第三十二話 ミッドウェー海戦惨敗:戦争指導構想混迷の悲劇

山下 輝男


 ミッドウェー海戦も日米戦の戦局(攻守)転換点(ターニングポイント)である。この戦い以降日本は劣勢に立たされる。
ミッドウェー海戦の概要
 大東亜戦争中の1942年(昭和17年)6月5日から7日にかけて、ミッドウェー島付近で行われた海戦である。同島攻略をめざす日本海軍をアメリカ海軍が迎え撃つ形で発生した。南雲中将指揮する第一機動部隊とアメリカ海軍機動部隊および同島基地航空部隊との航空戦の結果、日本海軍は主力空母4隻(赤城、加賀、蒼龍、飛龍)とその搭載機約290機の全てを一挙に喪失する大損害を被った(米海軍は空母1隻等を喪失)。
 実は、「南方要域の油田地帯を確保して、長期持久の態勢を確立する。」という第一段作戦(南方作戦)は、予期以上の成果を得て終了しており、次期作戦を如何にするかが焦眉の急となっていた。軍令部は、米軍の反攻基地(豪州北部)覆滅を企図するも対支作戦を重視する陸軍参謀本部の反対にあい、次等案として、米豪遮断作戦(MO作戦、FS作戦)を検討していた。一方、連合艦隊司令部は、米艦隊撃滅を狙っており、その為にハワイと日本の中間地点にあるミッドウェーを攻略して前進基地を確保、米機動部隊を誘い出して撃滅すると云う構想であった。山本長官の信念でもあり、ドーリットルによる空襲(1942(S17)年4/18)もその信念を更に確固たるものにした。結局のところ、山本長官の威令、名声に軍令部は屈服してミッドウエー作戦が敢行され、惨敗した。



①明確な戦争指導構想なきままの開戦
第一段作戦後の作戦構想を確定せずに、或いは明確な意思統一もなきは無謀
陸海軍間の戦略調整、海軍内の意見調整(軍令部と連合艦隊司令部) 意見の相違ある場合の妥協の是非
山本長官の壮大なる企図が実現すれば日米戦勝利は見えてくるかも知れないが・・


②予期以上の成果を得た場合の対応は?
その戦果をさらに拡充すべきか、それとも当初の構想を遵守すべきか? 戦闘場面では前者であるべきも、国家戦略上は果たして妥当か?


③日本の暗号通信は傍受解読されていた。完全に待伏せ攻撃される羽目に陥った。
大海令に示された「陸軍と協力してAF及AO西部要地を攻略すべし」のAFが何処を指すか不明だったが、米側の機知によりミッドウェーと判明し、待伏せ可能となる。
圧倒的に優位な戦力を有する帝国海軍機動部隊だったが、万全な待伏せ攻撃には到底太刀打ちできなかった。


④爆装取替問題 作戦目的が要地占領か或いは敵機動部隊撃滅かの上下の認識の不一致


⑤「運命の五分間」論の真偽は?  定説となった感はあるが、戦史叢書では、発艦準備は出来ていないと否定し、また同様の証言もあり


⑥機動部隊行動中の兆候電の機動部隊への発信の要否(南雲中将は傍受しておらず)


⑦索敵の失敗(索敵要領の不手際、発進遅延、索敵コース? 発見位置の誤認・報告の不手際説には異論もあり)


⑧ミッドウェー海戦結果の陸軍参謀本部への通報なく、天皇にも報告なし、尚且つ虚偽の大本営発表 将来作戦への禍根


⑨連合艦隊主力はどう行動すべきだったのか? 

(第三十二話 了)