複合災害対応に関する研究会に参加して!

山下 輝男

 先日、NPO法人 NBCR対策推進機構が主催する「第1回複合災害対応力研究会」が開催され、同NPOの特別顧問である小生も参加させて貰った。 本稿は、その際に得た興味深い話の紹介と参加所見である。諸氏の参考になれば望外の喜びである。

1 開催概要
 10月25日(火)1839~2030
 場所:浅草橋区民館 会議室
 議題 「我が国の複合災害対応力を如何にして構築するか」
 NBCR理事長挨拶の後、座長の石井氏から趣旨説明等、その後消防関係、警察関係、
 防衛関係及び医療関係の識者からのプレゼンテーション
 以上で、残念ながら会場の関係で時間切れ、自由討議は次回に持ち越しとなった。

2 日本医師会の災害対応に関する最近の取り組みについて
 座長であり、NBCR特別顧問でもある(医)&(社福)正風会理事長、長崎大学客員教授である石井正三氏は、日本医師会の災害担当の常任理事であった際に災害対応に関する各種の取り組みを実践・遂行された。非常に興味深い話であったので、その幾つかを紹介する。
(1)JMAT(日本医師会災害医療チーム)
  ・Japan Medical Association Team
  ・日本医師会が、医師のプロフェッショナルオートノミーに基づき、被災地外の都道
   府県医師会毎にチームを編成し、被災地の医師会からの要請に基づいて派遣を行う
    避難所等における医療・健康管理活動を中心として、主に災害急性期以降を担う。
  ・東日本大震災1年前に、創設を提言
  ・東日本大震災における派遣実績(JMATⅠ、MATⅡ含め)
   チーム数:2,742
   (医師:5,984、看護職員2,846、薬剤師1,548、臨床検査技師等763 計12,470名)
(2)災害対策基本法に基づく「指定公共機関」との指定受け
   東日本大震災でのJMAT活動の評価もあり、平成26年8月1日、内閣府より「指定公共機関」に指定された。
(3)「山岳JMAT」の発足
  山岳医療経験を活用すべく、岐阜県医師会で発足
(4)iJMAT (International Team in JMAT)
  大規模災害時には各国医師会相互の支援スキームが必要、構想確立
  台湾の粉塵爆発事故に要請を受け6名の専門家派遣(感謝状受賞)
(5)その他
  南海トラフ大地震を想定した衛星利用実証実験、医師資格証、マラソン大会ガイドブックの作成、
  東日本大震災時の被災地への医薬品搬送2回、計10t弱を米軍機等で搬送(陸送は自衛隊が実施)

3 複合災害に関する懸念
 座長の石井氏とNBCR理事長が複合災害に関して何とかすべきとの問題認識で一致
(1)複合災害の概念 Complex Disater
  複数の性質の異なる災害事象が密接に関わりあって発生する。
  文明国の災害では、ある大きさを超えると複合災害となる。
   東日本大震災の例でもその事例は多々想起
   気仙沼の津波を原因とする火災など衝撃
(2)複合災害の実態
   自然災害+人災、災害の重複等
(3)複合災害は特殊ではないと認識すべき
  Single issue対応は不可
(4)予測される災害の状況認識=複合災害
  津波・洪水対策、化学テロ対策、首都直下型地震
(5)緊急時総合調整システムについて
   任務・役割の違う機関が緊急時に円滑な災害対応を行うためには、ICS(Incident Command System)が必要
 ICSの根本原理
 #1:現場に指揮命令に関する権限移譲
 #2:基本的な部分の標準化(ICS組織図)
 #3:現場に対し、中央政府、本社等は後方支援に徹する。
 #4:現場及び後方は情報認識図を通じ情報共有
   

4 参加所見
(1)日本医師会に敬意
  勉強不足にして認識なかった。非常に重要な施策を講じたことに敬意
(2)複合災害対応の重要性認識
(3)関係機関相互にお互いの役割・活動・特色や利点・弱点を認識し、利点・役割をより助長し、弱点克服カバーする態勢構築が重要。その為には、先ずお互いを知ることから始めるべき。
(4)ICSは、国民保護における現地調整所と同等の機能と察す。中央レベルでは縄張り意識があるとしても現地レベルでは被災者(地)対応ファーストを合言葉に一致協力 日本は米国よりもそういう点は柔軟性あると小生は思うのだが・・
  その際に核となるのは現地対策本部の責任者であり、通常行政の責任者であろう。彼らの能力アップが喫緊の課題か。
(5)研究会の成果を要路に提言すべし。NBCRの更なる活躍を期待したい。

(了)