山下塾第5弾

山下 輝男

第三十一話 「島嶼防衛作戦は万全か?」

 防衛空白地域であった南西諸島正面の防衛力の配備が喫緊の課題となっている。新大綱、中期防に基づき、着々と整備されつつあって、自衛隊の態勢もかなり充実したものとなってきた。その状況を管見してみたい。本来軍事組織や安全保障態勢に空白や脆弱性があってはならない筈だが、その是正が急ピッチで図られつつあり、喜ばしいことではあるが、果たして現下の情勢に即しているのだろうか?


1 離島防衛作戦
(1)離島の概要
   日本は、島国であり、6,852の島から成っている。本土(本州、北海道、九州、四国、沖縄本島)
  及び有人離島(432)を除けば、日本における無人島の総数は6,415である。
   これ等のうち、我が国の安全保障上喫緊の課題、最優先順位は南西諸島である。

(2)島嶼防衛作戦の基本
  ①島嶼を占拠されないような態勢の構築(抑止態勢)
  (所要の部隊配備、海・空優勢の確保、迅速な戦略機動力の確保)
  ②兆候の早期察知による島嶼接近前に阻止(洋上阻止)
  ③敵の上陸を許した場合には、早期に排除
  ④島嶼奪回作戦により奪回

   個々の島嶼は脆弱であるが、隣接する島嶼相互がリンクすれば、極めて強靭な防衛作戦が
  遂行できる。相互支援を可能とする長射程のミサイル等は有益である。
   上陸作戦に先立って実施される航空作戦に対する基地や重要兵站施設等の靭強性・抗堪性の
  確保が必要である。当然、所要の防空態勢の確立が必要だ。
   正々堂々と言いうと変だが、一般的な侵攻作戦を行うとは限らず、今議論されている所謂
  グレーゾーン事態から侵攻される可能性も高い。速やかな平和安全法制の成立が望まれる。

(3)南西諸島の戦略的価値
   中国にとっては、西太平洋への出口となる要域であり、米空母機動打撃群の接近阻止のための
  最終阻止線でもある。日米にとっては、中国海空軍の西太平洋進出を扼する要域であり、侵攻部隊
  撃破のための戦略的拠点足り得る地域である。

(4)南西諸島防衛の現状
   詳細に述べるのは、我が弱点を曝け出すことにもなるので、以下の5点のみ指摘しておきたい。
  ア 海・空優勢を確保するに必要且つ十分な海空戦力の配備なく、脆弱
  イ 十分な部隊配備なく空白区域が存在
  ウ 南西諸島方面の警戒・監視能力不十分
  エ 在沖米軍や自衛隊駐屯地・基地等の抗堪性に懸念
  オ 陸・海・空自衛隊を戦略集中・展開させる機動力の不足


2 平成27年度予算に見る南西諸島防衛に係る予算
(1)特色
   25大綱及び26中期防を具体化するための本格的な予算要求である。
   特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、
  島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー
  空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を
  重視し防衛力を整備することとした。
   後述の施策を観て頂けば解るが、島嶼部に対する攻撃への対応として相応の
  資源配分するものとなっており、南西諸島正面の防衛は格段に改善されるもの
  と考える。

(2)実施項目
   島嶼部に対する攻撃に対応するため、以下の5項目を整備する。
   ①常続監視体制の整備、
   ②航空優勢の獲得・維持、
   ③海上優勢の獲得・維持、
   ④輸送能力や水陸両用機能を始めとする迅速な展開・対処能力の向上、
   ⑤指揮統制・情報通信体制の整備

(3)常続監視体制の整備
  ア 第303沿岸監視隊の新編
   平素からの常続監視に必要な体制を整備し、付近を航行・飛行する艦船や航空機の
   沿岸監視を担う部隊を与那国島に新編・配置
  イ 新たな早期警戒(管制)機の取得
  ウ 滞空型無人機の取得

