山下塾第5弾

山下 輝男

第二話 「統合運用の充実」

 第二話は、統合について考えてみたい。旧軍の組織上の問題点は、陸海軍の対立にあったとも云われている。陸海軍の対立は時に政治問題化し、国家戦略の遂行にも蹉跌を来したといって過言ではない。物資の争奪戦を繰り広げ、統帥の一元化も失敗した。主導権争いの醜い面を露呈した。
 自衛隊発足後は、統合幕僚会議が設置されたものの、議長と3自衛隊幕僚長の合議・調整機関であり、議長は代表権のない会長みたいなものと揶揄もされた。
 然しながら、時代はそれを許さなくなり、平成18(2006)年、待望の統合幕僚監部の設置と統合幕僚長の誕生と云う時代に即した統合運用体制が誕生した。本話ではその経緯を振り返り、現状とより良き統合を目指してどのような努力が為されているか等を説明したい。
 そして、内局運用企画局の廃止も計画されており、本格的な軍令と軍政の分離が為される状況となりつつある。

 目次
1 統合の概念
2 列国の状況等
3 統合運用の必要性等
4 統合の難しさ:陸海空自衛隊の組織文化
5 統合運用強化への整備状況
5 運用体制の変化
6 統合幕僚監部の組織等
7 自衛隊の運用形態
8 統合運用の具体例(実JTFを含む)
9 より良き統合を目指して!



1 統合(Joint)とは  

 防衛用語辞典によれば、「(統合とは、)同一国家に属する2以上の軍種またはそれらの部隊等が、ある特定の目的達成のために努力することをいう。この際、指揮関係により単一指揮関係による場合と、そうではない場合(協同という)とがあり、広義では両者を、教義では前者のみを指す」とされている。


2 列国の状況等

(1)諸外国における統合の潮流
 軍事作戦は、複雑・高度化しており、軍種を超えて緊密に連携することの重要性は、WWⅡの頃から理解されていた。米・英は特にその歴史は古いが、統合が大きく進展したのは、特に冷戦後のことである。
 冷戦の終結に伴い、圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙の構造は消滅したことから、諸外国はそれまで行ってきた「明確な脅威に対する軍事力の整備」という目標を失い、保持してきた軍事力を削減する動きが世界的に広がっていった。これに伴い、特に欧米各国では、国防費の削減などが進んだが、一方で、その後に訪れた民族問題や大量破壊兵器の拡散などの急激な国際環境の変化とテロリズムをはじめとする多様な事態の生起により、軍事力には新たな役割が期待されることとなった。このような環境の変化に対応するため、各国は軍事力の再編成を進めるとともに、国防省などの組織改編、軍隊の統合化を図り、また、軍事力の変革のため国防費も増加傾向に戻すなど、軍事力の維持と多様な事態に対応するための態勢を整えることとなっていった。
 さらに、いち早く統合を進めていた米軍の湾岸戦争における圧倒的な勝利は、統合の有効性を証明する結果となり、各国は統合司令部を創設するなど、最近は特に統合運用の分野での態勢整備を進めてきている。米国においては、1986年に統合参謀本部議長の権限強化を行い、英国は1998年に常設統合司令部を設置している。

(2)諸外国における統合運用の状況
 諸外国における統合の形態は、その国の歴史、文化、国民性などにより千差万別であり、それぞれの国は国情に応じて独自の形態を築き上げている。中でも、実際に部隊を運用するための統合運用の態勢は、その国の置かれている状況、軍事力に期待される任務や役割などに応じて様々な態勢が存在している。例えば、統合が進んでいると言われる米国は、陸・海・空・海兵の各軍を平時から統合軍として保持している。これに対して英国などは、平時は統合司令部のみを保持し、必要に応じて統合軍を編成して運用するという形態をとっている。このように、各国の統合運用の形態は様々であり、「これが最良の態勢である」と一般的にいえるようなものは存在しない。統合運用態勢を整備する上で最も重要なことは、その態勢が国情に適し、軍事力を最も迅速かつ効果的に運用し得るものであるということであり、決してどこかの国の態勢をそのまま導入すればよいというものではない。さらには、各国の統合運用態勢は幾多の試行錯誤を繰り返しながら整備されてきたものであり、一度に現在の態勢が整備されたものではない。
 統合の強化の議論の際に、陸海空に分けることなく統合自衛隊にすればいいのではないかとの議論も行われている。所謂一軍制の関する論議です。カナダは、一軍制を採用した。一軍制は、メリットもあるが、運用効率が下がり、兵隊の士気低下もあり、従前の3軍種を保持しつつ、作戦上の統合部隊としての統合作戦軍、海外派遣軍、特殊作戦軍が設置している。

