山下塾第5弾

山下 輝男

第五話「日米同盟の更なる深化」

 日米安保条約に基づく日米安保体制は、わが国防衛の柱の一つである。また、日米安保体制を中核とする日米同盟は、わが国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な基礎をなすものである。さらに、同盟に基づく日米間の緊密な協力関係は、世界における安全保障上の課題に効果的に対処する上で重要な役割を果たしている。日米両国が共有する民主主義、法の支配、人権の尊重、資本主義経済といった基本的な価値を国際社会において促進する上で、この同盟関係は、ますます重要になっている。
 日米同盟が質量共に大きく変化しつつある。共同訓練の拡大、日米ガイドラインの改定の動き、装備・技術面の協力進展、在日米軍の再編等についてその状況を概観したい。
 特に、安全保障の法的基盤の再構築にかかる閣議決定と連動する日米ガイドラインの改定もあり、自衛隊の役割も大きく変容するものと思われる。


1 日米安全保障体制の概要

 日米安保体制は、①旧日米安保条約の時代 ②安保改定・新日米安保条約、③旧ガイドラインの策定と日米協力の拡大、④冷戦の崩壊と新ガイドラインの策定と変遷し、⑤米国同時多発テロ以後の日米関係へと進展してきた。
 今後は集団的自衛権等の行使容認に伴う日米防衛協力の更なる深化が期待される。

(1)日米安保体制の意義
 日米安保体制の意義は次の3点に要約できる。

 ア わが国の安全の確保
 今日の国際社会において、自国の意思と力だけで国の平和と独立を確保するのは至難である。一国のみで平和と独立を確保しようとすれば、核兵器の使用を含む戦争からさまざまな態様の侵略事態、さらには軍事力による示威、恫喝といったようなものまで、あらゆる事態に対応できる隙のない防衛態勢を独自に構築する必要がある。しかし、わが国が独力でこのような態勢を保持するとなれば、経済的にも容易ではなく、何よりもわが国の政治姿勢として適切なものとは言えない。
 このため、わが国としては、自由と民主主義という基本的な価値、理念を共有し、強大な軍事力を有する米国との同盟関係を継続し、その抑止力をわが国の安全保障のために有効に機能させることで、わが国自らの適切な防衛力の保持と合わせ、隙のない態勢を構築し、わが国の安全を確保することが適切である。
 また、日米安保条約は、第5条において、わが国への武力攻撃があった場合、日米両国が共同対処を行うことを定めている。この米国の日本防衛義務により、わが国への武力攻撃は、自衛隊のみならず、米国の有する強大な軍事力とも直接対決することとなり、 侵略には相当の犠牲を覚悟しなければならない。このため、相手国は侵略を躊躇せざるを得ず、侵略は未然に防止されることとなる。

 イ わが国周辺地域の平和と安定の確保
 日米安保条約は、安全保障分野をその中核とするものであるが、同時に政治的・経済的協力関係の促進についても重要な規定を置いている。 この条約を基調とする日米安保体制は、単に防衛面のみならず、政治、経済、社会などの日米両国の幅広い分野における友好協力関係である日米同盟関係の基礎となっているのである。
 また、日米安保条約は、第6条において、わが国の安全及び極東における国際の平和と安全のため、米軍のわが国における施設・区域の使用を認めており、 同条に基づき、米国はその軍隊をわが国に駐留させている。
 このような日米両国の緊密な協力関係や米軍の存在は、米国と地域諸国との間で構築された同盟・友好関係とあいまって、 わが国周辺地域における平和と安定を確保するために重要な役割を果たしている。

