続・硫黄島 戦後未だ!
-千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式-

山下 輝男

(「くにのため いのちささげしひとびとのことをおもへば むねせまりくる」昭和天皇御製)

 硫黄島遺骨収集体験記の後日談である。平成28年度硫黄島政府派遣第4次派遣団の一員として参加し、2月2日(木)に引渡式及び解団式に参加したのがつい先日のような気がするが、この度、千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式に参列する機会を得た。

1 厚労大臣からの案内状
 厚労大臣塩崎泰久先生からの案内状は、5月29日(月)午後零時三十分から千鳥ヶ渕戦没者墓苑で、『千鳥ヶ渕戦没者墓苑拝礼式』を行うので、案内するとのものであった。
 折角の機会でもあり、小生等が収集した御遺骨が納骨されるとあっては参加するのは当然だとの思いもあり、参加する旨の返信を出したのは当然である。

2 拝礼式における納骨数
 案内状及び厚労省のHPによれば、拝礼式において厚生労働大臣が、2,337柱を納骨することになっている。(実際の数は3項参照) それは、政府が派遣した戦没者遺骨収集帰還団等が、ロシア、ビスマーク・ソロモン諸島等で収容した戦没者の御遺骨のうち、ご遺族に引き渡すことが出来ない御遺骨数である。
 既に納骨された御遺骨と合わせると、36万4,896柱となる由。

(昭和天皇御製の碑)

3 納骨数の根拠等
 平成28年度の収容御遺骨数は、厚労省のHPによれば、874柱であり、また同年度DNA鑑定で否定された数が394であり、これらの数と納骨予定数の関係がどうも不分明であり、厚労省の担当部課に問い合わせた。
 その結果は、今回の納骨数は、合計で2,453柱である。うち、旧ソ連抑留中死亡者の御遺骨が1770柱、平成28年度硫黄島収容数17柱を含むその他の地域で収集された御遺骨が683柱である。
 旧ソ連抑留中死亡者の遺骨については、DNA鑑定に必要な検体が見つからなかった御遺骨を除き厚労省内の霊安室に仮安置していたが、平成25年に随時開閉可能な納骨堂が完成したことから、仮安置していた御遺骨を順次納骨している。今年度は平成14年度に収集した御遺骨を納骨する予定だとのこと。
 その他の地域で収集された遺骨については平成28年度に収集した御遺骨を主に納骨しているが、火葬や納骨準備の関係上一定の期間を要することから、一部は次年度に納骨することとなっている。
 納骨に当たっては、御遺骨のDNA鑑定、火葬その他の諸準備が諸々有るとのことが窺われ、担当部課の諸氏の御苦労の程がしのばれる。

4 式典の状況
 常陸宮同妃両殿下の御臨席の下、開式の辞に引き続き、国歌斉唱、厚労大臣の式辞、同大臣の納骨、次いで両殿下が御拝礼になり参列者一同が併せて拝礼を行った。
 その後、皇宮警察音楽隊が、「慰霊の曲」「悲しみ越えて」「慰安する」及び「ふるさと」を奏楽する中、次の各氏が次々と献花を行った。因みに安倍総理は、北のミサイル対処のため官房長官が代理、遺族代表、関係国駐日大使8名、衆議院議長、衆参厚生労働委員長、外務・環境・防衛の各大臣、共産党を含む各政党の代表、千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会会長、厚労大臣である。
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170529/k10010999061000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_007
 来賓或いは一般の参列者も数多く拝礼式の重み・意義を再確認した次第である。
 終了後に、納骨堂である六角堂にお参りする人々が列をなした。写真の供花は天皇皇后両陛下からである。

5 硫黄島遺骨収集参加者との久々の出会い
 平成28年度硫黄島第四次派遣団の団長(推進協会職員)、遺族会や硫黄島協会の参加者、水戸二連隊ペリリュー島慰霊会、IVUSA国際ボランティア学生協会、旧島民の会の方々とも出会い久闊を叙した次第である。次は終戦記念日でとの事となった。うち一名は近々にロシアに出掛け、他は米国に赴くと云う。皆さん夫々に頑張っておられるようだ。
 小生等の差出派遣元の大東戦争全戦没者慰霊団体協議会からも常務理事等が参列していた。

6 戦没者慰霊の風化を憂う!
 ご遺族の高齢化も進み、御遺骨収集も思うように捗らず、国民の戦没者慰霊に関する意識・認識も低下しているやに見受けられる。英霊顕彰・慰霊は国の務め、国民の義務ですらある。今一度国民意識の喚起を図るべきではなかろうか。
 大東亜戦争との言葉すらも知らず、中にはかって日米が戦ったことすらも知らない者が居ると聞く。正しい近現代史の教育がなされていないことに起因するのだろう。先の大戦に関して、真っ向から対立する見解が拮抗する中では正しい近現代史教育も無理だろう。
 高校での日本史教育の改革で近現代史の必修化が検討されているようだが、望ましい方向だ。真っ正面から我が国の歴史を取り上げて欲しいものだ。その一環としての戦没者慰霊も取り上げて頂きたいと願う。

(了)