山下塾第8弾 大災害と危機管理
(大災害から自己と組織を守る!)

山下 輝男

補講 西日本豪雨災害の課題・教訓(総括)


1 始めに
 異常気象新時代を象徴するような平成30年7月豪雨であった。今回は特に広域且つ予期もせぬ集中豪雨であり、近年稀に見る大災害となった。避難遅れが多々あり、高齢者等の災害時要援護者の死亡が多かった。我が国の治水、防災対策は、ハード面ではそれなりに進んでいると思えるが、避難等に係るソフト面では課題が多い。
 本稿は、山下塾第8弾第五回講座 河川氾濫等の補講との位置付けであり、各種の情報を参考にして、西日本豪雨災害から一ケ月における、本災害の避難等に関する教訓等を総括しようとするものである。


2 西日本豪雨災害の概要等
(1)集中豪雨の状況
 平成30年6月28日から7月8日(11日間)にかけて、バックビルディング現象を伴う線状降水帯が発生し、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録的な大雨となり、平成30年7月豪雨と名付けられた。本集中豪雨による災害は西日本豪雨災害と云われている。
 線状降水帯が11日間で68回発生、気象庁は、最大級の警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」を運用開始以来最多となる計11府県に発表した。期間総降水量は、四国地方で、1,800mm、中部地方で1,200mm、九州地方で900㎜、近畿地方で600㎜、中国地方で500㎜を越えたとの観測データが公表された。


(2)被害状況等
ア 人的被害(7月31日夕現在)
死者220名、行方不明 10名(14府県で発生)
  60代以上、災害弱者の死亡が約7割とも。

イ 建物被害  全壊 5,236 半壊 5,790 一部損壊 3,024(31道府県で発生)
ウ 鉄道 鉄道11事業者が運航する36路線が運休
殆どが赤字ローカル線


(3)災害区分(関西大学河田氏による分類:NHK視点論点から要約)
ア 土石流による洪水氾濫 →広島市、宇和島市等
イ 砂防ダムの決壊に伴う洪水氾濫 →広島県坂町小屋浦
ウ ため池の決壊   →福山市など
エ 橋脚の上流での水面上昇による氾濫 →府中町榎川
オ 治水ダムの放流による氾濫 →愛媛県肱川の野村ダム  大洲市、西予市で犠牲
カ バックウォーターによる氾濫 →倉敷市真備地区 深さ4m超
キ 排水施設の能力不足による氾濫 →広島市安佐北区矢口川
 尚、昭和42年から平成23年までの44年間に起きた自然災害全体の犠牲者に占める土砂災害の割合は、41%であると云う。(NHK視点論点から)


(4)自衛隊の災害派遣について
ア 8月8日現在の災害派遣態勢


イ トピックス等
①大雨災害としては、過去最大規模
②即応予備自の災害派遣任務は、三回目なるも大雨災害としては初
③防衛省がPFI方式により契約している民間船舶「はくおう」の活用
  宿泊支援 累計203名 入浴支援 累計5,562人
④派遣隊員に地元からの感謝の声(産経ニュース)
  https://www.sankei.com/premium/news/180810/prm1808100005-n1.html


3 避難について
(1)避難勧告・指示等に係る課題  大雨に関し気象庁が発令するのは、「大雨注意報」「大雨警報」「大雨特別警報」である。自治体は、気象庁の警報や地域の雨量や水位などをもとに「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示(緊急)」が発令する。


ア 発令時期
 過去の災害では、発令遅れが問題となり、2014年、国は指針を改定した。空振りを恐れずに、早めの発令を求めたのである。
 各種報道を総合してみると、各種情報等の発令は適切に為されたと云えよう。NHKが、市町村が避難に関する情報を発表した時刻を分析した結果、広島県内では三分の二が、土砂災害警戒情報発令から概ね1時間以内に避難勧告を発出した。概ね迅速に避難情報が発令されたと云える。
 空振り覚悟で避難勧告等を発出しても、それが住民の避難に直接結びつかないケースがある。勧告が発出されても実際に被害が出なかったことも有り、情報に対する信頼度が低下している。結果的にオオカミ少年とならざるを得ない場合がある。