 統合運用は、制度的・組織的に統合することではなく、異なる機能や能力を持つ軍種、部隊の「機能や能力を統合」することであり、そのことに各国とも腐心している。


3 統合運用の必要性等

(1)陸・海・空自衛隊の一体的運用による迅速かつ効果的な対応
 ① 自衛隊の有機的な連携
 わが国に対する侵略事態などに対処する場合、各自衛隊は、同一の作戦地域において立体的な展開や迅速な機動を行うにもかかわらず、従前の運用態勢では、各自衛隊がそれぞれの作戦構想に基づいて個別に行動し、必要に応じて統合調整を行って対処することとなっている。このような態勢は、迅速性、適時性の観点から問題があり、平素から、統合の視点から企画・立案した作戦構想に基づいて、自衛隊が有機的に連携し、迅速かつ効果的に任務を遂行し得る統合運用の態勢を確立しておくことが必要である。

 ② 進展する軍事科学技術の活用
 陸・海・空自衛隊が一体となり、迅速かつ効果的に任務を遂行するためには、各自衛隊が情報を同時に共有し、かつ一元的な指揮を行うことが必要不可欠である。軍事科学技術の進展、特に情報通信技術の進歩は、これらを可能にするばかりでなく、作戦の進展速度を増大させるとともに、作戦を複雑化させている。
 このような作戦環境下においては、情報通信技術を駆使し得るか否かが作戦の成否を左右することとなり、自衛隊の運用にあたって進展する軍事科学技術を最大限に活用するためにも、統合運用の態勢を整備することが必要である。

(2)軍事専門的見地からの大臣の補佐の一元化
 自衛隊の運用に際しては、内部部局が主として政策的見地から、各幕僚長と統幕がとして軍事専門的見地から、自衛隊に対する長官の指揮監督を補佐してきた。
 従前の運用態勢では、各幕僚長と統幕がそれぞれの軍事専門的見地から長官を補佐するため、場合によっては、異なる状況認識と作戦方針に基づいて長官を補佐する者が複数存在することも考えられ、迅速かつ効果的な事態対処に支障を来たすおそれがある。
 このような問題点を解消し、内部部局の行う政策的見地からの補佐との密接な連携を保持する観点からも、あらゆる事態への対処に際し、軍事専門的見地からの補佐を一元化することが必要である。

(3)日米安全保障体制の実効性の向上
 日米安保体制を基調としているわが国にとって、自衛隊と米軍との連携は重要であり、米軍との共同作戦を円滑に行うことによりその実効性をさらに向上させることが求められている。
 しかし、現行の運用態勢では、自衛隊が統合軍である米軍と共同作戦を実施する場合、米軍が1人の指揮官の下、4軍が同一の作戦構想の下で行動するのに対し、自衛隊の行動は、各自衛隊がそれぞれの作戦構想に基づいて個別に行動し、必要に応じて統合調整を行って対処することとなっている。
 このため、自衛隊の運用の態勢を統合運用の態勢とし、自衛隊と米軍がそれぞれ統合の視点から企画・立案した作戦構想に基づき共同して対処し得る態勢を構築することが必要である。