 ウ より安定した安全保障環境の構築
 日米安保体制を基調とする日米協力関係は、わが国の外交の基盤として、国連などの行う諸活動への協力など国際社会の平和と安定への わが国の積極的な取組みに資するものある。
 日米両国は、かかる協力関係の下、国連平和維持活動や人道的な国際救援活動などを通じて、国連その他の国際機関を支援するための協力を強化し、 また、包括的核実験禁止条約交渉の促進や大量破壊兵器などの拡散の防止を含め、軍備管理・軍縮などの問題についての政策調整や協力を行うとしている。
 国際社会に占める日米両国の地位を踏まえた両国の協力と協調は、安定化のための努力が重視されている冷戦後の国際社会において極めて重要であり、 より安定した安全保障環境を構築するためにも重要な役割を果たすものある。

(2)日米間の調整システム
 日米両首脳の会談をトップとして、大臣級、局長級から制服レベルに至る各段階の日米調整システムがあり、日米間の緊密な調整を行っている。

名称 日本 米国 役割
日米首脳会談 内閣総理大臣 大統領
日米安全保障協議委員会(SCC)
(「2+2」)
外務大臣
防衛大臣
国務長官
国防長官
日米安保協力強化に資する基盤的事項の検討
防衛協力小委員会
(SDC)
外務省、防衛省の局長、統合幕僚監部の代表 国務及び国防次官補、在日米大使館・在日米軍・太平洋軍等の代表者 SCCの補佐
共同対処行動確保に関する指針等協力の在り方に関する研究協議
共同計画検討委員会
(BPC)
統幕副長以下自衛隊関係者 在日米軍副司令官以下米軍関係者 共同作戦計画等

 必要の都度関係省庁局長等会議が開催され、関係省庁に関わる事項の検討及び調整がなされる。
 これらの調整システム以外にも、日米両大臣の会談をはじめ、制服組を含め、各種レベルでの協議・研究討議及び情報交換が行われ、日米間の関係は従前に比較できないほど緊密になっている。各層レベルにおける日米間の情報や認識の共有により、日米安保体制の更なる信頼性の向上が図られている。

(3)日米安保体制の枠組み
 日米安保体制は、次のような要素から成り立っており、この全てが有効・適切に機能することが必要不可欠である。日米安保体制を支えるその要素とは、①在日米軍の駐留 ②日米共同訓練の実施 ③日米物品役務相互提供協定 ④米国との装備・技術面での協力 ⑤日米防衛協力のための指針の策定と指針に基づく諸施策であり、以下それらについて簡単に触れてみたい。


2 在日米軍の駐留(再編関連含む)

(1)米軍が日本に駐留することの意義等
 在日米軍の駐留は、日米安保体制の中核的な要素であり、我が国とアジア太平洋地域に深く関与するという米国の意思表示でもある。我が国とっては、我が国に対する武力攻撃に際し相手国が米軍と直接対決する事態を覚悟せざるを得なくなり、対日侵攻の抑止力になりうる。日米共同対処を行うに当たっても、在日米軍が駐留している方が効果的・効率的であり、駐留米軍の存在は、来援する米軍部隊の受け入れ基盤としても有効である。

(2)在日米軍の状況等
 陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊の合衆国五軍全てが展開している。指揮系統としては、アメリカ太平洋軍の傘下にある。
 在日米軍司令官は、第5空軍司令官が代々兼務しており、空軍中将が就いている。在日米軍は、横田基地に司令部を置き、約3万7000人の米軍人が日本に駐留している。その配置等は下図の通りである。
 また第7艦隊の東アジア太平洋地域の洋上要員は海軍と海兵隊計1万3618人である。


(防衛白書平成26年度版から転載)

 これとは別に、2008年3月現在5078人のアメリカ人軍属がアメリカ国防総省により日本で雇用されている。軍人と軍属の家族は4万4289人にのぼる。
 尚、日本には、キャンプ座間などに常駐している数十人の国連軍駐日武官、係争中の領土(竹島、北方領土等)を除き、米軍以外に駐留する外国軍は存在しない。