イ 発令内容の理解不十分
 避難に関する発令内容を理解できていない者も多いのではとの指摘もある。名称や趣旨が紛らわしい、混乱するとの批判もある。
 数十年に一度の大雨と云っても、何が特別なのか等も解らないとも云われる。最近、特別な用語が頻繁に使用され、混乱しているとは感じる。シンプルで受け手が即行動に移行し得るような用語はないのか今後の検討課題だろう。


ウ 発令内容の住民への確実な伝達
 各種警報や避難情報が適時に発令されたとしても、それが住民に確実に伝達されねば意味がない。豪雨で聞きづらい中或いは深夜、防災行政無線やサイレンが確実に伝わるか不安である。肱川の野村ダムの放流に関する情報は適時に発令されたとされるが、如何せん確実に伝わっていない。ダムの放流と住民への伝達・周知を工夫すべきだ。
 個々の家庭に防災無線を傍受できるラジオの配布や無線受信装置の設置或いはエリアメールや緊急速報メール等の活用が検討されねばならないだろう。


エ 土砂災害警戒区域や特別警戒区域の周知等
 土砂災害防止法では、土砂災害警戒区域や土砂災害特別区域を都道県知事が指定する。土砂災害警戒区域は、日本全国で約40万か所(2015年8月末時点)だが、さらに増えて約65万か所になるとも言われている。
 4年前の広島県土砂災害では警戒区域の指定が遅れていた地域で大きな被害が出た。今回は、土砂災害区域など危険個所と公表されていた場所で死亡した人は、土砂災害死亡者75名中65人であった。
 危険個所の公表は進捗したが、それが活かされていない実態がある。如何に周知し、避難行動につなげるかが課題だ。


(2)早めの避難行動が為されなかったのは何故か
ア 避難率について
 大雨特別警報が発令されて避難した人の割合である避難率は、広島市内で5.6%、福井県で指示対象者の3.3%であったという。この数字を見ると、避難指示とは一体何なのだと思わざるを得ない。避難行動に繋がらない避難指示は無意味ですらある。


イ 正常化バイアス
 避難が遅れる原因として指摘されるのが、「正常化バイアス(偏見)」である。まだ大丈夫だ、逃げるほどではない、大したことはない、今までも大丈夫だった等と正常の範囲内だと思いたがる傾向がある。危機を楽観的に捉えてしまうリスクがあるのである。過去の経験に縛られて危機に陥ることも有る。


ウ 避難所の環境に対する不安等
 避難しないことの言い訳にしか聞こえないと云えば失礼だが、自宅とは余りにも違う環境に馴染めないので避難を出来る限り避けたいとの心理があるとも云われる。
 一時的な避難所であっても、それなりに環境を整備することが必要なのだろう。ホテルや旅館を避難所として、特別に契約している例もあるようだ。


エ 災害弱者対策の遅れ
 災害弱者の避難については、「災害時要援護者避難支援ガイドライン」や「災害対策基本法等により、「避難行動要支援者名簿」を作成し、個々の要援護者に関する、「個別計画」を策定することとなっており、当然訓練も為されていなければならない。然しながら、死亡者の多くが災害時に避難支援を要する者であったことは残念である。


(3)避難等の成功事例
ア 明治の教訓生かした総社・下原(山陽新聞7/16)
 6日から7日にかけ大雨と地元のアルミ工場爆発という二つの非常事態に直面した総社市下原地区では、300人余りの住民が迅速な避難を果たした。明治期に近くの高梁川が氾濫して多くの命が失われた記憶を胸に、毎年防災訓練を実施。真夜中にもかかわらず、素早く組織だった動きを見せたことが、その後に浸水した地区で一人の死者も出さないことに役立った。
 逆に、先人の教訓が生かされなかった事例もある。西日本豪雨の被災地では、過去にあった水害や土砂災害の歴史を、石碑を建立して後世に伝えていた。倉敷市の真備町の源福寺には伝承も残る。真備町の川辺小学校にも水害の記録を伝える石碑が残る。水害碑は広島県内には少なくとも50基あるという。(産経新聞7/17)


