第五十二話 何故、軍歌は今も唄い継がれるのか?

山下 輝男


1 軍歌とは何か? Wikipediaによれば以下の如し
 軍歌とは、広義の意味では主に軍隊内で士気を高めるために作られた歌のこと。歴史的な出来事を扱ったものから、戦死した犠牲者を悼むことを目的とするものまで内容は様々である。
 日本では、厳密には軍隊によって作られた歌を軍歌(狭義の意味)とするが、一般的には(広義の意味では)戦時歌謡(軍国歌謡・国民歌謡、一部の唱歌)や軍楽など、軍隊・軍人・兵器・戦争・国体・国策などを題材とする歌や曲をまとめて軍歌と通称とする。軍歌の分類は以下。

軍歌 軍隊が制作した歌。民間によって作られ軍に贈られた「献納軍歌」を含む。
例、「抜刀隊」、「軍艦」、「敵は幾万」、「艦船勤務」、「討匪行」等
部隊歌 軍隊が制作した歌。民間によって作られ軍に贈られた「献納軍歌」を含む。
例、「抜刀隊」、「軍艦」、「敵は幾万」、「艦船勤務」、「討匪行」等
軍 楽 行進曲に代表される器楽曲。
例、「陸軍分列行進曲」、「軍艦行進曲」、「連合艦隊行進曲」等
戦時歌謡 民間が制作した流行歌。映画主題歌なども含む
例、「露営の歌」、「燃ゆる大空」、「空の神兵」、「暁に祈る」、「麦と兵隊」等
国民歌謡 NHKや新聞社、政府機関などが主導して制作した流行歌。
例、「愛国行進曲」、「紀元二千六百年」、「日の丸行進曲」、「爆弾三勇士」等



2 支那事変の歌及び大東亜戦争の歌(区分は「軍歌と日本人」大野敏明著から)

(1)支那事変:露営の歌、愛国行進曲、上海便り、麦と兵隊、梅と兵隊、荒鷲の歌、愛国の歌、さくら進軍、愛馬進軍歌、九段の母、太平洋行進曲、大陸行進曲、出征兵士を送る歌、父よあなたは強かった、兵隊さんよありがとう、燃ゆる大空、空の勇士、暁に祈る、戦陣訓の歌、蒙古放浪記、陸軍小唄等

(2)大東亜戦争の歌:大東亜決戦の歌、大東亜戦争陸軍の歌、大東亜戦争海軍の歌、空の神兵、戦友の遺骨を抱いて、索敵行、大空に祈る、アッツ島血戦勇士顕彰国民歌、勝利の日まで、ああ紅の血は燃ゆる、サイパン殉国の歌,特幹の歌、比島決戦の歌


3 海軍の歌として例示されている歌には、人口に膾炙しているものが多い。
 軍艦行進曲、艦船勤務、巡航節、兵学校数え歌、海軍小唄、月月火水木金金
 海の進軍、雷撃隊出動の歌、同期の桜、ラバウル小唄、若鷲の歌、特攻隊節etc
 同期の桜は、詞は「少女倶楽部」に1938(S13)年発表の西條八十の「二輪の桜」の替え歌
 所謂、軍歌は時代背景を微妙に表象している。不謹慎だが、支那事変時代は何となく笑ましい面もあるが、次第に悲壮感が漲ってくるようだ。軍歌が軍人・国民を鼓舞し、国民と軍との一体感醸成に寄与したのは事実だ。今なお、歌い継がれるのはそこに日本人の高い精神性・魂が凝縮しているからだ。軍歌は、ある意味では日本の宝であり、歌い継がれるべきだろうと愚考する。

(第五十二話 了)