政府・企業等の情報保全の現状と対策
(第32回日本安全保障・危機管理学会セミナー)
保全アナリスト 長谷川 忠
1.活発化を辿る各国の情報収集活動

近年の情報活動の傾向は、サイバー攻撃、スパイ活動とも中国の活動が最も活発で今後更に増加するとして欧米諸国は最大の脅威と警戒しているが、露、米国の活動もまた活発に行われている。露の活動は、他国人に成りすまして活動するイリーガル活動とエージェントの獲得を重視しており、オーストリア人夫婦に成りすまして30年近くスパイ活動を行っていた事例やアイルランドで、露外交官がイリーガル活動のためパスポート偽造に関与したことが明らかになった他、カナダ海軍将校の秘密漏洩事件や米国人企業家らをエージェントとして獲得、ロシア軍や情報機関に供するため10年間にわたり39億円相当の小型電子部品を不正に調達していたことが発覚した。米国の活動は、活発な通信傍受活動のほか中国国家安全部次官のCIAスパイ容疑やロシア治安機関員の獲得容疑が明らかになっている。

2.我が国の保全上の特徴

 各国の情報活動はますます活発化し、我が国に対する保全的脅威は増大化しているがそれは地政学的に脅威から逃れられない宿命的な環境下にあることと国の保全体制・意識が欠落していることに起因している。
 我が国は、地形的に大陸から太平洋に進出する出口を塞ぐ形に位置していることから太平洋進出を狙う中露両国にとって、日本を勢力下に収めることが不可欠となっている。
 1995年、李鵬首相は豪州キーテング首相に「30年後に日本は潰れる」と語り、日中防衛交流を始めた遅浩田元国防相は、2005年の中央軍事委拡大会議で「我々は日本を殲滅し、米国の背骨をへし折らないと発展できない。平和発展の時代は終わった。戦争に備えよ」と反日の急先鋒として軍内に影響力を保持しており、習近平国家主席は軍に対して「戦争に備えよ」と度々訓示している。
 ロシアは、軍備強化計画で軍の近代化をはかっており、2010年にフランスから購入契約した強襲揚陸艦4隻の1番艦を極東に配備するとしている。
 北朝鮮は、対韓工作の一環として対日攻撃は不可欠として弾道弾、核開発の開発や原発テロ計画など、我が国は、三方を安全保障上の脅威を及ぼす国と隣接しており脅威から逃れられない宿命にある。
 また、我が国は秘密保護法を始め各種保全関連法規が欠落し「スパイ天国」の状況が依然として続いているが、この「情報、保全の認識希薄」は島国と農耕民族という民族的特性と共に占領政策、戦後教育の影響「軍事・情報アレルギー」が大きな要因となっている。
 情報収集活動は敵対国のみならず友好国であってもその国が自国の対象国と如何なる関係を結ぼうとしているのか等々、友好国に対しても収集活動を実施するのは当然のことである。
 大英帝国の首相パーマストン卿は「国家に永遠の友なし。あるのは永遠の国益のみ」と語ったように、各国とも国益追求のために、必要国に対しては情報収集活動を行うことは当然で、それに対する「保護は自己責任で行う」というのが世界の常識であるが、我が国は自らの収集努力と保護の双方とも欠落している。

3.保全上の脅威は諜報活動・秘密情報等の窃取のみではない

 保全上の脅威は秘密情報などの窃取する諜報活動のみではなく、相手国を誤判断させる偽情報の流布等の謀略活動、相手国の政策や世論を自国に有利なように誘導する積極工作や個人関係ゲームと称される活動、軍や警察など実力・権力機関に対する転覆活動、国家の重要インフラや軍事施設に対する破壊活動など広範にわたる。
 近年の諜報活動では、サイバー攻撃が急増してその主流になっているかの如き観を呈しているが伝統的なスパイ活動の危険性を軽視してはならない。
 サイバー攻撃と伝統的スパイ活動の保全上の脅威の決定的相違は、その活動事実・成果の「秘匿度」にある。諜報活動を始め各種活動においては「活動成果」「エージェント、潜入工作員等」の秘匿を最重要視する。この秘匿が維持しうる限り成果は永続的に継続する。
 その典型的事例の一つは「ドイツのエニグマ暗号機」に関わる事例である。英国は1941年11月、独エニグマ暗号機の解読に成功し、ドイツのコンベトリー夜間爆撃命令は爆撃の60時間前にチャーチル首相に報告された。しかし、首相は、コンベトリー市民に避難命令を出せば、暗号機の解読事実をドイツに覚られる恐れがあるとして同市民には爆撃に関する情報を伏せたままにした。その結果、同市は甚大な被害を被ったが解読事実を秘匿し続けたことによって、その後の連合軍の戦争指導に計り知れない貢献をしたのみならず、戦後、英国は英連邦加盟国に独、エニグマ暗号機の暗号強度は極めて高いとして強く推奨し、加盟国の動向を1970年代まで完全に掌握していた。