イ 広島市安佐南区(日経新聞)
 2014年の豪雨で68人が死亡した安佐南区では、今回死者はゼロであった。砂防ダムの整備や排水溝の拡幅などを進める一方、住民主導で防災教育の推進や災害マップの作成で防災意識の向上に取り組み、それが今回活かされたと云える。


ウ 松山市高浜地区
 土砂災害の危険区域の公表を受けて、住民が自主防災マップを見直し、土砂災害用の避難場所を新たに指定する等の準備を進めてきた。今回、自主防災組織や町内会長等が地域の見回りをはじめ、土砂災害の兆候らしき個所を発見するや消防署員を呼んで相談し、避難の呼び掛けを決断した。また市に避難勧告を出すよう要請し、市は発令した。行政の指示を待たずに自分達で地域を守ったケースである。(NHK時論公論)
 その他にも、地域の備えが奏功し、人的被害がゼロというケースがある。愛媛県大洲市の三善地区は肱川の氾濫で約80戸が浸水したが人的被害はなかった。独自の防災マップを作り、高齢者らには持病や血液型を書き込んで首から下げる「避難カード」を配っていた。避難指示が出ると住民は続々と公民館に集まった。
 これらの成功事例を知ると大災害による被害者を少なく出来ることが解る。住民の防災意識を高め、情報を共有し、避難訓練を行う等の地道な活動が重要だ。


4 その他の教訓や課題
(1)災害ゴミの処理
 大規模災害時では必ず問題になるのが「災害ゴミ」の処理問題である。数百万トンに及ぶとみられる災害ゴミの処理は長期に及ぶと考えられ、広域対応も必要になると思われる。
 環境省は8月7日、西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山、広島、愛媛3県の災害廃棄物が計290万トンに上るという推計をまとめた。2016年に起きた熊本地震の約300万トンに匹敵する量だ。学校の校庭などに仮置きされている廃棄物について、中川雅治環境相は「8月中に撤去できる」との見通しを示した。
https://www.asahi.com/articles/ASL874HN7L87UBQU010.html

尚、東日本大震災における災害ゴミ  約3,100万トン
  熊本地震             約300万トン


(2)ため池等対応
 今回の豪雨では、農業用水を確保する“ため池”の決壊が相次ぎ、被害が拡大する一因になった。ため池は全国に20万か所あるとも云われ、ため池基準の見直し等が必要との指摘もある。
 西日本豪雨を受け、中・四国地方を中心とする6県は23日、“ため池”の補強や廃止のための予算確保を求める緊急要望書を農林水産省などに提出した。
 治水ダムについても、老朽化もあり、基準を超える雨量に耐えられるかどうかの課題もあるだろう。早急なる対策の検討が必要だ。


(3)砂防ダムや治山ダムについてだ。
 砂防ダムが奏功して被害を免れた地区がある一方、完成したばかりの治山ダムを越えて土砂が住宅地に流れ込んで犠牲者が出た地区があったという。
 砂防ダムの強度不足が疑われるものもあるが、基準の6倍を超える水量に見舞われたケースもあった。
 何れにしてもハードのみでは防災は出来ないことは明らかであり、過信してはならない。
 予兆・前兆の監視・把握システム、警報の発令と周知・伝達手段の確立、早めの避難実施のための計画等が重要だ。


(4)交通インフラの強靭化
 赤字ローカル路線の復旧は鉄道事業者には負担だろう。その路線の強靭化を図るとなると事業者は二の足を踏むかもしれない。誰が復旧費用を負担するかで、鉄道事業者と沿線自治体との間で激しい議論が繰り広げられるという。
 尚、6月15日、鉄道被災の復旧をする際に補助金を受け取れるとするべく、鉄道軌道整備法が改正された。


