション能力を向上させる機会があるわけです。これは、彼らが「船乗り」になるということを考えると、当然のことでしょう。どんな仕事でも日常生活でも、コミュニケーションが極めて重要ですが、洋上において艦艇内生活を共にする場合、事故やミスを引き起こさないために特に重要なのは言うまでもないことです。
 また、艦艇内において、トップダウンの指示で仕事をするのではなく、ボトムアップで仕事をするのだと聞き及びます。部下から上官に対して「~します」と言い、上官が「よろしい」という流れなのだと。それを行うには、常に周囲と適切なコミュニケーションを図り、それを元に自分の考えをまとめて、論理的に伝える、ということが極めて重要になります。だからだと思うのですが、私はいつも、海上自衛官と話をする時が、最も話しをしやすい、コミュニケーションをとりやすい人が多いと感じていました。特に、艦長・副長や艦長職にあった方は顕著です。
 しかし、そういう能力を幹部候補生学校で培い、自然と日常会話でもできるほどに、高いコミュニケーション能力を有している実習幹部生たちに、深い感銘を受けました。どんな話でも、きちんと拾い上げて、会話として成立させることができ、楽しく会話を続けることができる。あれほどまでにコミュニケーション自体を楽しめた時間は、なかなかありません。
 また、コミュニケーションとは、思っている以上に人柄もでます。その日の会話の全てにおいて、不快な感じが微塵もありませんでした。これは、とりもなおさず、その日参加した実習幹部生たちの真面目で明るい性格の表れだと確信しています。練習艦隊司令官も「今年の実習幹部生はとにかくまじめ」と仰っていましたが、その証左でしょう。今後、幹部自衛官として彼らが成長していくことが、非常に楽しみでなりません。
 5月21日に、晴海より半年間の遠洋航海に旅立って行った彼らの、ご安航をお祈りしています。