(1)謀略活動(偽情報の流布、積極工作、個人関係ゲーム)
 積極工作は、1982年に日本から米国に亡命したレフチェンコ元KGB員が米国議会証言で 明らかにしたソ連の工作手法であり、相手国から秘密情報を収集するのではなく、相手国の政治家、財界人、学会、ジャーナリスト等の「影響力のある者」や「善意の協力者」を徴募、利用して相手国の政策や世論を自国に有利なように誘導する工作手法である。
 この積極工作と同様な中国の手法は「個人関係ゲーム」と称されるもので、中国政府・要人が相手国の特定の政治家や官僚と個人的関係を築き、彼らを「中国の古い友人」として高く評価し、処遇することによって、相手国内で「中国に食い込んでいる人物」「中国にパイプを持つ人物」として高く評価されるようにバックアップする。こうすることによってこの種政治家等は「中国とのパイプ」が自国内の地位や評判の基礎となることから自分の名声を崩さないようにするため、自ずと中国の要求を実現させようと懸命にならざるを得なくなる。正に、孫子のいう「戦わずして勝つ」手法である。
 これら積極工作と個人関係ゲームの違いは、積極工作は情報機関員によって「影響力ある者」等を協力者として獲得するのに対して、個人関係ゲームは中国政府要人や共産党指導者が相手国政治家を友人として取り込むというという、「より安全・確実性の高い巧妙な手法」を取っている点にある。

(2)潜入、転覆活動(潜入、組織化、抗命、反乱)
 軍や警察など武力、権力機関に対しては内部に潜入して情報収集のみならず同調者を拡大、組織化して緊要時には抗命、反乱を起こしその勢力を味方に寝返りさせる転覆活動が最も効果的であることから武力・権力機関に対する工作で最も重視されている。
 典型的事例は朝鮮戦争前の北朝鮮による韓国軍、警察に対する工作である。北朝鮮は韓国軍、警察の内部崩壊を企図して士官学校生徒、や一般隊員の採用に多数の工作員を応募・潜入させた。これらの実態は開戦直前(1950)まで掴めず潜入者は既に部隊の中核・中佐、少佐にまで昇任していた。そのような中で済州島を占拠したゲリラ討伐に出動を命ぜられた14連隊が麗水港を出港する直前に同連隊に潜入・潜伏した将校ら40名が中核となり反共的な連隊長、将校を射殺して蜂起し、麗水港地区を占拠、順天を占拠した(麗水・順天の反乱、1948.10)。韓国軍はこれを制圧し、その後、粛軍工作を行ったが既に深く浸透した工作員の摘発は進まず、翌1949年には哨戒艇や航空機、38度線を警備していた警備2個大隊など北への寝返りが相次ぎ、韓国軍は兵力を損耗したのみでなく、軍内の疑心安危が増大し韓国軍の戦力は急激に低下した。さらに米国はこれらの反乱事件を見て、かつて中国の国共内戦で多額の軍事援助を与えたが、その国府軍が米国製の武器を持ったまま中共軍に寝返ってしまったことから、中国と同じような事態に至ることを恐れ、韓国軍に対する援助を控えたことが北朝鮮の侵攻を誘発した要因の一つともいわれている。

(3)破壊活動(国家の重要インフラ等の破壊)
 電力特に原発、通信、交通、金融、給水施設、マスコミ等の国家の重要インフラに対する破壊活動は国民生活の基盤を麻痺させ、社会的恐慌、交戦意志の喪失、反戦気運の増大等その影響度、効果が極めて大きく、しかも脆弱点が多いことから攻者にとっては最も行い易く、また「戦わずして勝つ」ことも可能な極めて効果的な手段である。しかも破壊活動は潜入工作員による物理的破壊のみならず、自国内からサイバー攻撃によっても行い得ることから脅威は平時から常に存在していることに注意する必要がある。

