第八十九話 未来を先取り

山下 輝男


 戦争が技術を飛躍的に進歩させる。兵器としての技術がスピンオフして民の技術ともなり、国力を牽引する。まず、第二次世界大戦で登場した兵器等を概観したのち、戦争末期日本が構想した驚くべき兵器を紹介する。

1 既存兵器の発達
① 日:軽巡洋艦並みの14cm主砲搭載の潜水艦
② 各国:戦闘機の長足の進歩、大型戦略爆撃機、高速偵察機、ジェット機やロケット機等
③ 各国:潜水艦 Uボート、空母型潜水艦
④ 各国:戦車等 装甲・武装の強化、成形炸薬・個人携行可能な対戦車兵器


2 新兵器
① 独:V2ロケット
② 各国:レーダー(更に技術革新し、小型化、艦艇・航空機搭載へ)、索敵&射撃管制
③ 原爆:日、米、独 
④ 暗号解読技術、コンピューター研究開発
⑤ 独:V-1有翼無人飛行機(巡航ミサイルへと戦後発展)
⑥ 独:V-2ロケット(弾道ミサイルへと戦後発展)
⑦ 各国:四輪駆動車、バイク、サイドカー
⑧ 弾薬類:VT信管、酸素魚雷(日本)、徹甲弾
⑨ 艦艇:バルバス・バウ


3 その他:ナイロン、合成ゴム、人造石油

4 酸素魚雷

5 日本が構想した最新兵器
(1)1942(S17)年8月、大本営陸軍部は「世界戦争完遂ノ為ノ決戦兵器ノ考案」
「超遠距離飛行機」(後述)「特殊気球ノ能力増大」(第八十二話)関連との項目

(2)海軍島田実験所
 強力電波兵器(「Z装置」計画あるいは 「殺人光線」計画、後述)
「橘型マグネトロン」

(3)登戸研究所
・強力超短波ノ基礎研究
・簡易通信器材ノ研究
・爆破焼夷資材ノ研究
・挺進部隊用行動資材ノ研究(防水夜光時計,耐水「マツチ」etc)
・写真資材ノ研究 (簡易望遠写真撮影方法,複写装置,野戦写真処理用具)
・憲兵資材ノ研究(指紋採取用具,現場検証器材,理化学鑑識器材等)
・宣伝資材ノ研究

(4)富嶽 陸海共同

     (フジミ模型)
 中島知久平のZ飛行機から発展、米本土爆撃を視野に入れ、日本~太平洋横断~米本土爆撃~大西洋横断~独で給油 逆コースで帰投。全長45m(B29の1.5倍)、全幅65m(B-29の1.5倍)、爆弾搭載量20トン(B-29の2.2倍)、航続距離は19,400km(B-29の3倍)、6発エンジン、紆余曲折も戦局悪化もあり開発中止

(5)Z装置 海軍の計画、極超短波の発生出力を飛躍的に増大、著名な科学者参加
* 日本は決して技術構想力で負けた訳ではない。具体・実現化し得る体制、工業力、生産力等の基盤が脆弱だったのだろう。

(第八十九話 了)