4 統合の難しさ:陸海空自衛隊の組織文化

 必要性はある程度理解しても、実際に統合を進めるとなると、各軍種の思惑や各軍種の組織文化の差異等があって、思うように進展しなかった。自衛隊に限らず、列国でも同様である。
 陸海空自衛隊は、その発足の経緯の違いもあり、旧軍との距離感の遠近もあり、各自衛隊幹部の主体が同じ釜の飯を食べた防衛大学校出身者であっても、組織文化や考え方に差異がある。
 有名な評言に次のようなものがあるが、ある一面の真理かも知れない。
  (・内局 優柔不断・本末転倒)
   ・陸: 用意周到・動脈硬化
   ・海: 伝統墨守・唯我独尊
   ・空: 勇猛果敢・支離滅裂
   ・統幕:高位高官・権限皆無
 このような異なる組織文化を有する組織の統合は容易ではない。
 また、組織としての主導権の争奪戦みたいな側面もあり、限られた防衛予算の配分を巡る戦いもあって、容易ではなく、陸海空が競合することが主導権を強めようとする内局にとって、好ましい状況であったし、結果的に陸海空が内局に踊らされたと評する人もいる。


5 統合運用強化への整備状況

 統合運用の必要性は、自衛隊においても、理解されていたものの、その整備は遅々として進展しなかった。その状況は下のとおりである。

・昭和29(1954)年:統合幕僚会議及び統合幕僚会議事務局設置
(議長以下幹部自衛官20名、曹士4名、職員13名:合計37名)
・昭和36(1961)年:統合幕僚会議(議長)の権限強化(出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本に関する事項、統合部隊の指揮、長官の命令執行に関する事項)統合幕僚学校開設
・平成9(1997)年:情報本部新設
・平成10(1998)年:出動時以外における権限強化 (出動時以外にも統合調整)
・平成15(2003)年:統合運用を基本とした長官補佐機構設置
・平成18(2006)年:統合幕僚会議及び統合幕僚会議事務局廃止、統合幕僚監部新設、情報本部長官直轄化

 2006年の統合幕僚監部新設以前においても、2つ以上の軍種による“統合部隊”を編成し、統合幕僚会議議長が指揮することが可能とされていたが、実際に編成された事例はない。今般の統合運用体制の改革は、自衛隊創設以来の改革といっても良い。


5 運用体制の変化

 運用体制の変化を図示すれば以下の通りである。

(平成18年度末の体制)
 統合幕僚長と陸海空幕僚長の関係については次図のようになっている。


6 統合幕僚監部の組織

(為念:統幕最先任が設置されている。)

 統合幕僚監部の設置後の組織改編状況等
・ 19年 3月防衛計画部計画課に「統合装備体系班」新設
・ 20年 3月指揮通信システム部指揮通信システム運用課「中央指揮所管理運営室」、「防衛情報指揮通信基盤管理運営室」及び「サイバー防護保全班」廃止、 共同の部隊「自衛隊指揮通信システム隊」新設
・ 21年 8月運用部運用第1課に「カウンターインテリジェンス室」新設
・ 22年 3月指揮通信システム部指揮通信システム企画課に「指揮通信システム調達班」新設、統合幕僚学校に「国際平和協力センター」新設


7 自衛隊の運用形態

 単一自衛隊を運用する場合であろうと、2以上の自衛隊を統合運用する場合であろうとも、統合幕僚長が一元的に大臣を補佐する。


8 統合運用の具体例

 統合幕僚監部作成の資料に掲載されている統合運用の具体例は次の通りである。
(1)BMD対処



 ① 平成21(2009)年4月に北朝鮮によるミサイル発射実験に際してのBMD統合任務部隊が編成された。これは、初めて編成されたJTFである。3月27日の「弾道ミサイル等に対する破壊措置の実施に関する自衛隊行動命令」により編成された。ミサイル防衛を任務として航空総隊司令官を指揮官とし、航空自衛隊の警戒部隊、地対空ミサイル部隊のほか、海上自衛隊のイージス艦部隊も指揮下におさめた。4月6日の終結命令により解散した。

 ② 平成24(2012)年3月30日に、北朝鮮によるミサイル発射実験の予告を受けて、国会内で開かれた安全保障会議で自衛隊に対する破壊措置命令が発出され、再び航空総隊司令官を指揮官とするBMD統合任務部隊が編成された。4月16日までの間、破壊措置活動を行うとし、石垣島や宮古島を中心に展開していたが、4月13日の発射失敗を北朝鮮が報じたことから統合任務部隊は即日解散した。


