山下塾第8弾 大災害と危機管理
(大災害から自己と組織を守る!)

山下 輝男

第8回講座 人は何故失敗するのか?


初めに
 危機管理に失敗しようとして失敗する筈はないが、失敗ばかりしているようだ。
 事件、事故、不祥事対応において、失敗事例ばかりが目に付くと言ったら、言い過ぎだろうか?
 何故失敗するのかを考察するとスライドのような原因になるのだろうか?
 それらについて検討してみたい。




① 知って学ばず、知りたくない!
 それなりの人生経験を積んだ者は、危機管理について何がしかのノウハウなり を持っている筈だし、教育訓練をも受けていよう。然しながら、それを己のものとしていない。正に知って学ばずの状態になっている。“知りたくない”というのは色々な意味合いがある。怖いものには関わりたくない、自分にはそんなことが出来る筈がないし、知る必要性すらない、だから知りたくないということになる。


② 口先で糊塗可能と誤判断
 企業の不祥事なんかで良くみられる事例が、上手く言い逃れる方法はないかと無駄な努力をして結局のところ、矛盾や嘘が暴露されて窮地に陥ってしまう。嘘は必ず、露見するものだと考えて対応すべきなのだ。国民の目をごまかすことは基本的には無理だと知るべきだろう。


③ 事態の重要性や事態展開の認識不足
 これ位は、公表する必要もないし大丈夫だろうと事態を軽く見ていると、他の視点から見るとすごく重要な事だということがある。事態を多角的視点から評価判断する必要があるのだが、それが出来ないというケースもあるようだ。
 また、事態の軽重緩急を誤判断するとどうなるか?事態が予期に反して益々拡大し収拾がつかなくなるのだ。
 事態の軽重緩急及び展開性を慎重に判断して対応しないと取り返しのつかない失敗をしてしまう。


④ 当面の利益重視
 事態の発生する確率が高く、対策を採る必要は重々理解しているが、その為の出費は痛い。今日明日にそのような事態が発生する筈はないだろうし、無用な経費支出は抑制したいとの意識は当然在り得るのだろう。しかし、事前対処しなかったことで、事態発生に際してより重大な被害が出て事前対策費をはるかに上回る経費が必要となる。
 危機管理はそういう意味においては必要な先行投資だし、充分にペイする筈だ。抑々、危機管理を経済的な視点で考慮することが正しいのだろうか?


⑤ 確率軽視、確率と被害程度の考量
 次回講座で述べるが、確率が低いから対策を採る必要がないと判断して結果的に失敗したというケースもある。例え確率が低くても、被害の程度が大きいと判断されるならば相応の対策を採るべきではないのか?


⑥ 災害時心理特性
 今回の西日本豪雨でも見られたが、正常性バイアスの罠に陥っているケースも多い。
今迄大丈夫だったから今回も大丈夫な筈だ、私は自らの身を護れる自信がある、まだまだ大丈夫だ等々の判断に捉われて機を失して逃げ遅れてしまう。
 自ら事態を正確に把握認識するよりは、皆と同じように行動すれば十分だという多数派同調主義も失敗の原因ともなり得る。
 異常事態時に正常な判断できる人は1割にも満たないと言われる。茫然自失、パニックに陥ったら真面な対応が出来る筈がない。危機対応に失敗するのは明らかである。


 さて、次回講座は山下塾第8弾の最終講座である。危機管理上の主要な論点や自己研鑽等について述べたい。乞う、御期待。