海上自衛隊の音楽隊 その2 横須賀音楽隊・呉音楽隊

前回はセントラルバンドである東京音楽隊を紹介しましたが、今回は海上自衛隊横須賀音楽隊と海上自衛隊呉音楽隊を紹介します。

 海上自衛隊横須賀音楽隊は、昭和29年1月6日に発足し、昭和49年4月11日、横須賀地方総監の直轄部隊として正式に編成が認められました。

小笠原諸島返還40周年記念行事で
市中パレードを行う横須賀音楽隊
(海上自衛隊提供)

海上自衛隊の儀式、式典における演奏はもち論、隊員の士気高揚や担当区域の地方自治体が実施する各種行事への参加、部内外に対する広報のための演奏活動を行っています。
その担当区域は、北は岩手県、西は三重県まで1都17県にわたっています。
遠洋航海への参加では横須賀音楽隊隊員は現在までに67カ国127寄港地を訪問しています。

横須賀音楽隊の実績の中から2つの活動を紹介したいと思います。
1つ目は、昭和43年6月に小笠原諸島が返還されたとき、横須賀音楽隊は返還行事に参加して以来、10周年などの節目となる年に式典、演奏会、パレード等の演奏をおこなっています。
2つ目は平成5年2月10日、現皇太子殿下御成婚を祝して作曲された「新祝典行進曲」を横須賀市文化会館において初演しました。

作曲者である團伊玖磨氏指揮のもと、
「新祝典行進曲」の練習に励む横須賀音楽隊
(海上自衛隊提供)

初演に当たり、作曲者である團伊玖磨氏指揮のもと、横須賀音楽隊は練習に励んできました。
これは、当時の横須賀音楽隊長が「せっかく近くに住んでおられるので、一度合奏レッスンをお願いできませんか」と依頼したところ、快くお引き受け下さったことから実現したもので、2月9日に来隊、解説を交えながら「新祝典行進曲」の合奏をいただきました。そして、2月10日の定期演奏会においてアンコールで初めて演奏することになったわけです。

その後、その年の4月18日に、大相撲地方巡業横須賀場所において團先生ご自身の指揮で演奏する機会に恵まれました。

海上自衛隊呉音楽隊は、昭和31年(1956)に創設されて以来、広島県下は勿論のこと、近畿・中国・四国・九州東部において演奏活動を行っています。
海上自衛隊における各種式典・行事における演奏をはじめ、年2回の定期演奏会、各地での広報演奏のほか、「大喪の礼」「即位の礼」「皇太子同妃両殿下の結婚の儀」等、国家的行事での演奏も担当しました。
また、東京音楽隊、横須賀音楽隊でも紹介した遠洋航海にも隊員を派遣してきました。

中国広東省の湛江における中国海軍軍楽隊との合同演奏会
(海上自衛隊提供)

呉音楽隊の活動で特筆されることは、平成20年6月に護衛艦「さざなみ」が自衛隊の部隊として初めて中国広東省の湛江を訪問した際に派遣され、中国海軍軍楽隊と合同演奏会を行ってきました。

また、平成17年には「日ロ共同捜索・救難訓練」に参加した護衛艦「さみだれ」に乗艦し、ロシアのウラジオストックを訪問、その際に同地で演奏を行ってきました。

また、国内の行事でどうしても取り上げておきたいのが、和歌山県串本町で行われるトルコ海軍「エルトゥールル号」の慰霊祭での演奏です。
なぜ、トルコ海軍の船の慰霊碑が和歌山県串本町に有るのかからお話をしておきたいと思います。

1887年に小松宮夫妻がイスタンブールを訪問された答訪として「エルトゥールル号」が日本へ派遣されました。
1890年6月に日本に到着しましたが、悲劇はその帰路に起こりました。

9月16日、大嵐のために「エルトゥールル号」は串本沖で難破し、司令官はじめ587名が死亡または行方不明となってしましました。
樫野崎灯台の下に流れ着いた生存者から、遭難の話を聞いた串本の人たちはわずかな蓄えも生存者救援のために供出し、献身的な活動を続けたおかげで、69名が生還することができるようになりました。
この事故は日本とトルコの友好の起点と呼ばれています。
現在、樫野崎灯台のそばに慰霊碑とトルコ記念館が建設されており、5年ごとに記念式典が行われています。
平成20年にはアブドゥラー・ギュル大統領がトルコ大統領として初めて慰霊祭に出席され、献花されています。

呉音楽隊はこの慰霊祭に参加し、演奏を実施してきています。
ただ、この慰霊祭は不思議な慰霊祭で、本番の数時間前までは見事な快晴なのですが、式典の時間が近づくにつれ雲行きが怪しくなり、かなりの確率で本番は大雨・嵐の中での演奏になります。
テントの中で演奏していますが、大嵐のためテントは無いに等しい状態です。
しかし、式典が終わる頃には雨風も収まり、再び快晴となります。このようなことがたびたび起きる慰霊祭なのです。

ゴールデンウィーク期間中に催されるひろしまフラワーフェスティバルでは、平和公園内特設ステージにおいて、広島県警察音楽隊、広島市消防音楽隊、陸上自衛隊第13音楽隊と一緒に単独あるいは合同演奏会を行っていますし、地元呉では大和ミュージアムのオープニングイベントや海上自衛隊呉史料館、通称「てつのくじら館」でのイベントにも参加しています。

フラワーフェスティバルでの合同演奏家
(海上自衛隊提供)

てつのくじら館」の前で(海上自衛隊提供)
後ろは、潜水艦「あきしお」の屋外展示