(2)大規模震災対処


 ① 東日本大震災災害派遣(JTF-TH)
 自衛隊において、最大規模のJTFとなったのが、東日本大震災(平成23(2011)年3月11日発災)への災害派遣に際して編成された”災統合任務部隊”である。3月14日の防衛大臣の命令(自行災命第6号)により、東北方面総監の指揮下に各方面隊・中央即応集団・自衛艦隊・航空総隊などから部隊が集められた。東北方面総監指揮下であったことから、災統合任務部隊-東北(Joint Task Force-TOHOKU,JTF-TH)と名付けられた。司令部は、東北方面総監部を増強して運用した。初の三自衛隊が組み入れられたJTFであり、災害派遣された各自衛隊の部隊は陸災部隊・海災部隊・空災部隊としてJTF-TH指揮下に入った。陸災部隊は東北方面総監が指揮を取り、海災部隊は、横須賀地方総監、空災部隊は同様に航空総隊司令官が指揮を取った。また、司令部にはアメリカ軍のトモダチ作戦との調整のため、日米調整所も設置された。JTF-THは災害支援規模の縮小に伴い、7月1日に大臣命令(自行災命第11号)により、解組した。
 また、福島第一原子力発電所事故の原子力災害派遣に際して、3月17日の防衛大臣の命令(自行災命第8号)により、JTFとしての原子力災派部隊が編成されている。これはJTF-THとは別個の部隊であり、中央即応集団司令官を指揮官に、中央特殊武器防護隊のほか、海空の支援部隊を組み入れている。こちらは、8月31日の大臣命令により、解組した。

 ② 平成25年台風第26号災害派遣においても伊豆大島災統合任務部隊(通称・JTF-椿)が編成され、陸自東部方面総監が指揮した。


(3)国際緊急援助活動
  スマトラの事例のように協同で対処する場合と国際緊急援助統合任務部隊を編成して対処する場合がある。
 ① 協同対処


 ② 統合任務部隊により対処:平成25年台風第30号災害派遣(国際緊急援助統合任務部隊)
 平成25(2013)年11月4日に発生した平成25年台風第30号により甚大な被害を被ったフィリピン共和国の復興のため、防衛省は「国際緊急援助活動の実施に関する自衛隊行動命令」を11月12日に発令した。11月15日には同援助隊の活動を強化するため、同命令の一部を変更する行動命令を発出、派遣部隊を、防衛大臣直轄のフィリピン現地運用調整所と、自衛艦隊司令官の隷下に置かれるフィリピン国際緊急援助統合任務部隊の2部隊に再編成し、派遣部隊の定員を約50名から約1,180名に増員し、主要装備について、KC-767空中給油・輸送機2機、C-130H輸送機7機、U-4多用途支援機1機、CH-47輸送ヘリコプター及びUH-1多用途ヘリコプ ター各3機、輸送艦、護衛艦及び補給艦の計3隻を派遣し、医療活動等に加えて、防疫活動及び現地における救援物資等輸送を新たに任務にするとした。2013(H25)年12月13日に発令された終結命令に基づき、任務を完了した。


9 より良き統合を目指して!

(1)統合運用に適する陸上自衛隊の体制整備
 自衛隊に対する大臣の指揮は統合幕僚長を通じて行われ、大臣命令は統幕長が執行することとなる。海上自衛隊には実働部隊を指揮する自衛艦隊司令部があり、航空自衛隊には航空総隊司令部があり、統幕長の海空部隊に対する指揮は、単純明確であったが、陸上自衛隊には5つの方面総監部が並立しており、一元的に実働部隊を指揮するには支障があった。統合幕僚長が陸上自衛隊に命令を下す場合は方面隊ごとに調整する必要があり非効率と指摘されていた。平成16(2004)年の「防衛計画の大綱」でも陸上総隊新設が検討されたが、この時は見送られた。
 今般の新大綱においては、『統合運用のもと、部隊の迅速・柔軟な全国的運用を可能とするため、各方面総監部の指揮・管理機能を効率化・合理化するとともに、一部の方面総監部の機能を見直し、陸上総隊を新編する。これにともない、中央即応集団を廃止し、その隷下部隊を陸上総隊に編入する。』とされ、陸上総隊が創設されることとなり、陸海空自衛隊に対する指揮命令系統の平仄が合うこととなった。下図を見て頂きたいが、随分とすっきりした形になる。

