山下塾第6弾

山下 輝男

第八話 平和安全法制等について

 詳細は、山下塾第5弾変わりゆく自衛隊(http://www.jpsn.org/lecture/yama_vol5/) 第18話から第26話を参照して頂ければ良いのだが、特別篇でその要点のみ説明する。

1 意義等


 安全保障環境が激変している状況下で、我が国の安全を確保するために必要かつ最小限の法的措置をとって、隙間のない防衛態勢を構築し、日米同盟の実効性を高めることができる。即ち日本に対する抑止力が増すという意義がある。
 日本の国是として積極平和主義を強調したことと併せて、戦後日本の安全保障の政策の一大改革である。
 外国の評価は、中国と韓国を除き好意的である。日本が現在まで歩んできた実績が正しく評価されたと云える。
 一方、国内においては民進・共産やマスコミが戦争法案と批判頻りである。先の参議院選挙(7月10日投開票)において、自公をはじめとする改憲勢力(その内実は複雑だが・・)が改憲発議に必要な勢力を確保したとは云え、国民の大半の理解を得たとはとても言えない。
 複雑な法制整備であり、一気に国民の理解を得ることは困難ではあるが、戦争法案との批判に身を竦ませて、堂々と議論を受けて立っていなかったのではないか?早く成立させて、議論から逃れようとしていたのではないか。
 反対勢力のアジテートに如何に反論するか、真剣に考えて堂々と行うべしだ。現状では、安全保障環境の激変に対応できないことを具体的に説明すべきだ。中国や北朝鮮の反論は多々あろうが、そのことに怖じ気つくべきではない。楽観主義こそ敵である。
 国際社会の隣人が善人であるという保証はないのだ。

2 自衛権
 今般の安全保障法制整備の中核は、集団的自衛権の解釈変更である。集団的自衛権に関する焦点は次図の通りである。


  ①1,2項は説明は要しないだろう。
  ②解釈の変更が是か非かが焦点である。
   憲法は決して不磨の大典では無い筈だ。本来ならば憲法改正が必要だとしても、解釈の変更で対応できるのであれば、
   解釈変更を良しとすべきだ。
   現憲法が想定した前提・情勢が変容している。憲法を情勢に合わせるべきである。
  ③便宜的・恣意的な解釈変更ではないし、十分な根拠のある変更である。
  ④憲法学者の学者的解釈が絶対的か?それにしても、一年前の6月4日の憲法調査会での某学者の発言から潮目が変わった
   と思える。彼を参考人招致した者は責任を感じているのか?
  ⑤戦争法案とか地球の裏側まで戦争に行くのか、戦争できる国にするのかと感情的扇情的な言説に対して冷静かつ毅然として
   反論してきたのか?
  ⑥百田尚樹氏の「カエルの楽園」を読んで頂ければ良いのだが、絶対平和主義では国を守れない、否生存のみであれば可能
   だとしても自らのアイデンティティは否定される。太った豚でも構わないというのか?そのようなことを考えて欲しい。
   憲法守って国滅ぶの愚だけは避けたいものだ。
    本山下塾第6弾第1話を参照
  ⑦軍事をコントロールするのは国会の役割である。そのシステムが確立されることが肝要だ。余りにも手足を縛り過ぎる
   のは、自らの自信の無さを如実に示している。
    近代的政治システムでは軍事が暴走することは有り得ない。日本はそれほど成熟していると信じるのだが・・・
   参考:某RC講演レジュメ
   http://yamashita.webcrow.jp/JBpress/20151006.pdf

3 平和安全法制の概要
 下図は、平和安全法制の全体像を示したものである。


  ①現行10法を一括改正する一括法案と新規制定1本(国際平和支援法)
  ②新たな法制で拡充する自衛隊の活動
   ・集団的自衛権:存立危機事態に限定行使
   ・他国軍への後方支援:米軍以外への後方支援も可能に、恒久法の制定で迅速派遣
   ・PKO等:駆け付け警護、任務遂行目的の武器使用
   ・武器等防護:米軍など他国軍の武器等防護も対象と
  ③事態対処法に「存立危機事態」への対処を新設
   新3要件の下で、武力行使を可能に
    新3要件等とは  (赤字部分が追加部分)
    ・我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、
    これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険
    があること

    ・これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
    ・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
    *新3要件で新たに可能となる「武力の行使」は、『我が国を防衛するため』の止むを得ない「自衛の措置」
     であり、「存立危機事態」への自衛隊の対処は、自衛隊法第76条(防衛出動)と第88条(武力行使)に
     よるものとし、第3条(自衛隊の任務)において主たる任務に位置付ける。
  ④集団的自衛権の類型
   法律に明示的に示されている訳ではないが、集団的自衛権を解りやすく説明するために集団的自衛権の
   4類型が示されている。拙著「岐路に立つ自衛隊」から転載


  ⑤グレーゾーン事態対処について
   他の重要な論点は、グレーゾーン事態対処である。民主党が対案を出していることもあり、朝野の関心を
   集めた。政府は海上警備行動等の迅速な発令で対処するとしている。
   詳細は、変わりゆく自衛隊第十九話「平和安全法制の概要(2)グレーゾーン事態対応について」を参照
   (http://www.jpsn.org/lecture/yama_vol5/8264/


4 幾つかの論点
 平和安全法制については、幾つかの論点、私見がある。
 下記のサイトを参考にして頂きたい。
 1 武力行使との一体化論からの脱却を
 2 特異なる存立危機事態の設定 限定容認からフル容認への転換を!
 3 積極平和主義と自衛隊の役割について 自衛隊の活用の幅は?
 4 自衛隊の抑制的活用は是か?
 5 事態の例示・類型化の陥穽等
 6 国民の良識を信頼すべし
 7 幾つかの論点
 8 日本の議論は特異
 9 憲法第9条1項及び2項に集団的自衛権を禁ずるとの文言はない。
 10 「必要な自衛の措置」を、如何に判断し、具現化するかがポイント
 11 必要最小限度とは
 12 違憲か否かの判断は、最高裁判所の権能
 13 国家存立に係る法律が、違憲審査に馴染むかどうか疑問
 14 まず、国策を判断し、次いで憲法を考量すべき
以上は下記のサイトに詳細記述
 ・平和安全法制論議に異議あり!(憲法違反問題に関連して)
  http://www.jpsn.org/opinion/word/8495/
 ・変わりゆく自衛隊第二十六話「平和安全法制の概要(完)課題:より良き法整備を目指して!」
  http://www.jpsn.org/lecture/yama_vol5/8320/
(了)