山下塾第6弾
第九話 憲法改正と防衛安保関連今後の課題について
1 はじめに
山下塾第6弾の九話は、憲法改正についてである。憲法問題については、夏川氏との共著「岐路に立つ自衛隊」の8p~20pに記述してあるので、それを参照して貰いたいが・・
その項目を以下に記述する。
① 憲法前文と第9条の関係
② 憲法第9条はどのように生まれたか
③ 時代によって変化してきた憲法第9条と自衛権解釈
・様々な憲法第9条の解釈
・憲法第9条解釈はどのように変化したか
・憲法解釈に関わる問題点
・集団的自衛権に関する解釈の現状
・国連が行う集団安全保障への参加
・自衛権発動の条件に合致しないような事態への対応
興味と関心のある方は、ご一読をして頂きたい。
山下塾第6弾の契機となった先般の講演時に使用したスライドを以下に示す。

簡単に補足したい。
① 現憲法はがそれなりに果たしてきた役割を全て否定する心算は毛頭ないが、現憲法がマッカーサー元帥の強い意向を
色濃く反映していることは自明である。その限りにおいて、日本人が自らの意思により制定したものではない。押し
付け憲法と云われる所以である。戦後既に70年を経て時代も変わってきたのだから、日本人自らが制定した日本の
特性に合致した憲法を制定して良いのではないだろうか?
② 現憲法が想定した国際情勢は今に至るも実現されてはいない。国連が世界の警察官としての役割を果たし得ないことは
自明だし、「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようとした」という前文の理想は最早楼閣
でしかない。現実に立脚した憲法とすべく改正すべきだ。また、現憲法が非武装中立や東洋のスイスをイメージした
ものであったとすれば、戦後発展した日本には、国際社会で果たすべき色々な役割が増えてきた筈であり、それらにも
対応するように改正する必要があろう。
③ 3番目の項目は補足の要は無かろう。日本弱体化を狙い、簡単には改正させないとの思惑は見事に奏功したというべきだ。
④ 公明党は加憲を標榜しているが、確かに現憲法には欠如している事項や新しい概念の導入が必要であるかもしれない。
何を追加すべきか等について、国民的議論が必要だ。
小生の関心事は非常事態条項の創設である。憲法に明文規定を設けるべきか否かは議論があるとしても、・・
詳細は、小生のHPを参照願いたい。
http://yamashita.webcrow.jp/JBpress/kinnkyuujitaikihonnhou.pdf
⑤ 我が国憲法の特色は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つであるとよく言われる。現憲法を特徴付け
る三大要素と呼ばれる所以だ。日本の憲法は世界に誇れるものだとも言われる。然し乍ら、研究者によれば、平和主義条項
を設けていない憲法は少ない。日本の平和主義は特別だとの思い込みとそうであった欲しいとの唯我的意識が垣間見える。
⑥ 昭和21年6月25日、戦争放棄を盛り込んだ憲法改正案(日本国憲法の原案)が衆議院本会議に上程され審議が行わ
れた際、日本共産党の野坂参三議員は、憲法に非戦・非武装の条項を盛り込むことについて、危機感をこめて次の
ような演説を行っている。「われわれは民族の独立をあくまでも維持しなければならない。日本共産党は一切を犠牲
にして、わが民族の独立と繁栄のために奮闘する決意をもっているのであります。」ある研究者によれば、野坂参三
だけではなく、当時、日本共産党の志賀義雄も「新憲法(日本国憲法のこと)の武装放棄条項だけは絶対にのめない」
という演説をしたという。小生に言わせれば、当時の共産党は全く正しい判断をしていたのだ。
2 防衛安保関連の今後の課題
次のスライドは、小生が考える防衛・安保関連の今後の課題である。本第6弾でも縷々述べた事項の再掲でもあり、
多言を要しないだろうと考える。割愛させて頂く。

(了)