山下塾第7弾 防災と三助

山下 輝男

第一回講座 大規模災害対応の理念・基本等

第一回講座


初めに

 山下塾第7弾では、防災を取り上げます。異常気象による豪雨災害、切迫性が叫ばれる大規模地震もあって、防災についても種々改善等がなされています。本塾では、防災に関する最近の動向等をメインに説明等を致します。最新の知見とそれに基づく諸情報、最近の災害状況に応じた各種施策の改善状況等を可能な限り取り入れました。
 個人や地域共同体を主たる対象として述べます。
 題して、「防災と三助について」です。三助は、「サンスケ」ではなく「サンジョ」と読んで頂きたいと思います。三助とは、自助、共助、公助の三つの助を意味しています。防災においては、この三助が重要であると云われています。









 山下塾第7弾の説明項目は、次のスライドの通りです。
先ず、大規模災害対応に係る全般事項について説明します。次いで、共助、自助の必要性や重要性、何を実施すべきか、課題は何か等につては述べたいと思います。
 それらを踏まえて、自衛隊が大規模災害に如何に対処してきたのか、小生の経験を踏まえての大規模災害対応の課題等を一緒に考えましょう。







 災害の実相を知るには映像が最適です。中部方面通信群作成の阪神淡路大震災の記録DVDを見て頂きたいのですが、上手く再現できない可能性がありますので、バックアップ用として内閣府防災情報にある映像等を紹介しますので、イメージアップを図って下さい。
先ずは、阪神淡路大震災の発災直後の揺れの状況です。1995年(平成7年)1月17日朝5時46分に淡路島北端を震源域とする最大震度7の地震が起きました。当時、小生は東海、北陸、近畿、中国、四国の2府19県を統括する陸上自衛隊中部方面隊の司令部である方面総監部(在伊丹市)の防衛部長であり、災害対処の主務部長でありました。爾来100日間、不眠不休の災害対処活動を行ったのです。
 その詳細は割愛させて頂きますが、大規模地震の揺れの実相を思い起こして頂きたいと思います。

 〇内閣府防災情報から
  南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に備えるためには、行政機関のみならず、民間事業者や国民一人ひとりの取組みが不可欠です。
内閣府では、これらの大規模地震の被害想定と対策について関係者の理解を深め、自助・共助の取組みを促進すべく映像資料を作成しました。訓練・講習等にご活用ください。
下記のホームページから視聴・映像データのダウンロードが可能です。
・映像の視聴(内閣府防災情報のページ)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankai_syuto.html
・映像データのダウンロード(TEAM防災ジャパンホームページ)
https://bosaijapan.jp/library/nankai_shuto_movie/



説明項目


 大規模災害対応全般で説明する項目は次のスライドの通りです。


大規模災害対応の理念・基本等


① 理念について
 防災というと災害を完全に防ぐという文字通りの意味に誤解される恐れがあるので、災害時の被害を最小化し、
 被害の迅速な回復を図ることを減災と概念規定し、この減災を基本理念とした。これは例え、被災したとしても
 人命が失われないことを最重視し、また経済的被害ができるだけ少なくなるよう、様々な対策を組み合わせて
 災害に備え、災害時の社会経済活動への影響を最小限にとどめることが必要である。
② 防災には、3つの段階:「災害予防」「災害応急対策」「災害復旧・復興」の段階があるが、これらを通ずる
 基本軸は「災害に強い国家の創造」であろうと考える。特に最も重要な段階である「災害予防」の段階に
 おいては、災害に強い国家づくりが切望される。
③ 災害対策の実施に当たっては、国、地方公共団体及び指定公共機関がその役割を果たすと共に相互に密接な
 連携をとることが重要であることは論を俟たない。併せて、これら機関を中心に、住民一人一人が自ら行う
 防災活動や、地域の防災力向上のために自主防災組織や事業者等が連携して防災活動を促進することで、国、
 地方公共団田、指定公共機関、地域、個人が一体的に取り組むことが重要である。





 三助即ち自助・共助・公助については、よく言われるのが「自助:共助:公助=7:2:1」であり、自助や共助が極めて重要であると強調されている。この意味について考えてみたい。

① 7:2:1は、阪神淡路大震災の教訓として提唱されたもので、発災後の早い段階での生存者の救出割合が、
 概ねこの比率であったとの分析結果から考え出されたものであります。
② この名句は自助や共助の重要性を強調しています。確かに生存者の早期段階での救出についての公助には限界がある
 でしょう。それは、致し方のないことだと考えます。隣人友人による救出より警察消防による救出が早いことはないでしょう。
③ だからと言って、公助を蔑ろにして良い訳ではありません。公的機関による防災には公的機関でなければ実施できない
 ものがメインであります。自助共助公助何れに過度に依存して他は必要ないという暴論は頂けない。それは役割分担の差で
 あって、この三助が機能してこそ防災の実を上げることができる。
④ 公助には自助や共助では対応できない災害対応があり、また、自助共助を促進することにより、公助がより厳しい局面等
 での対応を可能とし、それが即ちより多くの被災者対応ともなり、他助とも云える望ましい状況が出現する。






 大規模地震の切迫性について説明します。以下の資料は、「内閣府防災情報」(http://www.bousai.go.jp/jishin/gaiyou_top.html)に掲載されているものです。
 大地震が起きると云われて久しく、未だに起きていないので、「オオカミ少年」ではないかとの論もあるが、防災、危機管理の立場からは、明日起きても可笑しくない、最悪に備えるとの観点から予防に全力を尽くすべきである。

 南関東では、数百年間隔で発生する関東大地震クラスの地震の間に、マグニチュード7クラスの直下型地震が数回発生する可能性があります。大都市直下で発災した場合、多大な被害が生じるものと予想されています。