山下塾 第1弾総集編

山下 輝男

防災における国民の役割

 今まで見てきたように、所謂公助には限界がありますので、それを補って安全・安心を確保するためには何を我々は為すべきなのでしょう。
スライドにお示ししているように、自助と共助を強力に推進すると共に、行政との協働と言いますか行政への支援を行うことが肝要でしょう。
このような国民運動が自然発生的に拡がってくれれば有り難いのですが・・・。
 先ず、共助について説明します。
かって日本のコミュニテイィでは隣組もあり地域住民相互の結びつきは極めて強かった筈なのですが、近年では、社会構造の変化もあり、「隣は何する人ぞ」と言われるように結びつきが希薄になりつつあります。

一旦緩急あった場合における隣近所での助け合いをしようとの風潮がなくなってきたのではないでしょうか?遠くの親戚より、近くの他人とも言われるように、何かあった場合に頼りになるのはお隣さんである筈なのです。
「共助」というのは正にそのことです。共助を誰が担うのでしょうか、自主防災組織がその中核なのでしょうが、色々な組織が担っていくことになるのでしょう。
色々なパターンが有って良いのでしょう。
 大災害等の場合における共助の重要性・有効性を示す事例を紹介しましょう。
阪神淡路大震災時の神戸市における人命救助の実態です。要救助者のうち約85%を近隣一般住民が救助しました。
発災直後には、自衛隊も警察も救助に駆けつけることは出来ませんので、近隣住民が救助することが重要なのです。
救命率が極端に低下すると言われる72時間以内、それも早ければ早いほど良いわけですから近隣住民の役割は極めて重要といわざるを得ません。早く救助するほど救助後の生存率が高いといわれています。
 共助は何も実際・具体的な人命救助だけではありません。スライドにお示ししているような事項について助け合うことが可能ではないでしょうか?
これらは、何も特別な技能や能力を必要としている訳ではありません。
誰にでも出来ることですし、これ等を行うことにより、より多くの人命が助かり、多くの人々が安心・安全を得ることができるのです。
 共助の中核が矢張り自主防災組織であることは疑いがありません。非常時における自主防災組織に期待される役割はスライドのようなものです。
②項で、虫の眼情報の重要性と書きましたが、自衛隊等の救助機関が到着した際に、何処に誰それが救助を待っているとの具体的な情報を提供して頂けると、より迅速確実な救助が行なえます。
また⑦にあります通り、所謂災害弱者に対する援助も、お互いの状況を良く知る自主防災組織の重要な役割でしょう。
 これほど重要な役割が期待されている自主防災組織ではありますが、現実はスライドにお示ししているような多くの課題を殆どの自主防災組織が抱えています。然もありなんと思われるのではないかと思います。いざという場合に使い物になるのでしょうか?少なくとも現状においては無理でしょうね。
 自主防災組織が機能した事例を紹介しましょう。参考になるのではないかと思います。
平成16年の新潟中越地震の教訓を踏まえて、地域コミュニテイィ全体で自主防災組織を整備し、災害時要援護者支援を含めた計画を立て訓練をした結果効果が大きかったと言われています。

自主防災組織の原点がここにあるような気がします。災害時要援護者支援のみならず、地域コミュニテイィが抱える共通の問題点を自主防災組織が解決していく過程で地域が活性化し、地域力が増すのでしょう。
 自主防災組織の課題解決の方向としては、スライドにお示ししているようなものがあるでしょう。
特に私が強調したいのは、⑤項です。前のスライドでお示ししましたように、共通の関心の高い課題を地域全体で話し合っていくことが宜しかろうと思います。課題は地域により異なるとは思いますが、スライドのような事項は何処でも課題になるのではないでしょうか?

自主防災組織が防災用の資・器材を購入するとか備蓄するとかのハードに偏りがちではありますが、ソフトの面で何をすべきかを先ず決めるべきでしょう。決めたならば、その為にどのような資・器材が必要か明らかになってくるのではないでしょうか?発想を変えて頂きたいですね。