(3)在日米軍施設・区域の提供及び所要の労務の充足
 我が国は、日米安保条約第6条に基づき米軍に施設・区域を提供しており、これら提供した施設・区域及び在日米軍の地位に関わることについては日米地位協定により規定されている。
 在日米軍施設・区域は、日米地位協定第2条第4項(b)に基づき米軍が一定の期間を限って使用している施設及び区域を含み、平成26年1月時点で、133施設・区域、1,027,173 千m²を提供している。このうち沖縄県は、33施設・区域 231,750 千m²である。沖縄県には、飛行場、演習場、後方支援施設など多くの在日米軍施設・区域が所在しており、2012年1月時点で、我が国における在日米軍施設・区域(専用施設)のうち、面積にして約74%が集中している。
 在日米軍施設・区域の周辺では都市化が進展する等社会環境が変化している。このため、真に国民に受け入れられ、支持されるものでなければならず、それらによる影響をできる限り軽減する必要がある。
 日米地位協定に基づき、在日米軍を維持するために必要とする労務を提供している。
 全国の在日米軍施設・区域において平成24年度末現在、約2万6千人の駐留軍等労働者が、司令部の事務職、整備・補給施設の技術者、基地警備部隊及び消防組織の要員、福利厚生施設の販売員などとして勤務している。こうした従業員は、地位協定の規定により、わが国が雇用している。

(4)在日米軍関係費
 ア 在日米軍駐留経費(思いやり予算)
 近年の国際経済情勢の変動を受けて、米軍の駐留に係る米国の負担が厳しくなったので、昭和53年度以降一部の経費を負担してきた。1987年(昭和62年)日米両政府は、地位協定の経費負担原則の特例的な暫定措置として特別協定を締結した。在日米軍駐留経費として我が国が負担している経費は「思いやり予算」と呼ばれ、提供施設整備費、労務費、光熱水料等、訓練移転費が含まれる。これらは平成25年度予算では、約1,400億円となっている。
 イ (1)項以外の在日米軍の駐留に関連する経費
 思いやり予算の他に防衛省予算として、周辺対策費、施設の借料、リロケーション、漁業補償等その他の経費として、約1,800億円支出している。
 在日米軍施設・区域周辺対策としての昭和28年8月に制定された「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律(「特損法」)、昭和41年7月に「防衛施設周辺の整備等に関する法律」を制定した。これに基づく施策には、障害防止工事助成、住宅防音工事の助成、移転補償、民生安定施設助成、特定防衛施設周辺整備調整交付金等がある。
 ウ SACO関係経費
 沖縄における基地負担は国民全体で分かち合うべきであるとの考えの下に、在沖縄米軍施設・区域の整理・統合・縮小に向けての日米間に「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)を設置して協議を行い、1996年(平成8年)最終報告が取りまとめられた。SACO関係経費とは、沖縄県民の負担を軽減するためにSACO最終報告の内容を実施するための経費である。土地返還のための事業、」訓練改善のための事業、騒音軽減のための事業、SACO事業円滑化事業の経費として、平成25年度予算では88億円が計上されている。
 エ 米軍再編関係経費
 2006年(平成18年)、「2+2」において合意された「再編実施のための日米ロードマップ」事業(詳細は後述)のうち、地元の負担軽減に資する措置にかかる経費として計上されている経費である。平成25年度予算では656億円となっている。


