山下塾第7弾 防災と三助

山下 輝男

第九回講座 自助全般、災害時心理特性、避難


初めに
 第九回講座では、自助全般、災害時の心理特性及び災害時避難の課題について考えます。


「自助」説明項目
 4番目の大テーマは「自助」で、説明する項目はスライドの通りです。





自助全般
 自助は個人の命を守り、被害を局限、最小化することで、色々とやるべき事項があります。また、公助等に過度に期待することなく、最小限の自存・自活が出来なければなりません。サバイバルの方法を見つけて、工夫をすることが必要です。
 もう一つの側面は、事前に色々と確認しておくことが重要だと云いうことですね。
 自助というときにはこの3つの側面から種々検討しておくべきです。そして、何が問題か、どうすればいいかを常に研究しておくことが求められます。一日前プロジェクトというものがあります。明日、大災害が起きることが明らかな場合に、今日何をすべきかを考えてみて、足らざるところを明確にして準備しようというものです。
 内閣府のホームページには、次のように説明されています。
「一日前プロジェクト
 「災害の一日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか」と、地震や水害などの被害に遭われた方々に問いかけました。 「タンスがあんなに簡単に倒れてくるなんて思わなかった。」というお話や、「家族と連絡が取れずとても不安だった。」というような体験談から、私たちは何かを学びとることができるでしょう。」

色々と参考になることがあろうかと思いますので覗いて貰いたいですね。

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/ichinitimae/




災害時心理特性
 最近、大規模災害時に話題になるのが、「正常性バイアス」と云われるものです。
 危ない、危険が迫っていると云われても、今回も、大丈夫だ、自分は大丈夫だという全く根拠のない自信・過信に陥る心理状態ですね。危険の予兆を無視したくなる気持ちは解りますし、認めたくないのでしょうが、現実を直視すべきです。人間には斯様な心理的特性があることが解っておれば、バイアスに陥ることは少なくなるのではないかと考えます。
 また、迷ったら皆と同じように行動しがちなのも解りますが、それが被害を拡大させている可能性もあります。
 人間は、危機時にはどう対処していいか全く判断出来ないと云われており、1割程度の者はパニック状態に陥ってしまいます。そのような際に、正常でしっかり判断できるリーダーが存在して居れば被害は最小限に抑えられるでしょう。




避難の問題点等
 災害が起きる度に、避難が遅れた・間に合わなかった、避難情報や避難指示が解らなかった・聞こえなかった等々の理由で犠牲になるケースが絶えません。
 避難情報の種類や発令権者についておさらいをしておきましょう。
 避難準備情報というものがありますが、これは2004年の新潟・福島豪雨の教訓から設けられたものですが、これが特に問題を生じさせているようです。
 2016年8月の台風10号による大雨で、岩手県岩泉町では、高齢者や障害者などに避難を呼びかける「避難準備情報」が町から発表されたものの、情報の意味が正確に伝わらず、高齢者グループホームで入所者の避難が行われないまま、近くの川が氾濫して、入所していたお年寄り9人が死亡したことは記憶に新しいところでしょう。内閣府での検討会が開始されました。近々に結論が出るものと思います。
 何時も思うことですが、避難について、お上の指示がなければ出来ないというのでは情けないですよね。個々人の自主判断が強調されないのは何故でしょう。情報収集の手段は多々あるでしょうし、自らの目と感覚で危険度を判断出来ないというのは寂しいですね。個々人の危機予兆能力を研ぎ澄ますことが一番大事ではないでしょうか?
 なんでも直ぐ「上」に頼るというのでは情けないし、本当の危機には対処できないでしょう。(言い過ぎ?)




避難遅れの原因考察
 避難遅れの原因には色々あるのでしょう。列挙すればスライドのようなものでしょうか?中央防災会議に「災害時の避難に関する専門調査会」がせ、平成22年4月設置された。これは、近年、短時間強雨が増加している傾向にある。平成21 年の中国・九州北部豪雨では土砂災害が発生し、福祉施設において避難が間に合わず被害が発生し、台風第9 号では、避難中の人的被害が発生するなど、避難のあり方、災害情報伝達等が課題となった。また、平成22 年のチリ中部沿岸を震源とする地震による津波では、遠地津波への対応等が課題となった。こうしたことから設置が決まったものである。
本専門調査会においては、(1) 「避難」の考え方の明確化、(2) 避難準備情報、避難勧告、避難指示の実効性の向上、(3) 適切な安全確保行動を支えるための情報提供のあり方、(4) 各主体の防災リテラシーの向上の徹底 について調査を行った。
 その報告の要点は http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/31/pdf/31_siryo6-1.pdf
を参照して頂きたい。
 参考までに、課題に対する今後の方向性の項目のみをスライド下に記す。



 災害時の避難に関する専門調査会 報告要点「課題に対する今後の方向性」
1 避難の考え方の明確化
 ①安全確保行動の明確化
 ②避難先の明確化等
2 避難準備情報、避難勧告、避難指示の実効性の向上
 ①避難準備情報、避難勧告、避難指示の項目の明確化
 ②実効性ある避難勧告等の発令基準の策定
 ③避難勧告等の発令にあたっての実効性の向上
 ④避難準備情報の実効性の向上
3 適切な安全確保行動を支えるための情報提供のあり方
 ①住民などの安全確保行動に資するハザードマップ
 ②適切な安全確保行動につながる情報の内容
 ③多様化している情報伝達手段の活用
4 各主体の防災リテラシーの向上の徹底
 ①各主体におけるそれぞれの防災リテラシーの向上
 ②市町村の防災リテラシーの向上
 ③防災の専門識能の向上



避難についての基本的な考え方
 今まで説明したような避難実施上の問題点を踏まえた避難についての基本的な考え方はスライドの通りです。