(4)中国の戦略超限戦と海外居住中国人にも適用される国防動員法
 「超限戦」は人民解放軍の新戦略で、これからの戦争は「戦争と非戦争、軍事と非軍事のすべての境界がなくなる」「戦争の主体も戦場も手段もあらゆる限界・限定を超えた戦争」であるとして貿易戦、金融戦、新テロ戦、生態戦、心理戦、密輸戦、メディア戦、麻薬戦、ハッカー戦、資源戦、経済援助戦、法律戦等々これらの戦法を組み合わせ無限大の方法で戦うべきであるとしている。そして「犯罪者を相手国に密入国させ、犯罪を多発させ、治安悪化による政府不信、国内混乱を惹起させることや中国人を大量に相手国に帰化させたり、移住させて相手国人と結婚して中国化することも戦いの有効な手段」としており、いま正に上記戦法が現実に行われていることに注意する必要がある。
 国防動員法(2010.7施行)は、あらゆる民間の経済力を後方支援と位置づけ「軍民結合」「全国民参加」「長期準備」(平素から動員準備指示)によって人員と物資をスムーズに徴用するための法律であるが、この法律の問題点は「本法が発令される有事の規定が極めて曖昧なこと」「在中の外国民間企業、社員等も解放軍に協力する義務を生ずる懼れがあること」と、特に大きな問題点は「海外に居住する18歳から60歳の男子、18歳から55歳の女子は所定の国防動員任務を完遂しなければならず、平時には国防動員準備任務を完遂しなければならないと規定していること」である。現在、在日中国人約68万人の約80%は30歳代の反日教育世代である。

4.保全上の脅威の観点から見た我が国の施策の問題点

 近隣諸国は以上のような各種活動・手法をとっているが、問題は我が国自身がこれらの活動・手法を容易にするような施策を施行、あるいは施行しようとしていることが大きな問題で、その一例は次のようなものである。

(1)1千万人移民構想
 日本の人口は50年後に9千万人を下回り、少子高齢化によって労働力が減少することから、「この危機を救う方法は海外からの移民以外にない」「移民の受け入れで日本の活性化を図る移民立国への転換が必要」として「1千万人移民構想」が打ち出されているが、50年後の見積もりそのものが現在の状況が50年間全く変らなない上での見積もりで、しかも「危機を救う方法は移民しかない」(自民党提言)と決めつけており、「先ず、移民ありき」が構想の前提となっている。物は不要になれば輸入を減らせばそれで済むが、労働力が減少化するとして一旦大量の移民を受け入れたら、景気が悪化し外国人が不要になったからといって移民してきた人を軽々に追い返すことは出来ない。
 そして一千万人の移民は何処から来るのかという点である。2012年末の外国人登録は約268万人。うち中国人が約68万人で全体の31%とトップを占め、年々増加傾向にあり、他国を引き離している。
 中国は、1978年の改革開放政策後、国策遂行手段として海外移民を積極的に推し進め、約5千万人の世界最大の移民輸出国となっている。しかも「超限戦」であげているように中国人を大量に相手国に帰化、移住させ、相手国人と結婚して中国化を進めている。現に独立運動で手を焼いているチベットやウイグルに対しては武力弾圧を行う一方、人口約250万人のチベットに対しては漢民族2千万人移住計画(2001年)を、ウイグルでは2020年迄に漢民族を1億人移住させる計画で自ずと中国化する「同化政策」を推進している。

(2)国籍法改正(2008.12)
 結婚の有無に係わらず日本国籍の母親か父親が認知すれば、DNA鑑定なしで日本国籍を与えるというもので、子供をダシにした国籍、永住権の取得を容易にする以外の何物でもない極めて問題の多い法律である。
 外国人同志の子供であっても金を払って日本人男性に認知して貰えば、子供は日本国籍を取得することが可能で、この種偽装認知事件が度々明らかになっている。
 本国籍改正法は、前々回の衆院選直前、各国会議員が地方遊説に戻った隙を狙って自民党の一部改正賛成派が集まって、僅か3時間の審議で採決し成立させたもので、法案提出・採決など本法の改正の不自然さ、疑念が多い。
 また、中国当局は、日本に渡航予定の就学留学生や企業派遣女性に、この法改正を紹介し、「妊娠したら日本人に認知させて、子供を日本国籍にするように」「国籍取得後は子供を中国で養育すること」と指導しているという。
 日本国籍を持ち、中国人の血をひく子供を中国で養育、反日教育と諜報活動に必要な訓練を施して来日させれば、完全無欠の工作員となる。北朝鮮の拉致問題では北朝鮮が工作員を育成するために多くの日本人を拉致したが、この国籍法によって日本自身が中国の工作員を作り出すこととなる。

