吹奏楽への足跡ー海軍軍楽隊から海上自衛隊の音楽隊へ(5)

今回も現役海上自衛隊音楽隊員達の足跡を紹介したいと思います。
最初に紹介するのは現東京音楽隊隊長 河邊一彦です。

河邊一彦

河邊一彦は大分県立芸術短期大学付属緑ヶ岡高等学校音楽科、武蔵野音楽大学音楽学部器楽科を経て昭和52年海上自衛隊に入隊し、クラリネット奏者として佐世保音楽隊に勤務してきました。
平成元年に幹部自衛官なった後は、大湊、舞鶴、横須賀各音楽隊長を歴任した後、平成22年3月に第16代東京音楽隊長に就任し、現在にいたっています。
この間、東京芸術大学音楽学部において1年間、桐朋学園大学音楽学部研究生として2年間の指揮法研修を行ってきました。
指揮法を遠藤雅古氏及び山本七雄氏に、和声学を石島正博氏に、音楽理論を大崎滋生氏及び大家百子氏に、スコアリーディングを橋本知抄氏に、またクラリネットを千葉国夫氏及び大橋幸夫氏に、理論科ピアノを吉田真穂氏の各氏に師事しています。

河邊和彦の作品をいくつか紹介します。
なお、「The Falls Rainbow」と「静」は、今回音を添付することが出来ませんでした。

コンサート・マーチ「シャイニング・スカイ」

この行進曲は、平成4年に行われた「自衛隊音楽まつり」のオープニング用として書かれたコンサート・マーチです。
タイトルの示すとおり、陽光に光り輝き眩しいほどに晴れ渡った青空を表現した、爽やかで軽快なマーチです。
なお、「自衛隊音楽まつり」というのは、毎年日本武道館において陸・海・空自衛隊音楽隊がステージ・ドリルを行う一大イベントです。

コンサート・マーチ「シャイニング・スカイ」の楽譜(河邊一彦氏提供)

「はるかな海へ」

海上自衛隊舞鶴音楽隊ファミリーコンサートのアンコール曲として2005年に作曲された作品です。
夜明け前の海の描写から「日の出」のテーマにより海の夜明けが表され、やがて「平和の海」のテーマへと続き、群青の海を行く護衛艦が描かれます。
航海も終わり日没。日没のテーマが流れる中、平和の海のテーマ断片が現われ、静かに曲は終わります。

「はるかな海へ」の楽譜(河邊一彦氏提供)

「嵯峨野」

海上自衛隊舞鶴音楽隊松江市ふれあいコンサートのプログラムとして2006年作曲、京都市右京区に位置する嵯峨野を描いた作品です。曲は「嵯峨野」「風の道」「大堰川のほとり」「旅立ち」の4部に分かれています。

「嵯峨野」の楽譜(河邊一彦氏提供)

「遙かな海へ Beyond the Sea,far and away」

この曲は、大海に乗り出す自衛艦と、その航海の様子を描いた作品です。
曲中には、海上自衛隊の艦艇で行われる様々な礼式(艦長や高官が乗艦する際に吹奏されるサイド・パイプ – 海軍が艦内号令に用いる笛 – による号笛譜「舷門送迎(げんもんそうげい)」、艦長が令する「出港用意」及び「入港用意」、「艦の敬礼」の様子など)及び海上自衛隊歌「海を行く」などが盛り込まれ、凛々しい雰囲気を醸し出しています。
作曲者の乗艦経験から生み出された曲で、海を守る仲間たちへの信頼と尊敬、そして心からの共感をこめた作品です。

「遙かな海へ Beyond the Sea,far and away」の楽譜(河邊一彦氏提供)

「FALLS RAINBOW」

16ビートのAテーマ、ファースト4ビートのBテーマの2つのテーマで構成され、ABAの3部形式の作品です。
滝にかかる虹をイメージした2009年の作品です。

「FALLS RAINBOW」の楽譜(河邊一彦氏提供)

「SIZUKA(静)」

2009年作曲、源義経の愛妾「静御前」を描いた作品です。
ジャズ・バラードの「静」、ジャズ・ワルツの「舞」、8ビートの「想」、ファースト・ジャズ・ワルツの「翔」からできています。2009年度鎌倉八幡宮雪洞まつりの奉納演奏として初演されました。

「SIZUKA(静)」の楽譜(河邊一彦氏提供)