3 日米共同訓練の進展

 自衛隊と米軍は、戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、相互運用性(インターオペラビリティ)を向上させるとともに日米の共同対処能力を高めるため、平素より様々な共同訓練を実施してきている。
 日米共同訓練には、様々な形態がある。指揮官の状況判断や幕僚などの調整能力の向上を目的とする指揮所演習と演習場や訓練海空域で実際に部隊を行動させることにより日米間の連携要領全般の向上を目的とする実動訓練がある。更には、機能別訓練と総合訓練があり、陸海空の同一部隊間で行う共同訓練から、2以上の軍種が参加して行う統合訓練まであり、目的に応じ適宜組み合わせて実施されている。
 近年では、日米共同訓練もレベルも高くなり、昭和60年度以降、日米共同統合演習として、おおむね毎年交互に指揮所演習または実動演習を行うようになっている。
 また、陸・海・空自は、国内のみならず、米国に部隊を派遣するなどして、日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など共同訓練を拡大してきており、軍種・部隊レベルにおいても相互運用性および日米の共同対処能力向上の努力が続けられている。
 平素からの共同訓練を行うことは、相互の能力や戦術についての理解を深め、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図る上でも有益である。とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術は極めて貴重であり、自衛隊の能力向上に大きく資するものである。また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことになる。
 日米共同訓練が逐次に拡大されてきた状況は下図の通りである。


(平成24年版防衛白書から転載)

 因みに、平成24年度の日米共同訓練の実績は以下の通りである。
 日米共同統合演習(実動演習):12日間、日本側参加者、約37,400名
 陸上自衛隊:米国及び日本において8件 日本側参加者合計約7,000名
 海上自衛隊:日本近海及び米国で7件 艦艇58隻、航空機20数機、人員約400名航空自衛隊:日本周辺空域及び米国で5件 日本側22機参加


4 ACSA、装備・技術面の協力等

(1)日米物品役務相互提供協定(ACSA)
 自衛隊・軍隊は自己完結性を持っているとされるが、同盟国の部隊が共に行動している場合など、現場において必要な物品や役務を相互に融通することが出来れば、部隊運用の柔軟性・弾力性を向上させることが出来る。
 1996年(平成8年)10月に発効したACSAは、2004年(平成16年)の改正追加を経て、平素の共同訓練や連絡調整等の日常的な活動から、PKOは勿論、災害派遣や邦人輸送、武力攻撃事態等に至る場面で、武器の提供を除く物品の提供や役務の相互提供ができることを定めたものである。
 これにより、訓練のために来日した米軍に対して、パーオナーとして当然の支援すらできず、米軍は自らバスをチャーターせざるを得ず、また、航空機の部品を持っていても、それを提供も出来ずに手を拱いて居らざるを得なかったような不合理な事態が解消できるようになった。

(2)装備・技術面での日米協力
 わが国は、日米安保条約や「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく相互協力の原則を踏まえ、わが国の技術基盤・生産基盤の維持に留意しつつ、米国との装備・技術面での協力を積極的に進めることとしている。
 わが国は、日米の技術協力体制の進展と技術水準の向上といった状況を踏まえ、米国に対しては「対米武器・武器技術供与取極」を締結して武器技術を供与している。
 こうした枠組のもと、弾道ミサイル防衛共同技術研究に関連する武器技術など20件の武器・武器技術の対米供与を決定している。
 また、日米両国は、装備・技術面での意見交換の場である日米装備・技術定期協議(S&TF)などで協議を行い、合意された具体的なプロジェクトについては共同研究開発などを行っている。日米共同研究・開発プロジェクトは継続中4件を含み19件実施している。


5 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の策定と諸施策

(1)旧ガイドラインの策定
 1975年(昭和50年)8月、坂田防衛庁長官・シュレシンジャー国防長官会談で策定の必要性について合意後,事務レベルで検討を経て、1978年(昭和53年)11月に発表された。本旧ガイドラインでは、日本有事に関する日米の役割分担を明確化する一方で、日本有事以外の極東における事態への対処は将来の検討課題として「あらかじめ相互に研究を行う」とされた。日本有事の日米共同作戦計画の作成が開始され、日本単独有事を想定した共同作戦計画が作成された。また本ガイドライン策定以降、米軍と自衛隊の共同演習・訓練も活発化した。

(2)ガイドラインの見直しと新ガイドラインの策定
 冷戦が終了するなど国際情勢が変化し、冷戦後の我が国の防衛力の役割についても、07防衛大綱において新たに定められるに至り、平成8年4月の日米安全保障共同宣言において、指針についても見直しに着手することが日米両政府で合意された。

