日本人の国とユダヤ人の国

元陸上自衛官 現星槎大学非常勤講師 森 清勇

 日本が敗戦した日のニューヨークタイムズ論説は、「醜悪で巨大な怪物が横たわってい、あんぐり開いた巨きな口の中にヘルメットをかぶったアメリカ兵が入って、むき出した禍々しい牙を大きなヤットコで抜き取る作業をしている」漫画を添えて、「この怪物は倒れはしたが、いまだに生きている。この醜い危険な怪物の毒のある牙を我々は世界のために、どれほど長い時間をかけてでも徹底して抜きさらねばならない」と書かれている(石原慎太郎著『新・堕落論 我欲と天罰』p28)。
 若い頃のヒットラーが「ドイツ史上、最も力のある市長」と称賛したのがウイーン市長のルエガーである。ルエガーは保守的・反ユダヤ的なキリスト教社会党の政治家で、ウィーンで多くの社会福祉施設を建設し、下層民の救済に成功し、市民から名声を得ていたが、反面、ドイツ民族主義と反ユダヤ主義に強く傾き、「ユダヤ人はオーストリアにおける害虫であり怪物である」と見て、「われらの愛するドイツ民族を解放するために、この怪物は、倒されなければならない」と公言している(大澤武男著『ユダヤ人とドイツ』p138)。
 米国が見た日本人とドイツが見たユダヤ人はどちらも怪物と見られ、牙を抜き取られなければならない、あるいは倒されなければならない醜悪なものと見られた点では同じ線上にあるようだ。
 イザヤ・ベンダサンは『日本人とユダヤ人』で、「人種・伝統文化・国籍といった問題になると、日本人とユダヤ人には、奇妙な共通した問題がでてきてしまう」述べている。
 そうした一つかどうかは定かでないが、日本では13弦の琴が奈良時代から16葉の菊のご紋の皇室(宮廷))で使用されてきた。同様に、手元にあるイルラエル金貨の一つ(1/2シェケル)には、10葉の菊の紋が12弦の竪琴(キンノル)と共に描かれている。
 また、日本には古代から使われた琵琶を冠した琵琶湖があるように、イスラエルのガリラヤ湖は、エルサレムの第一神殿時代はヘブライ語ではキネレット(キンノル湖の意)と呼ばれていたという。(平成26年6月15日記)