(4)航空優勢の獲得・維持
  ア 戦闘機(F-35A)の取得
  イ 戦闘機の能力向上改修
   周辺諸国の航空戦力の近代化に対応するとともに、防空等の任務に適切に対応するため、
   現有戦闘機の能力向上改修を実施
  ・戦闘機(F-15)近代化改修(8機)
  ・戦闘機(F-2)空対空戦闘能力向上(9式)
  ・戦闘機(F-2)JDCS(F)※搭載改修(2機)
   ※ JDCS(F):自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)
  ウ 戦闘機部隊2個飛行隊の配備に伴う第9航空団(仮称)の新編
   南西地域における防空態勢の充実のため、那覇基地に1個飛行隊(F-15部隊)を
   移動させ、204航空隊との二個飛行隊体制とし、第9航空団(仮称)を新編
  エ 救難ヘリコプター(UH-60J)の取得(2機)
  オ 輸送機(C-130H)への空中給油機能付加(1式)
   島嶼部に対する攻撃への対応等における十分な捜索救難活動の範囲及び時間を確保する
   ため、救難ヘリコプター(UH-60J)に対する空中給油機能の付加改修
  カ 基地防空用地対空誘導弾の取得(2式)
  キ 11式短距離地対空誘導弾の取得(1式)
  ク 03式中距離地対空誘導弾の取得(1式)
  ケ 対空戦闘指揮統制システムの取得
   島嶼部における経空脅威に対処するため、対空戦闘指揮統制システムを整備

(5)海上優勢の獲得・維持
  ア 固定翼哨戒機(P-1)の取得
  イ 固定翼哨戒機(P-3C)の能力向上
  ウ 固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸
  エ 哨戒ヘリコプター(SH-60K)の取得
  オ 哨戒ヘリコプター(SH-60J)の機齢延伸
  カ 新たな哨戒ヘリコプターの開発
  キ イージス・システム搭載護衛艦(DDG)の建造
   (1隻の建造及び2隻目のイージス・システム等の調達)
  ク 護衛艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事3隻及び部品調達7隻分)
  ケ 多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた新たな護衛艦の
    建造に向けた調査研究
  コ 新たな護衛艦用レーダシステムの研究
  サ 艦載型無人航空機の運用要領等の調査
  シ 潜水艦の建造(1隻)
  ス 潜水艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事2隻及び部品調達3隻分)
  セ 海上作戦センターの整備(自衛艦隊司令部等の新庁舎)
   陸自・空自、米軍、関係省庁と緊密に連携し、各種の事態に、より効果的かつ円
   滑に対応できる態勢を確立するため、横須賀の船越地区に海上作戦センターを整
   備(整備の第1期工事として、敷地造成を実施)

(6)迅速な展開・対処能力の向上
  ア ティルト・ローター機の取得
   輸送ヘリコプター(CH-47JA)の輸送能力を巡航速度や航続距離等の観点
   から補完・強化するティルト・ローター機を整備し、水陸両用作戦における部隊
   の展開能力を強化
  イ 輸送ヘリコプター(CH-47J)勢力維持改修(3機)
   輸送ヘリコプター(CH-47J)の総飛行時間を新造機と同程度に延伸すると
   ともに航続距離を延伸
  ウ 水陸両用車の取得
   海上から島嶼等に部隊を上陸させるため、海上機動性及び防護性に優れた水陸
   両用車を整備
  エ おおすみ型輸送艦の改修
   水陸両用戦に係る輸送能力を強化するため、海上自衛隊の「おおすみ」型輸送艦
   の改修に向け、水陸両用車が通過する艦尾門扉の開閉機構を強化する上で必要となる
   改修用部品等を取得
  オ 水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機
   能艦艇の在り方について検討するための海外調査
  カ 水陸両用作戦関連部隊等の整備
   新編される水陸機動団及び作戦関連部隊の展開基盤に係る用地取得経費及び調査費等を計上
  ・ティルト・ローター機の拠点整備
  ・水陸両用車部隊の拠点整備
  ・水陸機動団関連施設の整備
  キ 南西警備部隊の配置
   島嶼防衛における初動対処態勢を整備するため、警備隊等の配置に関連する奄美大島の
   用地取得経費等を計上
  ク 陸上総隊の新編に向けた準備
   陸上自衛隊における全国的運用態勢強化に資する統一司令部を新編するため、これに
   係る関連事業を計上
  ・陸上総隊司令部(仮称)庁舎等の整備に必要な調査等
  ・陸上総隊の新編に向けた準備態勢の確立(準備室の設置)
  ケ 米国における統合訓練(ドーン・ブリッツ)(統幕)
   島嶼部に対する攻撃への対応に係る自衛隊の統合運用要領及び米軍との共同対処要領の
   向上のため、米国が主催する実動訓練に参加
  コ 米国における米海兵隊との実動訓練(アイアン・フィスト)(陸自)
   米国カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトン周辺海域に陸上自衛隊部隊を派遣し、
   島嶼部での作戦に必要な戦術・戦闘及び米海兵隊との相互連携要領を演練
  サ 自衛隊統合演習(実動演習)(統幕)
   武力攻撃事態に際しての3自衛隊の運用について演練・検証し、自衛隊の統合運用能力を
   維持・向上
  シ 民間海上輸送力の活用に係るPFI事業
   自衛隊の輸送力と連携して大規模輸送を効率的に実施できるよう、民間資金等を活用した
   民間船舶(フェリー2隻)の長期安定的な確保及び活用

