みね姉の見た「防人たちの素顔」 その16:「現代の将軍たち」に接して

峯 まゆみ

 回までシリーズで取り上げた「艦長」以上に、なかなかお目にかかってお話をする機会がないのが、「将官」ではないでしょうか。昨年から今年にかけて、私は、たまたま陸海空それぞれの「将」「将補」の方々とお話しする機会に恵まれたのですが、その中で将官の方々に見られる凡その共通点に気づきました。もちろん、全ての方とお会いしたわけではありませんし、お会いした方に関してもわずかな時間の中で感じたことですので、あくまでも私個人の感想であるということを明記しておきます。
 結論から言うと、皆さん民間人に対しては非常に楽しく穏やかでフレンドリーであり、イベントなどでも、率先して人を楽しませてくれる方が多く、戦前の厳めしく近寄り難い将軍のイメージとはかけ離れた方が多く、意外に思うことが多いのです。しかし一転して部下に対しては、微に入り細を穿つといった細かく厳しい仕事を求める方が多いようです。この点は当然と言えば当然なのですが、このギャップがだいたいにおいて共通しています。もちろんこの特徴は、将官だけの特徴というわけではないとは思いますが、将官の方々の方がより顕著であるように感じました。
 もう一つの特徴として、記憶力が極めて良い方が多いようです。これは、細かいということに繋がっていると考えます。実際にそう感じたきっかけは、祝賀会食である陸将の方とお会いした時でした。帰りがけに挨拶をすると「みねさんもがんばってください」と言って頂いたのですが、その日は、その方と名刺交換をするための長蛇の列が出来ていたほどなので、ごく短時間しかお話していないにも関わらず、名前を覚えていてくださったことに心底驚きました。また、ある艦の体験航海にお邪魔した際にも、ある将補の方が以前一度しかお会いしていないにもかかわらず、しかもその時もそんなに長くお話していたわけでもなかったのに、遠くにいた私に気づいてくださっていた、ということもあります。このことを若手幹部の方に話すと「確かにいろんなことを細かく覚えている方が多い」と返ってくるので、やはりそうなのでしょう。
 記憶力が良いと言えば、勉強の成績がいいことにも通じると思いますが、将官に推挙される方は、幹部候補生学校における成績優秀者でもある方が比較的多いとも聞きます。これに関して「勉強の成績だけで地位が決まるのか」と誤解している人もいらっしゃるようですが、決してそうではないことは、実際に将官の方々とお会いするとわかります。ある若手幹部曰く「将官の方を『いい人』とわざわざいうのは間違いです。そもそも『いい人』でないとなれませんから」とのことですので、人格的に素晴らしい方であることが前提となっていることが、この事からも伺えます。
 さらに、将来この地位に昇る可能性が高い、幹部候補生学校の首席卒業者などの若手幹部たちは、決して「勉強だけの人間」ではないことがよくわかります。律儀で真面目で本当の意味で頭が良く、聡明ですから、話が心地よく展開していくので会話をしていてとても楽しいです。また、彼らは私のイベントなどでは率先して、参加者を楽しませてくれます。彼らに限らず、私が知る限り多くの自衛官はそうです。
 私が実際にお会いした将官の方々も、様々な形で民間人を「楽しませたい」「喜んで欲しい」という気持ちを表される方たちでした。お仕事では厳しいことが多い方々ですが、我々民間人に対しては、こちらが恐縮するくらい丁寧に接して下さいます。総論としては、全ての自衛官に民間人との接し方を、身をもって示されている方たちなのであろうと感じた次第です。