みね姉の見た「防人たちの素顔」 その20:自衛官の婚活事情から見る自衛隊の変化

峯 まゆみ

 衛隊を取り巻く環境の変化、と言う言葉は、最近、様々な記念行事等で必ずと言っていいほど耳にしていますが、対外的な環境の変化はもちろんのこと、最も大きく変化したのは、「自衛官の婚活事情」ではないでしょうか。
 こういった記念行事では必ず祝賀会食があり、その時に自衛隊OBさんや40代後半くらいの現役の方とお話する機会が多くあります。そうすると、どうしても、自身が主催している婚活イベントの話になります。その時に、彼らが必ず口にされるのが「時代は変わりましたね・・・」という言葉です。
 今や、自衛隊の人気はうなぎ登りで、艦艇一般公開でも、マニアではない普通の若い女性たちの姿を多く目にするようになりました。自衛官とのお見合い番組は高い人気で、その番組への参加を申し込む女性は、1,000人を超えていると聞き及びますし、各地で開催されているふれあいパーティにも申し込みが殺到し、毎回抽選が行われている程、「結婚したい相手」として、自衛官がかつてない人気を誇っています。
 この現実を目にして、ベテラン自衛官やOBさん達が冗談交じりに「今の若い後輩たちがうらやましいよ」と笑われます。しかしそれは、今の人気からは、想像もつかないくらい、自衛隊に逆風が吹いていた時代を過ごされてきた彼らのそれは、冗談めかした、本心であろうと思います。これはもちろん、単に「モテたかった」という意味ではありません。
 当時と今の婚活事情の変化をわかりやすく言うと、当時は「超売り手市場」だったのが、現在は「超買い手市場」に変化したのです。当時は、自衛隊にとっては「違憲の存在」「税金泥棒」などと言う方が多く、その時代を耐えて来られた方たちのことは、観艦式における最高指揮官の訓示の中でも語られていた通りです。その時代は、当然のことながら結婚相手を見つけるのにも、大変な苦労をされていた時代でした。ある方は「いい感じになった女性から職業を聞かれると、まず『公務員』と言って、様子を見て、この人なら大丈夫だろうと判断してから、自衛隊だと言っていた」と仰いました。また、当人同士ではうまくいっても女性のご両親に反対されたという話もあります。これだけで、当時の婚活事情の厳しさの一端がお分かりいただけるのではないでしょうか。
 だからなのでしょう、こういう時代を自衛官として過ごして来られた、多くの現役ベテラン自衛官は、後輩の婚活の応援にも熱心であるように感じます。昨今、我が国では男性の「草食化」が嘆かれていますが、若い自衛官でも例外ではないようです。そういう方を積極的に出会いの場に連れだし、うまく行きかけている後輩を心配し、一丸となって応援している姿を良く見かけます。また、艦艇見学付きで婚活イベントを開催した場合も、見学させて頂いた艦の艦長さんもいろいろ気になられるようで、その後の進捗等について訪ねられる事もあります。後輩の婚活にも気を配り、心配して何かと世話を焼くような先輩の存在は、民間企業ではあまり見かけません。こういうところは、自衛隊独特なのではないでしょうか。単に一緒に仕事をしている仲間、というだけでなく、寝食を共にする家族同様の存在だからこそだと思います。
 また、若い自衛官で、婚活に意欲的ではあっても、いざ女性を目の前にすると、真面目で女性と接する機会が少なくて緊張されているからか、出会いの場でも「専守防衛」の姿勢である独身自衛官も少なくありません。時折、私の方から「今日は、専守防衛は忘れて下さいね」と声をかける時もあるのですが、その言葉で勇気を出して女性の連絡先を聞いたことから、交際に発展した自衛官も何人かいらっしゃいます。こういうことからも、少し背中を押してあげる存在が、最近の若い自衛官には必要なのだと感じます。
 自衛官の婚活は、昔とは大きく事情が変わったとはいえ、若い自衛官には草食化の波が押し寄せ、どちらかというと、女性の方が積極的になっていて、その事に驚く自衛官も少なくありません。こういうことからも、時代は大きく変わったと言えるのではないしょうか。