みね姉の見た「防人たちの素顔」 その18:観艦式に見る若手自衛官の士気

峯 まゆみ

 日、海上自衛隊観艦式に行って参りました。数十隻の艦艇が相模湾を航行するという、世界的に類をみない壮大な観艦式です。大艦隊が自衛艦旗を翻して航行する姿は、実に圧巻で美しく、言葉にならない程感動しました。
 しかし、それとは別に、本番及び予行においても、各艦艇にそれぞれ議員や民間人を乗せて体験航海を行う上に、フリートウィークで一般公開を行った艦艇もありましたし、この期間の乗員さんたちの大変さを想像すると、ただでさえ忙しい日々の中で、多大な準備がされてきたことに感謝しかありません。
 同時に思ったのは、参加艦艇の乗員さんたちは、参加しているが故に、華々しい観艦式の様子を見ることはほとんどないということです。「何度も参加しているけど、モニターでヘリの発着艦の様子しか見たことないです」と笑う方もいました。海自ファンにとっては楽しいばかりの行事で、行けばますます海自の魅力の虜になってしまうものですが、当の自衛官は大変なことばかりで、本来の観艦式の目的でもある「隊員の士気向上」に、実際のところ、どのくらい寄与しているのだろうと疑問に思っていました。
 当事者たちに聞くと、口を揃えて大変だと、当然のごとく返ってきます。艦によってはあからさまにピリピリした雰囲気の所もありました。しかし、大変な中でも、とても気持ちのよい、楽しい接遇をしてくださった艦の方が多かったことに、驚き、感謝します。
 中でも、予行で乗艦させていただいたある艦は、特筆すべきものがありました。一緒に乗艦したある元海上自衛官だった方も、詳細に分析されていましたが、本当に素晴らしかったです。特に、一番若い海士たちの表情の明るさと積極性に、私は好感を持ちました。
 様々な艦艇広報に訪れて思うのですが、とりわけ若い海曹海士を見るとその艦の雰囲気がよくわかるのではないかと思っています。現代の若者たちに対する教育の仕方に、苦労されている話もよく聞き及んでおりますので、彼らの士気が、結局は艦艇全体の士気に反映されているのではないかと考えるからです。
 この日乗艦した艦では、先輩が後輩の面倒を良く見ており、なかなか巧くできない後輩を励ます海士さんの様子や、緊張する新米とおぼしき海士さんに「失敗してもいいから、気合い入れてやれ!」と檄を飛ばすベテラン海曹さんも見られ、どの艦にも必ずいるラッタルの上り下りの所に立っている海士さんは、終始笑顔で声をかけてくれて「嫌々やらされている感じ」は微塵もなく、それは我々が上陸するまで変わる事はありませんでした。ラッタルの所で声かけする海士さんに、笑顔の指導をするベテラン海曹さんの姿も見かけました。また、私が知り合いの乗員さんに会いたい旨を伝え「忙しい中、申し訳ありません」と言ったところ「いえ。こんな時しかなかなか会えないと思いますので」と気持ちよくエスコートしてくださいました。
 今回、艦の内外で若い海曹海士さんたちと話をする機会がわりとあったことは、とても貴重で意味があり、幸運だったと思います。今回、自衛隊ファンやOBさんを集めたオフ会も開催したのですが、ここに参加してくれた若い海曹さんは「こんなに自分たちを慕って応援してくれている人たちがいるんですね。僕、もっとちゃんとしっかりします。仕事もっとがんばろうって思いました!」と言ってくれて、とてもうれしかったです。彼は「観艦式はたしかに大変ですけど、みんなが喜んでくれるとやっぱりうれしいです」とも言っていました。
 若者は、とかく日々の煩雑さの中で自身の仕事の意味や存在価値を見失いがちです。そんな彼らが、少しでも意味をみつけてくれて、仕事に誇りをもってくれることを願ってやみません。大変なことばかりの観艦式ですが、より多くの自衛官にとって、観艦式に参加することは名誉であることと、仕事に対する誇りを育てる大きな機会となることを期待する次第です。