(3)現行ガイドラインの概要
 平成9年9月の日米安全保障協議委員会(SCC)で新たな指針が了承された。この新たな指針は、中国・韓国を含む関係国に広く説明している。
 新たなガイドラインは、「平素から行う協力」「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」の3つの分野における日米両国の役割並びに協力及び調整のあり方について、一般的な大枠及び方向性を示し、より効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための堅固な基礎を構築することにある。
 ①平素から行う協力の具体的内容
 現在の日米安全保障体制を堅持し、各々が必要な防衛態勢の維持に努めるとともに、情報交換及び政策協議、安全保障面での種々の協力及び共同作戦計画及び相互協力計画についての検討を含む日米共同の取組み等の様々な分野での協力を充実することとしている。
 日本は防衛大綱に基づき、自衛のために必要な範囲内で防衛力を保持し、米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、アジア太平洋地域における前方展開兵力を維持し、かつ、来援し得るその他の兵力を保持することとしている。
 ②日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等の具体的内容
 日本に対する武力攻撃に際しての共同対処行動等は、引き続き日米防衛協力の中核的要素であり、日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合と日本に対する武力攻撃がなされた場合についての日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方が示されている。
 内容的には、日本は原則として限定小規模侵略を独力で排除するという旧「指針」の考え方に対し、日本に対する武力攻撃に際しては、日本が主体となって防勢作戦を行い、米国がこれを補完・支援することとしている。また、統合運用の重要性について記述するとともに、作戦構想を機能別に整理している。
 ③周辺事態における日米協力内容
 「周辺事態」とは、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合であり、これは地理的概念ではなく、生じる事態の性質に着目したとされる。
 この周辺事態における日米協力として、
 第1に日米が各々主体的に行う活動における協力として、救援活動及び避難民への対応措置、捜索・救難、非戦闘員退避活動、経済制裁の実効性を確保するための活動における協力。
 第2に米軍の活動に対する日本の支援として、施設の使用や後方地域支援(補給、輸送、整備、衛生、警備、通信等)における協力。
 第3に運用面における日米協力として、警戒監視、機雷除去、海・空域調整の各分野での協力がある。

(4)指針の実効性を確保するための法制整備等
 「指針」の実効性を確保するためには、平素からの取組をはじめ、武力攻撃事態や周辺事態における日米協力について、法的側面を含めて必要な措置を適切に講じることが重要である。
 周辺事態における日米協力の観点から、1999(同11)年の周辺事態安全確保法、00(同12)年の船舶検査活動法などの法制整備が行われた。
 また、武力攻撃事態等における日米協力の観点からは、有事法制整備の一環として、2004(同16)年に米軍の行動の円滑化のための措置が講じられた。

(5)指針の見直しについて
 現行ガイドラインが策定されて以降、すでに15年以上が経過しており、わが国を取り巻く安全保障環境においては、周辺国の軍事活動などの活発化、国際テロ組織などの新たな脅威の発生、海洋・宇宙・サイバー空間といった国際公共財の安定的利用に対するリスクの顕在化など、様々な課題や不安定要因が顕在化・先鋭化・深刻化している。さらには、海賊対処活動、PKO、国際緊急援助活動のように自衛隊の活動もグローバルな規模に拡大してきている。そのため、日米防衛協力のあり方を、これらの安全保障環境の変化や、自衛隊の活動・任務の拡大に対応させる必要が生じてきている。
 これら安全保障環境の変化を背景として、2012(同24)年8月の日米防衛相会談以降、調整や認識の共有が図られ、日米間で必要な研究・議論を行っていくこととされ、見直しが具体的になりつつある。 
 これら安全保障環境の変化を背景として、2012(同24)年8月の日米防衛相会談以降、調整や認識の共有が図られ、日米間で必要な研究・議論を行っていくこととされ、見直しが具体的になりつつある。
 2014(平成26)年10月にまとめた中間報告では、新たな日米協力の在り方に具体的に踏み込んでいない。現行指針を平時から緊急事態まで「切れ目のない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置」を取れるように見直すことを打ち出している。