(7)指揮統制・情報通信体制の整備
  ア 陸上自衛隊へのリンク機能導入に係る調査・研究
   陸・海・空自衛隊のリアルタイムによる目標情報等の共有を実現するため、主に陸上自衛隊
   地対艦誘導弾システムへのリンク機能導入に係る調査・研究費を計上
  イ 米軍委託教育による人材育成
   リンク機能を運用する隊員を育成するための人材育成費を計上
  ウ 野外指揮・通信システム一体化
   陸上自衛隊の指揮統制システムをソフトウェア化し、野外通信システムに搭載することで、
   第一線部隊まで戦闘に必要なデータの共有を可能とするとともに、日米間で秘匿データの
   交換を可能とする研究を実施


3 注目点等
(1)陸上総隊及び水陸機動団の創設等
  ア 陸上総隊
   2013年12月17日に閣議決定、公開された中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)
   において、「一部の方面総監部の機能を見直し、陸上総隊を新編する。その際、中央即応
   集団を廃止し、その隷下部隊を陸上総隊に編入する。」との記述がなされた。
   陸上総隊の創設により、陸上自衛隊を一元的に指揮する態勢が整うこととなり、
   統合運用の実が上がることが期待される。



   2015年5月15日、2017年度を目処に数百人規模の司令部が朝霞駐屯地に設置されることが
   決定された。
   編組部隊等
   ・陸上総隊司令部(朝霞駐屯地)
   ・第1空挺団
   ・第1ヘリコプター団
   ・水陸機動団(団本部:相浦駐屯地)
   第1連隊(西部方面普通科連隊から改編予定)
   第2連隊
   第3連隊
  イ 水陸機動団
   専守防衛にそぐわないとのイメージがあって、水陸両用作戦を行う部隊の創設は長らく
   認められなかったが、南西諸島防衛作戦、とりわけ占拠された島嶼を奪回するためには
   専門的な能力を有する水陸両用作戦部隊の創設が必要と判断され、新大綱で、認められた。
   新たに編成される水陸機動団は西部方面隊直轄である西部方面普通科連隊を基盤に3個
   連隊を新編し、合計2000人から3000人規模の部隊となる予定である。この3個連隊の内、
   主戦力となる第1連隊は西部方面普通科連隊を発展的に改組し司令部(または本部)と共に
   佐世保市に拠点を置くとされ、第2および第3連隊はそれぞれ700人から900人規模の部隊
   となる予定である。
   各連隊の編成は本部中隊、AAV中隊、ヘリボーン中隊およびボート中隊(強襲戦闘偵察用
   ボートを装備)からなるとされる。
   水陸両用車を装備した新部隊は南西諸島が侵攻された際、戦闘地域から数キロメートル
   離れた海域から上陸部隊を進発、戦闘部隊を揚陸させ島嶼部の確保を図る。