(5)ボランティアや物資支援等
 ボランティアが復旧に携わるのは有り難いことではあるが、休みの日に集中するので、それを平均化できれば望ましいだろう。ボランティア休暇制度の更なる活用が望まれる。
 物資支援については、被災者のニーズに中々マッチしないという問題、被災地周辺で救援物資が滞留するという問題、被災地内での輸送が困難、救援物資の偏在等を如何に解決するかが必要である。ニーズは逐次に変化するものであり、それに見事にマッチングさせるのは困難だ。


(6)住民に対する事前の所要情報提供
 ハザードマップの提供等に差異があり、また使い勝手が悪いものもあるとの指摘もある。土砂災害特別警戒区域等の指定・公表は地価の低下を招くので、地域住民の反発を招くことも有る。命を採るか否かの問題ではない筈だが、・・


(7)温暖化対策は
 日本各地で「これまで経験したことのないような集中豪雨」が発生し、四国では日本の最高気温の新記録が更新された。近年の極端な高温や大雨の頻度が長期的に増加する傾向の背景には、地球温暖化が関わっているとみられる。
 地球温暖化により、長期的な傾向としては地球の平均気温が上昇し、地域ごとの気温は不規則に変動しながらも、極端に暑くなる頻度が徐々に増えてきる。
 世界の危機感も大きく、地球温暖化対策のため、2015年に196か国が参加してパリ協定が締結されたが、二酸化炭素などの大排出国であるアメリカが昨年、協定から離脱し、温暖化対策には暗雲が漂っている。


5 総合的な土砂災害対策の推進(参考資料)
 平成26年の広島土砂災害等をはじめとする土砂災害を教訓として、中央防災会議において総合的な土砂災害対策検討ワーキンググループを設置して検討を行った。その報告書が平成27年6月に公表された。その内容は、西日本豪雨災害の教訓に共通するものであるので、以下にその概要を紹介する。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/08/pdf/shiryo5.pdf

方針:土砂災害からの被害を最小化するために、住民と行政が一体となった総合的な取組を実施
1 土砂災害の特徴と地域の災害リスクの把握・共有
○土砂災害の特徴の共有
●土砂災害は、突発性が高い、事前予測が困難、逃げるのが困難、破壊力が大きいため人的被害に直結しやすい等の特徴を有している一方、危険な区域については事前調査によりかなりの程度で把握することが可能
●避難する住民自身が早め早めの避難の重要性を認識することが必要
●住民が適時適切な避難行動を採れるよう、国・都道府県・市町村はリスク情報の説明や災害時に必要な情報を発信

○地域における土砂災害リスク情報の把握・共有
●住民と行政の双方が地域における土砂災害リスク情報を把握・共有
●平成31年度末までに土砂災害警戒区域等の指定のための全国の基礎調査を完了
●基礎調査が完了するまでは土砂災害危険箇所の情報を適宜周知
●土砂災害の危険性に関する情報について、よりきめ細かな情報を提示・共有

○リスク情報の活用
●地域を取り巻くリスク情報を踏まえた上で、警戒避難体制を整備



2 住民等への防災情報の伝達
以下の事項について「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を改定
○避難準備情報の活用
●避難準備情報の意味等(指定緊急避難場所の開設、要配慮者に対する避難勧告、一般の人々の避難準備、土砂災害警戒区域・危険箇所等に居住する住民に対する早めの自発的な避難の促し、自発的な避難者を指定緊急避難場所に受け入れ始める目安等)の周知による早い段階での避難の促進
●面積の広い市町村においては、旧市町村単位や地形による区分等での発令を推奨
●夜間避難等を回避するために適切な時間帯に発令

○適切な時機・範囲の避難勧告等の発令
●避難場所の開設を待たずに避難勧告等を発令する場合があることを住民に周知
●より絞り込んだ区域(土砂災害警戒情報発表の基準を超過したメッシュ等と土砂災害警戒区域・危険箇所等が重なる区域)に避難勧告等を発令することを検討
●土砂災害警戒情報の改善(予測技術の向上、受け手にとっての分かり易さ等を踏まえた発表区域の細分化など)