6 在日米軍再編について

 2001(平成13)年の9.11テロや大量破壊兵器の拡散など安全保障環境のさらなる変化を踏まえ、日米両国は安全保障に関する協議を強化してきた。この日米協議において、アジア太平洋地域の平和と安定の強化を含む日米両国間の共通戦略目標の確認(第1段階)、共通戦略目標を達成するための日米の役割・任務・能力の検討(第2段階)、兵力態勢の再編の検討(第3段階)、という三つの段階を経て日米同盟の方向性を整理した。  この協議の過程で示された「再編実施のための日米ロードマップ」に従って、関東地区、沖縄における再編及び航空機の移駐などが逐次に進められている。その概要は防衛白書によれば次図の通りである。



(平成26年度防衛白書から転載)


(平成26年度防衛白書から転載)

 その焦点は、普天間基地の辺野古移転である。2009年の総選挙において最低でも県外移転を標榜して政権を奪取した鳩山民主党政権が成立したが、結果的に県外移設は不可能との結論に達し、再度辺野古への移設で決着がついた。その後、自公政権になり、公有水面埋立の申請を沖縄仲井真知事は2013(平成25年)正式に受理した。名護市長選では移設反対派が勝利した。然しながら、政府は、米軍普天間飛行場返還・移設問題について、7月1日に名護市キャンプ・シュワブで辺野古移設に向けた陸上部分の工事に着手すると共に、在日米軍の再編を早期かつ着実に進めることとしている。当面の焦点は沖縄県知事選である。


7 国内世論の動向

 内閣府が行った最新の世論調査によれば、日米安全保障条約が日本の平和と安全に役立っていると思うかどうかについては、「役立っている」とする者の割合が81.2%、「役立っていない」とする者の割合が10.8%となっている。前回の調査結果と比較して見ると,「役立っている」(76.4%→81.2%)とする者の割合が上昇し,「役立っていない」(16.2%→10.8%)とする者の割合が低下している。
 在日米軍による事故や不祥事案は相変わらず起きており、日米両政府は地位協定の運用改善等に取り組んでいるが、未だに十分に周知されているとは言い難い。


8 日米安保体制に係る問題点等

(1)ガイドラインの見直しについて!
 安全保障環境の激変に応じて、日米防衛協力のための指針を見直すこととしているが、我が国の集団的自衛権等に係る論議を踏まえ、より実効性ある見直しがなされるべきである。新たな時代に応ずる新たなガイドラインにより日米安保は更に強固になるものと確信する。
 2014(平成26)年12月19日、共同文書を公表し、年内に改定するとしていたガイドライン見直しを先延ばし、安全保障法制の整備状況をガイドラインに反映させるために、来年前半における見直しの終了とした。妥当な判断だ。

(2)地道な活動による日米同盟の重要性等の周知努力
 未だに根強い反米感情があり、地道な活動を通じて日米同盟の重要性や在日米軍が存在することの必要性を更に周知させる必要がある。一方、特に沖縄県がその地政学的な重要性故に多大の基地負担に喘いでいることを重く受け止め、その負担軽減策に更に積極的の取り組む必要があろう。更に沖縄が日本を代表して、その負担に耐えていることを全国民が感謝し、その心に寄り添うことが必要であり、そのような啓蒙動が望まれる。

(3)国家百年の大計として日米同盟の更なる進展を期すべし
 太平洋国家、海洋国家として、或いは自由と民主主義・法の支配という共通の価値観を共有する国家としての更なる同盟の深化を推進する必要がある。このため、安全保障分野のみならず、文化や経済面でもより一層の連携を深める必要がある。若者の交流が特に望まれる。


(了)