(3)中国人への異例の観光ビザ緩和、不自然な緩和策決定経緯
 民主党政権は毎年中国人に対する観光ビザ緩和を拡大してきた。2010年7月、発給要件を年収25万元(310万円)から年収6万元(70万円)に大幅に緩和し、身元保証人不要、日本国内を自由に移動出来るようにした。翌2011年4月には、有効期限内なら何度でも入国可能という異例の3年間有効の観光数次ビザの発給を閣議決定し、更に7月には沖縄に最低1泊することを条件に1回につき15日から90日間の滞在を許可。その後は何処に行こうが勝手。2回目以降は沖縄に入る必要はないという沖縄観光ビザの発給を決め、翌2012年には沖縄と同様の東北観光ビザ(最初、岩手、宮城福島の何れかに最低1泊することを条件)緩和を打ち出した。
 これら民主党の矢継ぎ早の一連のビザ緩和策には不透明さが付きまとう。東日本大震災の直後で多くの規制緩和策などが先送りされる中、中国人に対するビザ緩和策だけが閣議決定され、しかも観光数次ビザを発給すること自体が日本で初めての例であり、1回の旅行に90日迄拡大する必要性の有無等々、沖縄や東北3県の支援を名目にした中国人の長期滞在、永住化を容易にする施策といえるものである。

(4)外国人参政権
 外国人に地方参政権問題は、当初は歴史的経緯から永住権を認められた韓国・北朝鮮籍などの特別永住者を対象にしていたが、民主党は一般永住者にまで対象を拡大している。永住者は約91万人、特別永住者(約42万人)は減少化にあるが、一般永住者(約49万人)は、特に中国籍が急増(約14万人)しており、このほか定住者等約10万人の「永住指向」の在留者を加えると約24万人に達する。(平成20年末の状況)
 付与するのは地方参政権のみとしているが、基地問題や有事の際の国民保護、周辺事態、教科書、竹島や対馬、沖縄問題など国政と密接に関連する。特に安全保障政策に直接影響を及ぼすことが懸念される。
 今年8月の与那国市長選挙は、投票率95.48%、自衛隊誘致推進の外間氏が553票を獲得し47票差で当選したが、与那国町長選に限らず、外国人参政権を付与した場合には永住外国人が大挙して住民登録を行い対馬など国境諸島や自衛隊・米軍所在の市町村の選挙を左右することが可能となる。外国人は例え永住者であっても忠誠の対象は日本ではなく国籍のある母国となるのは当然である。

(5)留学生30万人計画
 2008年、文科省は、国際化と海外の優秀な学生の確保を図るとして計画留学生枠を2020年までに10万人(13万7千人)から30万人へと拡大する計画である。
 2012年5月現在の外国人留学生は約13万8千人であるがそのうち中国が約8万6千人で中国が大多数を占めている。その予算は約325億円、30万人に拡大時には約450億円と見込まれている。外国人国費留学生支援には月13~16万円支給のほか、旅費、医療費まで給付され、授業料免除。一方、日本人学生に対する海外留学支援予算は約25億円にすぎない。国際化をうたいながら日本人学生の国際化には、極めて消極的である。
 外国人留学生枠を30万人に拡大してもこれまでの傾向と変らず特定国に偏重する恐れがあり、しかも欧米では、中国人留学生のスパイ活動を警戒する警告が出されている。
 米国における中国人留学生は約32万人。中国の技術情報収集活動は活発化の一途にあり、FBIは中国人留学生が最も危険な対象として警戒し、逆に中国人留学生を獲得して活動の実体解明に努めている。CIAは留学生の8割はスパイと見ている。英国情報機関も「技術系の大学院に留学している中国人学生の学費は国家安全部から支払われ、卒業後も英国に留まって兵器の開発や生産に関係が深く、軍事機密を扱っているハイテク関連企業に就職するよう勧めて技術情報等の入手を図っている」と注意喚起している。

5.安倍政権下で逐次情報、保全体制整備の動き

 今年、安倍政権が誕生し、国家安全保障会議(日本版NSC)の年内発足や「特定秘密保全法案」の検討、立法化を打ち出し、また原子力規制庁が原発作業員の身元調査の法制化の検討を進めるとしているが、早急な実現化を期待したい。また近年活発化している外国資本による土地、離島、森林買収に対しても関連法の整備を研究・検討して行くとしているが、安全保障に関わる土地買収は一旦買収されたらその回復は極めて困難になることから買収規制は一刻の猶予もなく早急に対処する必要がある。
 諸外国は安全保障上の懸念ある土地について外資による買収を阻止、中止させ、事後であっても土地取引を無効に出来る権限を保有している。(米国・包括通商法など)