○避難勧告等の情報の伝達方法の改善
●PUSH型(防災行政無線、緊急速報メールなど)とPULL型(ウェブ、テレビ、ラジオ等)を組み合わせた伝達手段の多様化・多重化、Lアラートの活用
●PUSH型については伝達区域を絞り込み
●避難勧告発令の情報等に加え、危機感を喚起する情報、採るべき避難行動等をわかりやすく伝達

○市町村への助言
●市町村は積極的に防災情報を入手するとともに、国・都道府県に対して能動的に助言を求めることが重要
●国や都道府県も市町村から要請がなくとも、専門的見地から助言



3 住民等による適時適切な避難行動
○指定緊急避難場所の確認等
「指定緊急避難場所・指定避難所の指定のためのガイドライン(仮)」の策定により、指定を促進
●住民は「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の違いを認識し、避難先が土砂災害から安全かを点検

○指定緊急避難場所の迅速かつ確実な開設
●避難場所の迅速な開設に向けた市町村の防災部局、学校、地域の連携強化

○適時適切な避難行動を促すための仕組みづくり
●住民は、①早めに「指定緊急避難場所」(ハザード別に指定)に避難することを原則としつつ、状況に応じて、②「緊急的な待避場所(近隣の堅牢な建物)」、③「屋内安全確保(自宅内の上層階で山からできるだけ離れた部屋へ移動)」もあり得ることを認識し、平時から確認
●住民自身が行政等の助言・支援を得て近隣住民といっしょに「災害・避難カード」等を作成することにより、自発的な早めの避難を促進(「避難行動に関するガイドライン(仮)」を策定して支援)

○防災教育の充実、人材の育成
●パンフレット等を活用した土砂災害に関する住民等への普及啓発
●学校と地域との双方での防災教育、研修等による市町村職員育成、国・都道府県等の専門家育成

○自主防災組織の重要性
●自主防災組織等が中心となった地域のつながりの強化により、災害時における住民同士の声かけ



4 まちづくりのあり方と国土保全対策の推進
○土砂災害リスクを考慮した防災まちづくりの推進
●既に開発済みの地区においては、警戒避難体制の整備、既存不適格建築物の移転・改修、土砂災害防止施設の整備等を推進し、既存建築物の移転・改修については、補助・融資制度の周知・活用
●今後開発予定の地区については、リスクを踏まえた災害に強いまちづくりに計画段階から取り組む

○平時からの国土監視
●定期的な基礎調査による状況変化の把握、航空レーザ測量等による詳細な地形データ等を平時から蓄積

○土砂災害防止施設の適切な整備・維持管理
●人命を守る効果の高い箇所等に重点化し優先順位をつけて着実に整備

○森林の適切な整備・保全
●森林の持つ土砂崩壊・流出防止機能の向上や流木対策を推進



5 災害発生直後からの迅速な応急活動
○救助活動における安全確保と安否確認の迅速化
●迅速な安否確認のために関係機関が連携して被災者に関する情報を入手・共有、二次災害の防止

○緊急的な応急復旧支援の実施
●迅速な応急復旧のための建設業者との協定促進、TEC-FORCE等の体制強化

○ボランティアとの積極的な連携
●行政とボランティア団体との情報共有・連携を強化

○被災者に対する心のケア
●広島土砂災害において初めて出動し有用性が確認されたDPATの活用

以上である。


6 終りに
 繰り返される避難遅れをどのように解決すればいいのか、2(3)項で示した成功事例が参考になろう。避難が成功したケースは、地域のコミュニティ力が発揮されたということが出来る。「共助」そのものである。
 勿論、個々人の危機管理意識をどのように振起・涵養するかも重要だ。必要な情報は溢れており、適時に必要な情報を収集することも可能だ。行政やマスコミが極めて親切に色々な情報や指示を与えてくれる。そのような情報に麻痺している。また、ある面では、市民は指示がなければ動けなくなっている、所謂「指示待ち状態」になっていないか。自ら、情報を分析して判断する識能を持つべきだし、そのような地域リーダーを育成すべきだ。