山下塾第8弾 大災害と危機管理
(大災害から自己と組織を守る!)

山下 輝男

第7回講座 危機管理の原則、危機とリーダー


初めに
 今回の講座では、第2回講座から第6回講座までの大規模災害対処の状況等を踏まえて、このような事態における危機管理等について考えてみたい。


VG1 
 危機管理の総括として説明する項目は、スライドの通りである。1項から3項までは今までの山下塾でも説明しているので、簡潔に説明することとする。4項以降は、本邦初公開(先日の防災講演の際に説明はしたが・・)である。乞うご期待。





VG2 危機管理の原則
 危機は基本的には未然防止に努めるべきであるが、天然災害は人間がコントロールできるものではなく、何れ起きることを覚悟して事前対策を可能な限り講ずることが肝要である。危機回避のために備えることは将来の危機に対する先行投資である。
 事態が発生したら、早期に事態を収拾して、被害を局限し、拡大を防止することが肝要だ。





VG3 危機管理の要諦
 危機管理の要諦、危機管理の要点、最重要事項は何か。小生の今迄の経験から導き出したのが、スライドの内容である。危機対処ではリーダーの役割が極めて重要だ。
 指揮官が具備・錬磨すべき資質・識能には多々あるが、今何を決定し命令し実行させるべきかを適切に判断できるかどうかだ。「状況判断の基本的要件」と呼ばれるものだ。後ほど具体的に説明する。
 初動対処が極めて重要だ。その為には状況の迅速且つ正確な把握が肝要である。大所・高所から全体を把握すると共に、時には詳細に己が目で確認することも必要だ。
 鳥にも虫にならねばならない。
 10項は、長年の経験と研鑽によって身に付くものだ。何かが可笑しいと嗅ぎ取る感性・嗅覚が事前防止、早期収拾に益する。





VG4 危機時のトップリーダー
 リーダー論は多々あるが、それらを集約すればスライドの通りだろう。危機における指揮官・リーダーの果たす役割は極めて重要だ。指揮官は決断する動物だ、大局観に立脚した判断が出来ねばならない。
 5項について。事態が惹起した直後の対処は、もぐら叩きみたいに、当面の状況に対処するのみで、全体としての方策の基に組織的に行動している訳ではない。受動に陥っているのだが、主導権を奪回して逐次に組織的対応に移行しなければならない。





VG5 トップリーダーに関する参考
 7項について特に述べたい。危機対処における指揮官の位置は極めて重要だ。
 扇の要の位置に位置するか、前線に位置すべきかの悩みがあろう。その位置に所在する意味をしっかり把握して己の位置を決めるべきだ。焦点に位置すべきだ。とは言え、行くべきではない時に行き、批判を浴びた首相も居たが、考えるべきだ。





VG6 阪神淡路における村山首相の言動から
 村山元首相の証言録は参考になる。特に参考とすべきは③項だ。最高責任者は最終責任をとるのが当然だし、事態収拾の為には従来の慣行は云うに及ばず、いわば超法規的な事をも敢えてせざるを得ない場面もあるやも知れぬ。そのような場合に、現場責任者に事態終息後に責任を採らせてはならない。責任転嫁や回避は決してあってはならない。





VG7 組織特性とリーダー
 軍隊・自衛隊のように指揮命令系統が確立されている組織は危機対処には適している。勿論適任の人材が夫々の職にあることが前提ではあるが・・
 最近、組織形態がフラット型になりつつようだ。緩やかな共同体的な組織もある。地域の各種の組織はその典型だろう。会社等でもフラット型が多くなっているようだ。これらのタイプの場合の危機対処時におけるリーダーシップについてはスライドのようなことが言えよう。





VG8 指揮の要訣
 リーダーとして、部下や組織を指揮して任務を達成する際には、指揮の要訣を常に意識して欲しい。確実な掌握の下、決断した方針を明確にして、それを命令にとして部下や組織に徹底させねばならない。そうすることにより統一的・組織的対処行動ができ、事態を収拾できる。





VG9 状況判断の基本的要件
 自衛隊における指揮官として、小生が常に意識していたのが、状況判断の基本的要件である。当面する事態や状況に際して、何か決断する事項があるのか、それは今なのか、でないとすれば何時なのか、決定するために足りない情報資料はないのか等々を意識しつつ、部隊に対してきた。
 教範的にはスライドの通りであるが、参考にして貰いたい。





VG10 危機と広報
 危機管理と直接関係はないが、事件・事故・不祥事が起きた場合における会社等の対応が頂けない面が多々ある。隠蔽し事態を益々悪くし、ウソにウソを重ねて最終的には土下座をしなければならなくなる。





 次回講座では、人は何故危機管理に失敗するかについて考察する。乞うご期待。