(防衛白書平成26年度版から)


(2)大臣に対する運用面の補佐機能の一元化について
 平成18(2006)年の統合幕僚監部の設置等は、いわば制服間の権限役割の再調整という側面が強く、内局との運用の基本に関する役割分担等についてまでは踏み込んでおらず、将来的な検討課題とされた。
 平成18年の統合幕僚監部等の新設後検討が進められていた防衛省中央組織の見直しが固まった。防衛参事官は、命を受けて、防衛省の所掌事務に関する基本的方針の策定について防衛大臣を補佐することとなっており、所謂文官統制の象徴とも云われていた。平成21(2009)年、防衛参事官を廃止することが盛り込まれ、平成21(2009)年8月1日に施行された。
 然しながら、その後も依然として内局運用企画局が存続し、運用や行動の基本について大臣を補佐することとなっていた。平成25(2013)年、文民統制の象徴とされてきた官僚による運用企画局を廃止し、自衛隊運用を幹部自衛官で構成された統合幕僚監部に一元化する方針が決定した。これにより自衛隊の運用は統合幕僚監部に一元化され、迅速な意思決定、軍事的合理性を重視した運用面での大臣補佐機能が強化された。尚、運用面への文官の関与の必要性もあり、如何なる任務役割を付与するか等が検討されつつある。
 以前から、軍令と軍政を区分すべきとの論もあり、運用企画局の廃止により、軍令と軍政が分けられてこれもすっきりした形となったと考える。

(3)常設部隊若しくは常設司令部構想について
 米国は、6つの地域別統合軍及び3つの機能別統合軍を有している。
 英国は、3軍からなる常設統合司令部組織を保持し、統合軍事作戦の作戦指揮、海外での軍事活動の計画・統制を担っている。常設統合司令部は、イギリスの3軍から供出された戦力の統合作戦能力を管理する統合戦力コマンド司令官に対して責任を負っている。
 我が国の戦略正面から考えて、地域別の常設の統合軍を保持する必要性は少ない。統合部隊を編成するケースを考えても常設化による硬直性・非効率性もあるので、編成・運用の柔軟性のある現状の方が適当であろう。
 国際任務の内容が平時から確定しているのであれば、それに応じ得るように平素から特定任務の統合司令部を常設することは有るかもしれないが、それでも非効率であると云わねばならない。

(4)統合任務部隊司令部の陣容等について
 常設統合司令部を編成設置しないのであれば、陸自方面総監部(陸上総隊司令部が設置されるまでの間)や航空総隊司令部が実際の統合任務部隊司令部を兼務することになるケースが多いのかもしれない。統合任務にもよるが、統合任務部隊司令部の幕僚業務は膨大且つ複雑なものとなることは必至である。東日本大震災におけるJTF-THはよくその任務を完遂したが、限界に近い状況であったろう。
 状況に応ずる統合任務部隊司令を構成する主たる司令部への陸海空からの所要の幕僚や機能或いは資機材等の増強を考慮しておくべきであろうし、平素から処置しておくべき事項も多々あるものと思われる。それらを検討し、具体化する必要がある。

(5)統合を支える基盤整備の推進について
 ①内外の優れた情報通信技術を利用したより広範・機動的な情報通信態勢の構築
 ②平素から各種事態に対応するための計画の作成、統合訓練などを通じて、任務を遂行できる態勢を維持
 ③これまでの実績を踏まえつつ、教育訓練の充実、自衛隊の司令部組織のあり方、統合運用に適した人材の育成、装備品の共通化などについて、より効果的な運用体制を目指して引き続き検討し、必要な措置を講じる。

(6)我が国の国民性や文化にマッチした統合文化の確立
 如何なる組織も組織を構成する国民の国民性や文化から逃れることは出来ない。我が国の統合文化は、その緒についたばかりであり、これから実任務の遂行や各種活動を通じて組織も組織運営も変わってくるのだろうと思料する。我が国独自の統合文化を育てて貰いたい。

(了)