(2)部隊新編・配備等
   新編される部隊等のうち、南西諸島に直接配置(検討予定等も含む。)される部隊は
   以下の通りである。
  ア 303沿岸監視隊の新編
   与那国島は尖閣諸島の南150キロ、台湾の東110キロにある日本最西端の島だ。2008年、
   中国の活発な海洋活動に危機感を覚えた与那国町議会が自衛隊誘致を議決した。以来、迷惑料
   問題など、若干の紆余曲折はあったものの、2015年2月の住民投票により、自衛隊誘致賛成派が
   勝利して、自衛隊誘致が具体化した。
   303沿岸監視隊を配備し、2015年度までに運用を始める。レーダーとともに陸上自衛隊の
   隊員約100人が駐留し、付近を航行する艦船や航空機の動きを監視することとなる。
   配備予定地の南牧場で敷地造成工事を行っている防衛省沖縄防衛局は、庁舎や隊舎など
   駐屯地にかかる総額87億100万円の建築工事3件を発注した。2016年3月末までに
   施設を完成させ、150人規模の部隊員を配置する計画だ。
   反対派グループが工事差し止めを求める仮処分を6月1日、那覇地方裁判所石垣支部に申請した。
  イ 警備部隊の配備
   (ア)島嶼間の相互支援態勢の確立
    弧状の島嶼間の相互支援のためにも、勿論襲来する敵艦船撃破のためにも、地対艦ミサイルを
    配備することが重要である。南西諸島防衛のために警備部隊に、射程200㎞(?)のSSMを
    配備して、敵の上陸や島嶼間の通過を阻止する。
   (イ)奄美大島への警備部隊の配備
    沖縄と九州を結ぶ鹿児島県島嶼部の重要性は大きく、一方で防衛力空白地帯となっていた。
    地元からの自衛隊常駐への要望も強かった。
    奄美市大熊地区のゴルフ場の一部(約35ヘクタール)に警備部隊と地対空ミサイル部隊の
    約350人、瀬戸内町節子地区の町有地(約30ヘクタール)に警備部隊と地対艦ミサイル
    部隊の約200人を配置する計画である。庁舎や隊員宿舎、緊急ヘリポートを兼ねた
    グラウンド、射撃場、弾薬庫などを整備する。2018年度までに配備される見込みである。
   (ウ)宮古島及び石垣島への警備部隊の配備方針
    報道によれば、平成30年度末までに約600人の隊員を置き、地対艦ミサイル(SSM)
    と地対空ミサイル(SAM)も配備し、市内の複数箇所への配置を打診する。左藤章防衛
    副大臣が宮古島市を訪れ、下地敏彦市長に配備地を提示する。
    更に、石垣島への自衛隊配備に向けて防衛省の左藤副大臣は、石垣市役所で中山市長と
    面談し、「石垣にも(部隊配備を)検討できるかどうか調査させてほしい」と協力を要請
    したと伝えられる。
    南西諸島の防衛強化は中期防衛力整備計画(2014~18年度、中期防)に基づくもので、
    防衛省は奄美大島での警備部隊配備を決定。宮古島への配備も具体化しており、
    石垣島での調査も中期防の一環である。 
  ウ 航空団の配備
   航空自衛隊の基本的な戦術単位である航空団のうち第8航空団の1個飛行隊(F-15部隊)を
   那覇基地に移動させ、改編304航空隊を合わせて第9航空団に新改編して、2個航空団態勢
   とする。br/>
(3)新装備
  ア 水陸両用車
   アメリカ合衆国で開発された水陸両用車としての能力を有する装甲兵員輸送車を購入する。
   地上だけでなく、水上を浮上航行する能力を持つ水陸両用装軌車両で、水上での推進力は
   主にウォータージェット推進を利用するが、履帯の回転だけでも7.2km/hの推進力を
   有する。元はLVTP7の名称でアメリカ海兵隊における上陸強襲作戦用に開発されたが、
   実戦投入された湾岸戦争・イラク戦争では、陸上にて通常の装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車
   として使用されることが多く、対戦車ミサイル対策として増加装甲キットが開発されて
   装備されている。



  イ ティルト・ローター機の機種:米国政府提案のV-22
   ティルト・ローター機の機種として、米国政府提案のV-22に決定された。
   一般的に、オスプレイはCH47の後継機と見做されるが、CH-47と相互に補完・強化
   し得る関係にあると捉える方が良い。
   オスプレイの巡航速度は時速443キロで、270キロのCH47をはるかにしのぎ、
   航続距離3900キロもCH47の1037キロの4倍近くである。また、海上自衛隊の
   ヘリコプター搭載「ひゅうが」型護衛艦に格納される際も、ブレードを取り外さなくて済み、
   目的地に到達する即応力は目覚ましく向上する。
   しかし、オスプレイは高機動車を搭載することもできず、輸送人員も24人に限られている。
   つまり、「速さ」を担うオスプレイに対し、「量」を担うのがCH47ということになろう。
   離島防衛・奪還作戦では、それぞれの特性に応じた役割を担うことになろう。
   新型輸送機MV22オスプレイの配備先について、防衛省は昨年夏、17機全機を佐賀空港(佐賀市)
   に配備する方針を固めたと報じられた。普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている
   アメリカ軍オスプレイの一部も佐賀空港への移転を進め、沖縄の負担軽減をはかるという。
   水陸機動団が所在する相の浦との関係、佐世保との関係、訓練場の関係等機能集約性及び
   朝鮮半島と南西諸島の両睨みにある戦略的特性から妥当な判断だ。



