河野談話検証結果に怒り!

山下 輝男 
(平成26年6月22日 記)

 6月20日所謂河野談話の検証結果が公表された。その全文は内閣官房のHPからダウンロードできる。
 (http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/06/20/20140620houkokusho_2.pdf)

 幾つかの所見がある。

1 河野元官房長官の責任重且つ大
 河野氏は、談話発表時の記者会見で、“強制連行の事実があったという認識なのか”と問われ、「そういう事実があった。結構です。」と述べた。更に問われて、強制性等を説明し、政府がそれまで表明していた“強制連行は証拠がない”という一線を踏み越えてしまい、それ以降強制連行は事実であるという説が流布することとなった。氏の責任は極めて重い。

2 日韓合作が明白
 一切摺り合わせはしていないとしていたが、日韓合作が明白である。韓国側が、時の総理訪韓に懸案化しないよう何らかの措置を講じることを求め、以降談話内容の細部に亘るまで綿密に調整された。勿論、韓国側の主張を一方的に受け入れたという訳ではなく、丁々発止の議論があり、妥協があったのは事実である。
 然しながら、日本側が独自に発出した談話であるとの嘘が明らかにされた。国民を欺いたと云えよう。

3 政治的産物である談話が歴史的真実となる怖さ
 談話を巡る日韓間の最大の問題点は、強制性の有無であった。韓国側は仮に日本側発表の中で、『一部に強制性があった』というような限定的表現が使われれば、大騒ぎとなるだろう」と脅迫・恫喝まがいの発言をしたようだ。日本側は国内における調査結果もあり、歴史的事実を曲げた結論を出すことはできないと応答したとされる。
 談話の強制性に関する文言調整は、談話発表の直前まで続けられ、「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあったことを踏まえ、慰安婦の「募集」「移送、管理等」の段階を通じてみた場合、如何なる経緯であったにせよ、全体として個人の意思に反して行われたことが多かったとの趣旨で「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」という文言で最終的に調整された。
 また、真相究明のために必要な元慰安婦と称する者の証言を得ることはなく、面談は、日本政府の真相究明への真摯な姿勢顕示、韓国慰安婦に寄り添い気持ちを深く理解することに意図があり、そういう意味においては単なる儀式でしかなかった。
 この経緯を見ると、総理訪韓を成功させたい日本側が韓国側の強硬な要望に抗しきれずに押し切られたと云える。日本側は已む無くぎりぎりの妥協を行ったと思える。
 このように政治的妥協の産物であったはずが、何時の間にか歴史的事実・真実として独り歩きしてしまい、慰安婦問題で韓国は日本に揺さ振りをかけ、慰安婦像を世界各地に建て、米国ですら事実を認めて対応すべきとまで言わしめている。
 (1)安易な妥協は禍根を残す。
 (2)日本語は難しい。談話に言う「関与」をどう捉えるべきか?厳格に捉えると相当の強制性があるとも思え、捉えようによっては大した役割を担っているとも思えない。そういう語彙だから使い勝手がいいのだろうが、それがギャップを産む。日本側の言う関与は、「慰安所の設置、慰安婦の募集に当たる者の取り締まり、慰安施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所・慰安婦の衛生管理、慰安所関係者への身分証明書等の発給等」であり、直接的に慰安婦を強制・非強制に関わらず募集・連行することは意味していない。

4 裏切りに怒ることすら忘れた日本
  日本側が、未来志向のために、強制性が実証されていないにも関わらず認めたかのような談話を発出したのは、未来志向のためではなかったのか?
  韓国側は爾来事ある毎に所謂従軍慰安婦問題を振りかざして日本側に譲歩と妥協を求める。政治的に利用されてきたのであり、日本側の未来のために泣く泣く妥協した善意がいとも簡単に破られた。これに怒らぬとは日本も情けない。
  また、所謂慰安婦に対する後続措置(真相究明とパッケージとして措置、補償等を如何に行うかの方策)として、補償の問題は決着済みであると双方共に認識しているので、アジア平和国民基金を創設して支援をすることにした筈だが、それが何時の間にか蔑にされつつある。

5 日本はどうすべきか
 (1)今般の検証結果を世界に向けて発信すべし。
  韓国は猛反発するかも知れないが、敢然と行うべし。
 (2)歴史的事実関係を再検証し、その結果を堂々と発信し、主張すべきを主張せよ。
  所謂従軍慰安婦は民間業者が連れ歩いたものとされていたが、1992年1月朝日新聞は、吉見義明氏が防衛研究所で発見した陸軍省兵務局兵務課起案文書を根拠として、慰安所に日本軍が関与した証拠として報道したことから知られるようになった。この文書の解釈には吉見氏のように軍の関与を明確に示すとするものと、良い意味での関与であって悪徳業者を取り締まるものであったとの2様がある。何れにしても軍が積極的・直接的に関与した証拠は明示されていない。
  静かな環境の中で歴史的事実を積み上げて日本の強制性・関与性を明らかにする必要がある。この際、当時の価値基準・常識・倫理観を基礎とすべきであって、当初から非人道的女性、蔑視・差別との色眼鏡で見ないようにして欲しいものだ。
 (3)河野談話の見直しをすべき
  国益を損なった河野談話は、今般の検証によって、その正当性は損なわれたのではないか。官房長官は、見直す考えはないと言明したが、それで良いのだろうか?談話は事実に基づき、日本独自に検討されたものではない。韓国側の意向を踏まえ、総理訪韓を成功させたいという日本側の思惑がマッチさせた単なる儀式ではなかったかとの論もあるほどだ。
  今は政治的に拙いのかも知れない。当面は本件で余り波風を立てる必要はない。見直しの優先順位は低いが、しないという考えは採るべきではない。
 (4)韓国と付き合い方、再考を!
  韓国に決して気を許してはならない。我の好意を平気で無にすることすら厭わないお国柄である。付き合うにはそれなりの覚悟を持つべきだ。日本は国際世界場裡においても善意が通じると考えるお人よし国家だ。個人としてはそれを良しとするも国家としては如何なものか?