山下塾第4弾

山下 輝男

第2回 我が国のテロ対策の現状と課題

第2回 講座

 テロの概念等に引き続き、所謂敵の可能行動脅威見積をしてみましょう。

1 最近のテロ事件
 第1回講座を配信後においてもテロ事件が頻発している。

 

2 我が国が直面するテロの脅威
 世界で頻発しているテロは、非常に地域性が高い、欧米諸国がテロとの戦いを鮮明にしていることもあり、欧米の大都市もテロの危険性は高いと云えよう。一方、日本では、テロ組織が活動する土壌が希薄であり、政治的メッセージも乏しく、社会的均質性もあり、一般的にはテロは起きにくいと思われ、ともすれば対岸の火事視しがちである。
 然しながら、起きないという保証はなく、また起きた時の被害の甚大さは途方もないだろう。日本が直面するテロの脅威を列記すれば以下の通りだろう。アルカイーダ系のテロ事件としては、1994年の沖縄南方海上でのフィリピン航空の機内爆発により日本人1名が死亡し、2004年のワールドカップサッカー時にテロを計画したとのアルカイーダ最高幹部の証言もありますし、日本への潜伏実績、度重なる出入国実績もあり、注意を要すると考えるべきでしょう。

 

3 我が国周辺のテロ環境は?
 小生が気にしておりますのは、北朝鮮と中国です。この両国は、各種テロを遂行しうる能力を十分に有しておりますし、且つ意図もあると考えて対応すべきでしょう。

 

4 その他の懸念事項
 テロは日本では起こりにくい、或いは起きない、対岸の火事であると漠然と認識しておられる方が多いのではないでしょうか?
 果たして、そうであると言い切れるでしょうか?
 グローバル化により情報は一瞬にして世界を駆け巡り、IT社会の利便性の負の面であるのでしょうが、テロに係る色々な情報も入手することが、簡単に、誰でも出来るのです。
 特殊なイデオロギーに感化される者も輩出するかもしれません。ボストンマラソン爆弾テロリストは云わばホームグローンテロリストと云ってもいいのではないでしょうか?普通の市民がある日突然テロリストに変貌する可能性もありうるのです。
 日本の治安は良好だし、単一民族で均質な社会だしテロは起きないと言い切れるでしょうか?
 そして、起きないと思われていることが実際に起きるとその被害は極めて甚大ですね。ブラックなスワンは生まれないかも知れませんが、生まれた時の衝撃は如何ばかりでしょう。
 想定外の事態が起こりうるのです。福島第一原発事故から私たちはそういうことを学んだ筈です。原発について言えば、後程触れることになりますが、今回の事故でその脆弱性が露呈し、喫緊の課題として対策を講ずる必要性が叫ばれています。
 また、2020年に行われるオリンピックは万全でしょうか?世界注目のイベントでのテロ事案は絶対に回避すべきですね。今から色々な対策を打つべきでしょう。

 

 以上みてきたように、私共はテロの脅威に直面しているといって過言ではないでしょう。
 これらのことを踏まえて、我が国のテロ対策を見てみましょう。
 次回からテロ対策の現状を概観したいと思います。

お勧め記事: 防衛駐在官と危機管理