  ウ 滞空型無人機
   グローバルホークは5500キロ以上離れた場所まで飛び、長時間旋回して20キロ上空から
   30センチ大の物体まで識別できる戦略偵察機である。
   米ノースロップ・グラマン社製。全長約13メートル、主翼幅約35メートルの大型
   無人偵察ジェット機である。最高高度約2万メートルを飛行し、滞空時間は約35時間。
   高性能のカメラや赤外線センサーなどを搭載し、夜間や悪天候下での目標捕捉が可能で
   撮影された画像を地上で同時に見ることができる。
   地上からの操縦のほか、事前にプログラムされた通りに自動操縦も可能である。
   アフガニスタン攻撃やイラク戦争でも使用された。1機約57億円。
   機内に合成開口レーダー(SAR)、電子光学/赤外線(EO/IR)センサーを搭載し、
   各センサーは広域に渡っての捜索・監視活動が可能で、高解像度のスポット・モードを
   使用することもできる。



  エ 多機能艦艇
   水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能
   艦艇の在り方について検討するための海外調査を行うこととされている。
   そのイメージは下図の通りである。



   強襲揚陸艦がイメージされているのだろうか?

  オ 哨戒機
  (ア)固定翼哨戒機(P-1)の取得
   ・現有の固定翼哨戒機(P-3C)の後継として、南西諸島周辺海域の警戒・監視能力、
    探知識別能力、飛行性能、情報処理能力、攻撃能力等の向上した向上のため、
    虎の子の新国産哨戒機P-1を取得、配備
  (イ)新哨戒ヘリの開発
    浅海域を含む我が国周辺の海域において対潜戦の優位性を確保するため、
    複数のヘリコプターとの連携により、敵潜水艦を探知する能力等を付与した
    哨戒ヘリコプターを開発する。



(4)その他
   ハード面だけではなく、ソフト面でも色々と施策されている。


4 評価と要望
(1)本年度予算は南西諸島防衛に必要な諸機能を殆ど網羅している点については評価できる。
   然しながら、現下の情勢に緊急に対応する予算となっているかについては疑問がある。
   南西諸島正面防衛のために更なる防衛予算の増額が必要である。

(2)予算措置し、部隊を配備しても、それだけで存分の戦力発揮が出来る訳ではない。
   装備に習熟し、部隊の団結を強固にし、必要かつ十分、厳しい訓練を経てこそ部隊が
   部隊として戦力発揮できるのである。これらのリードタイムもなしに厳しい現実に
   直面せざるを得ないかもしれない。

(3)政治決断こそ求められる。
   厳しい財政事情も解るし、官僚としては、大胆な予算要求は為しえない。情勢に対応して、
   国家として資源配分を如何にするかを判断できるのは政治家である。中期防の前倒し
   具体化を決断できるのは政治である。
   然るに、政治レベルの危機感は然程ではないと思えるが、如何だろうか?

(4)日米共同の更なる深化を
   南西諸島防衛においては、米国との連携・共同が肝要である。政治レベルのみならず、
   軍事レベルにおける緊密な連携が望まれる。


5 終わりに
 南西諸島防衛を契機として、自衛隊も大きく変わるものと考えられる。  迫りくる危機に如何に対処するか、国民の理解を得つつ決断するのは政治である。  間もなく、来年度の概算要求が明らかになるだろうし、その内容を注視したい。  尚、参考までに、夏川先輩との共著「岐路に立つ自衛隊」(文芸社刊)の第5章の、 「考え得る日中戦争とは」で、色々と述べているので参照して頂ければ幸甚です。

(了)