注目される災害救助犬

災害救助犬って?

最近、年に一度は国内外で大きな地震が生起し、家屋や住民に大きな被害をもたらしています。
そんな時、災害現場にいち早く駆けつけ、瓦礫の下敷きになってしまった人達を優れた臭覚で探し当て、救出する為のお手伝いをするのが災害救助犬で、最近ではテレビ等でよく見かけるようになりました。

しかし、この救助犬のことは意外とよく知られていません。
救助犬は地震災害以外でも、台風による風水害で起こる土砂崩れや、雪山での雪崩などに巻き込まれて生き埋めになった人を探し出します。また、山菜取りやハイキングで行方不明になってしまった人の捜索や、水難救助にも使われます。

朝日新聞(20年6月16日夕刊)から

救助犬は、犬の持つ人の何万倍以上と言われる嗅覚の能力を活用して、人の入れない瓦礫の下で動けないでいる要救助者を感知し、吠えること等により人に知らせ迅速な救助作業に結び付けます。

最近はハイテクを駆使し、生存者を発見する器具が開発されていますが、捜索範囲の広さと簡便さ、ハイテク機器の及ばない人の気配とか発汗を感知する能力の高さを評価され、救助先進国の欧米では災害現場には必ず投入されています。

かつて、阪神大震災の発生当日在京スイス大使館から災害救助犬派遣の申し出がありましたが、当時わが国ではまだ救助犬の認知度が低く受け入れに混乱があり、結局救助犬が現場に到着したのが発災2日目以降になったという記録があります。

2008年5月の中国四川大地震でも瓦礫の下に多くの人が生き埋めになると言う大惨事が生起しましたが、中国内に訓練された救助犬がいなかったのか、日本を含む各国の救援活動が遅かったためか、報道で知る限り救助犬の成果はなかったようです。

しかし、1999年11月のトルコ大地震では、発生後24時間以内に欧州等8カ国から計72頭の救助犬が派遣され、このうちオーストリアの救助犬チーム(10頭)は3名の生存者を発見、救助しています。
わが国でも、2004年の新潟県中越地震で警視庁の救助犬が、4日ぶりに瓦礫に埋もれた車の中から男児を発見、救助した例があります。このように災害現場で救助犬を適時適切に使用すれば人命救助に大きな成果を上げることが出来ます。

日本の救助犬の現状ですが、国内にはいくつもの救助犬団体が有り、いわゆる「救助犬」と称されるものは200頭以上いると言われます。
しかし、救助犬の認定については統一された基準がなく、それぞれの団体で個々の基準を作り指導手とよばれるハンドラーとともに「救助犬」として認定しています。
そして、大規模災害等の場合、これらの救助犬が民間のボランティアという形で国内外の現場に出動し、行方不明者等の捜索に当っています。

しかしながら、犬の能力の格差のため中には捜索救助の足手纏いになったり、指導手の知識・装備が不十分で現場の捜索救助部隊(消防・警察・自衛隊)の顰蹙(ひんしゅく)を買ったりすることがありました。
災害現場で安全・迅速に対応するためにも数年前から国内統一基準の策定を求める声が上がっていますが、現在のところ国も民間もその具体的な動きはありません。
一方、盲導犬等は「身体障害者補助犬法」という法的根拠に基づき、資格認定や育成訓練等についての体制が確立されています。

海外では民間の他、欧州では消防・軍が、米国ではFEMA(連邦危機管理局)が平素から救助犬を保有し、各国の国際緊急救助部隊の中には救助犬チームが編成されています。
現場での活動も国によって格差があり、これが円滑効率的な救助作業に支障を来たしていました。
このような不具合を是正するため、国連の国際捜索救助諮問機関(INSARAG)が救助犬の認定基準を定め、国際救助犬連盟(IRO)はこれに基づいた「国際出動救助犬チーム認定試験(SD MRT:Search Dog Mission Readiness Test)」を実施しています。

昨(2008)年、アジア地区(韓国)で初めてこのMRTが実施され、日本から9名7頭が参加し、チームリーダー2名、ハンドラー・犬1ペアーが合格し、INSARAGによりわが国初の出動チームとして認定されました。これらの人犬はいずれも「NPO法人救助犬訓練士協会(RDTA)」に所属しています。

今回は、日本で初めてINSARAG認定救助犬ハンドラーとなった同協会理事長村瀬英博氏と、同協会国内渉外担当の海自OB山田道雄氏を中心に災害救助犬の活動ぶりを紹介します。