山下塾第8弾 大災害と危機管理
(大災害から自己と組織を守る!)

山下 輝男

第2回講座 大規模地震等の切迫性と危機対処活動の概要等


初めに
 大規模地震特に首都直下型地震の切迫性が叫ばれ、最近では南海トラフ巨大地震も注目されている。本年(H30)6月26日には地震動予測図も発表された。地震の発生状況は、以下の通りだ。2016年(平成28)には震度7が連続して起きた熊本地震の記憶が新しい。また、本稿執筆時点(H30/7/17)における過去一年間の最大震度5弱以上の地震の回数は9回であることは前回講座で述べた通りだ。
 今正に進行中の西日本豪雨災害や鬼怒川決壊等々の水害も頻発し、大規模倉庫の大火災もあった。
 今回講座では、大規模地震の切迫性等についての最新状況を確認すると共に、首都直下地震における応急対策活動を概要を見て、その実効性等をどう判断すべきかを考えてみたい。

VG1 大規模地震の切迫性
 近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震がある。
 中でも、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で予想されている。
 尚、30年以内の発生確率が1%未満とされた熊本地震(布田川断層帯・日奈久断層帯)を想起すべきだ。
 「内閣府防災情報」(http://www.bousai.go.jp/jishin/pdf/hassei-jishin.pdf)等によれば、南関東では、数百年間隔で発生する関東大地震クラスの地震の間に、マグニチュード7クラスの直下型地震が数回発生する。大都市直下で発生した場合、多大な被害が生じると見積もられる。
 大地震が起きると云われて久しく、未だに起きていないので、「オオカミ少年」ではないかとの論もあるが、防災、危機管理の立場からは、明日起きても可笑しくない、最悪に備えるとの観点から予防に全力を尽くすべきである。
 首都直下地震は、明らかに国難災害となろう。事前準備や対処を誤ると日本は消滅してしまう可能性すらある。





VG2 南海トラフ巨大地震
 同じく切迫性が高いと言われるのが、南海トラフ沿いを震源域とする巨大地震である。3つの地震の連動型であり、惹起すれば、東日本大震災を超える甚大な被害があるものと見積もられる。





VG3 地震動予測地図の発表
 政府の地震調査委員会は、平成30年6月26日、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した「全国地震動予測地図」の2018年版を公表した。
 確率が最高レベルの26~100%は、首都直下地震の関東地方、南海トラフ地震が懸念される静岡から四国にかけての太平洋沿岸などだ。
 尚、北海道東部の確率が最高レベルとなったのが新しい。県庁等所在地の確率は、スライドの通りだ。詳細は、防災科学技術研究所が運営するウエブサイト「地震ハザードステーション」で確認して貰いたい。
https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/





VG4 関東地区の地震動予測地図
 将来の地震を引き起こすと考えられる断層の位置と形状、その地震の規模(マグニチュード)、地震に伴う断層のずれの量等を推定して、将来の地震発生確率が算出されている。都心に関連するのは深谷断層綾瀬川断層、越生立川断層である。
 確率が最高レベルにあるのは一目瞭然だ。尚、紫色部分は当時の講演場所が含まれる綾瀬川断層伊奈~川口区間を示している。伊奈とは、北足立(あだち)郡伊奈町であり蓮田市と上尾市に挟まれた地域である。





VG5 応急対策活動の概要
 大災害の際に行われる政府の応急対策活動は、スライドに示している①救助、救急、消火等の活動 ②医療 ③緊急輸送ルートの確保と防災拠点の開設 ④ 物資の確保 ⑤燃料 ⑥帰宅困難者対策 等に分類できる。
 小生が直接関連する首都直下地震における対策の概要をご覧になって、どうでしょう。これなら大丈夫だと自信を持って云えるでしょうか?次のスライで考察してみよう。





VG6 応急対策活動の評価
 東京都心から50km – 70kmの圏内(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県)、或いは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県を、「東京圏」や「東京都市圏」と定義されるが、この地域における人口は、約3,400~3,800万人である。
 単純に考えて、これだけの膨大な人口(被災者数)に対して、支援の量や質は充分だと云えるだろうか?
 自衛隊、警察、消防等の救援機関の勢力は、医療は、物資や燃料は、そして首都圏への緊急輸送は確保できるのか等々懸念材料には事欠かない。
 従って、自分のことは自分で守る、或いは我が街は皆で守るという自助、共助の果たす役割が極めて重要である。その事によって、公的機関による救助活動の負担を減らすとともに、より重要かつ緊急な正面への公助の振り向けが可能となり、全体としての安全・安心の確保が可能となる。広域且つ甚大な被害になればなるほど、行政機関そのものも被災者となるのは必定だ。現状ですら、厳しい地方自治体の危機管理対応能力は機能しない可能性もあり、行政が麻痺するものと覚悟しなければならない。
 悲観的に過ぎるかもしれないが、それ位の覚悟を持って大規模災害には臨むべきだ。





 第2回講座では述べなかったが、水害、火災災害も頻発している。これらについては、第5回、第6回講座で述べることとし、第3回講座では、防災の基本と最も重要な自助について述べる。これらにつては色々なところで説明しているので、簡単に説明することとする。また、災害時心理特性について考察し見たいと考えている。乞うご期待!