6.早急に実施すべき適格性確認制度

 各国情報機関は相手国重要部門に潜入することを重視していることから国家、国民の安全に関わる重要な業務に携わる者の適格性確認は不可欠である。保全の第一歩は「不適格者の潜入を未然に排除すること」であり、国家の重要組織の安全性を確保することは国家が為すべき事項であり、それは国民に対する義務でもある。

孫子の五間とそれをその活動を更に容易にしている日本の状況
 孫子の用間扁(スパイ活動)では、因間(敵国人を利用)、内間(敵国の将校、官吏を利用)、反間(敵のスパイを逆用)、死間(味方の工作員の手先)、生間(敵、味方の間を自由に往来)の五つをあげ、敵国人や敵国の将校、官吏を利用するとしているが、現状は、中国人帰化させ日本人として利用することが可能な状況になっている。

純粋の中国人が防大に入校
 2010年、純粋の中国人が防衛大学に入校した。学生の母は中国の名門・清華大学卒業後、東京大学大学院に2歳の子供と夫をおいて私費で留学、専門は建築学で博士号を取得したが、中国に戻らないばかりか、中国人の夫と離婚、熊本市に移住し防衛省と取引のある小さな会社に就職するとともに、中国領事館関係者が取り仕切る結婚斡旋組織との噂される結婚相談所の紹介で日本人と結婚、2003年に子供を中国から呼び寄せて母子ともに日本に帰化した。長年離れていた子供を日本に呼び寄せたにも拘わらず2007年、中学卒業後、少年工科学校に入校させた。同校では極めて優秀な成績であったことから2010年に防衛大学に入校した。中学の友人は地元に名門熊校に行くものと思っていたと語っており、同中学から少工に行くのは異例とのことである。これら一連の経緯から、当初から防衛大学に入校することを意図していたのではとの疑念が付きまとう。母親は現在も翻訳活動で中国との接点を持っており、実父、養祖母とも中国人で中国に居住している。

原発では身元不明者が業務に従事、工作員等の潜入の懸念も
 世界各国で、核テロの危険性が懸念される中、日本の適格性確認制度の欠落や警備体制の不備状態が欧米諸国から指摘され、度々是正勧告を受けてきたにも拘わらず放置してきた結果、福島原発事故収束作業に多数の従業員が「身分を秘匿」したり、「架空名義で原発施設内に立ち入り作業に従事」していた実態が明らかになった。
 元北鮮軍幹部が証言した「北朝鮮の対日原発テロ計画」では、原発施設等に特殊工作員約600人を送り込み自爆テロで同時に爆破するとしているが、このため毎年、現地の協力者や工作員を施設内に潜入させて情報を収集していたことも明らかになっている。
 2012年3月に原子力委員会専門部会が「身元確認制度を導入することを目指し、具体的な制度についての議論を開始すべきだ」と言及したが、日弁連は「個人のプライバシーを侵害する」として導入に反対の声明を発表するなど依然として反対論は根強く、個人のプライバシーを守るためにテロリストの潜入を容易にし、国家、国民をテロの脅威に曝しかねない状況を日本人自身が作り出している状況は極めて異常である。

7.結言

国家の最大の責務は国家利益の追求であり、その目的達成のためにあらゆる手段を講ずるのは国家として当然のことである。それ故、前半において述べた近隣諸国の各種活動、手段、方法が問題なのではなく、日本自身が、近隣諸国の各種活動等を容易にしていることが大きな問題である。冷戦時、米国はソ連を不倶戴天の敵としていた故に日本は防衛努力などをしなくても米国の庇護下に甘んじていられたが、現在の米国の対中姿勢はソ連と異なり経済上の友人(フレンドリー)と軍事上の敵(エネミー)を掛け合わせてフレネミー(友か敵か判別できない)の状態にある。それ故、安保条約においても、米国が自動的に日本を防衛するとは限らない。日本自身の自助努力が不可欠である。
 GRU(ソ連・ロシア軍情報総局)の実態を明らかにした元GRU将校ビクトル・スヴォーロフ氏は著書「GRU―ソ連軍情報本部の内幕」の結びで述べている。「ソ連指導層は力を理解し、承認する。承認するのは力だけであってほかは無視する。ソ連は、地図上でどんなに小さく見えても、一国の主権は尊重している。しかしソ連が敬意を払っているのは、自分の国の主権を大切にし、それを守るのに熱意のある国に対してだけである」それはロシアに変っても聊かも変化はない。
 日本の情報保全上の対策もその根源は安全保障政策の線上にあり、その成否は当然のことながら国家、国民の自身の姿勢・対応にある。