みね姉の見た「防人たちの素顔」 その19:航空自衛隊とそのお仕事

峯 まゆみ

 前も少し書いたことがありますが、多くの方は「航空自衛隊」と聞くと無条件に「戦闘機」や「ブルーインパルス」をイメージすると思います。ですが、これらは当然、航空自衛隊のほんの一部にすぎません。多くは、戦闘機のパイロットでないお仕事の方たちです。ある航空自衛官が話してくれたのは「航空自衛隊は『戦闘機を無事に飛ばす』ということのために、多くの自衛官が支えている」ということでした。つまり、航空自衛隊のお仕事は、民間人の目に触れない部分の方が圧倒的に多く、一般的に最もイメージされる「戦闘機」は、文字通り航空自衛隊の氷山の一角なのです。
 移動警戒隊や移動通信隊の車両など、一見すると陸上自衛隊だと錯覚しそうな部隊がありますし、航空自衛隊内にも施設隊があります。この施設隊は、敵から滑走路を破壊された時に、迅速に復旧させる部隊ですが、わずか3時間で滑走路を復旧させるという実績もあります。このことも、航空自衛隊が「戦闘機を飛ばす」為に多くの人がいることの証左といえます。
 また、航空自衛隊で最も民間人の目に見えないお仕事は、レーダーサイト勤務や、防空指揮所の要撃管制官ではないでしょうか。極めて重要な仕事であるにもかかわらず、その機密ゆえに決して民間人の目に触れることはありません。
 レーダーサイトはその必要性から、離島のさらに離島や、人が立ち入らない山の上に設置されていますが、ここに勤務する自衛官・・・特に、任官したばかりの若者は非常に辛いことでしょう。このレーダーサイトは文字通り現代の「狼煙」であり、ここに勤務する自衛官はまさしく「現代の防人」だと言えます。このレーダーサイトは1年365日1秒たりとも休ませるわけにはいかないので、点検や修理の時に、先ほどの移動警戒隊や移動通信隊がその間、空を見張ります。民間人が知らないところで、絶やすことなく、日本の空が護られている事実を、空を護っている自衛官がいることを、もっと多くの方に知って欲しいと、強く思いました。
 防空指揮所は、海上自衛隊の艦艇でいうCICのような場所ですから、ここも、まず民間人が見学できる場所ではありません。ですが、先日基地祭で、防空指揮所内を模したテント内で、要撃管制官のお仕事を体験する機会に恵まれました。この時、ちょっとした体験だったにもかかわらず、それでも、要撃管制官の任務の緊張感を少しだけ体感することができたことは、本当に貴重な体験をさせて頂けたと思います。また、高射部隊もあります。海上自衛隊のイージス艦が弾道ミサイルを撃ち漏らした時に迎撃する、最後の砦です。
 航空機が配備されていない基地祭では、わかりやすく目玉となる展示がない分、非常に細かい配慮がされていました。その基地に勤務する自衛官は口々に言います。「ウチには、戦闘機がいないから、来てもつまらないよ」と。それは、残念ながら、航空自衛隊ファンの中でも、同様に思っている人がいる事でしょう。しかし、だからこそ、炊事車による炊き出しがあったり、防空指揮所の体験コーナーがあったりと、手作り感いっぱいの、気持ちの籠もった暖かい基地祭でした。知人の若手幹部さんは、休日は方々の陸上自衛隊の記念行事に行き、どんな点に気をつければいいか、どんな施設を用意したらいいのかを見て回った上で、準備をしてこられたのだそうです。彼は、当日も基地内を何往復もして、ゴミを片付けたりして走り回っていました。
 どんなイベントでも、必ずコンセプトがあり、自ずとそれが伝わってきます。この日、私が感じたのは「うちには、戦闘機はいないけど、来た人たちには楽しんで欲しい。自衛隊を少しでも身近に感じて、好きになって欲しい。親しみを感じて欲しい。そして、戦闘機のパイロット以外にも、がんばっている人たちがいて、航空自衛隊には様々な仕事があることを知って欲しい」ということでした。
 戦闘機は確かにかっこいいし、すごい。ブルーインパルスも、素晴らしいです。ですが、その陰に隠れて、支えている様々な職種の方たちがいることを、ぜひとも知って欲しい次第です。