山下塾 補講

山下 輝男

 平成23年3月11日に東日本大震災が発災し、震災関連死を含む死者・行方不明者数は2万人を超えました。国は、この大震災を踏まえて中央防災会議に下に「首都直下地震対策検討ワーキンググループ(WG)」を設置しました。
 本補講は、これらの検討結果等を踏まえた首都直下地震対策の最新の状況を皆様に提供するものです。

1 地震対策の新たなフェーズへ

 既に山下塾で説明している通り、平成17年9月に「首都直下地震対策大綱」が策定されたところであるが、東日本大震災の発災を踏まえて、下のスライドの③以下に示すように検討、特措法の制定、閣議決定等が矢継ぎ早に行われ、首都直下地震対策は新たなフェーズに入ったと云えます。



2 首都直下地震惹起の可能性、対象とする地震等

 次のスライドを見て頂きたいのですが、関東大震災を引き起こしたようなM8級の地震が発生する可能性は当面少ないものと思われます。然し、M8級の地震が発生する前にM7級の地震が頻発しています。従って、緊急に対策を講ずべき対象とすべき地震をM7級の地震におこうと云うことになりました。
 対象とする地震には、様々なタイプがあり、絞り込むのは困難ですが、特色のある19タイプの地震に整理してあります。それらはスライドの通りです。




3 対象とする地震の断層の位置を示したのが次のスライドです。断層が多いことに驚かれるのではないでしょうか?



4 次にお示ししておりますのは、首都直下地震の被害想定の概要を示したものです。

 これを多いとみるか少ないとみるか分かれるところですが、実際の被害が本想定を大幅に上回るのではないでしょうか?勿論、本想定でも日本沈没に相応する被害と云えるのでしょう。



5 被害の社会・経済への影響も計り知れません。その程度は次のスライドの通りです。

 日本の国家中枢機能の喪失は、何としても避けたいものです。巨大過密都市ならではの影響も甚大です。東日本大震災でも相当数の帰宅困難者が発生しましたが、書と直下地震でも相当数に上ると見積もられます。



6 首都直下地震対策大綱においては、1都6県の全てと長野、山梨、静岡の310区市町村を緊急対策区域に指定して、特別な対策をとることを計画しています。その緊急対策を説明します。2項をよく見て頂きたいと思います。



7 首都中枢機能を維持するための施策が示されています。日本がその中枢機能を喪失するというのは大変なことです。一時的な緊急避難も必要か知れません。勿論、その前にやるべきことは沢山あります。



8 首都直下地震対策検討ワーキンググループが示した対策の方向性をお示しします。

 この方向性に基づいて各種の施策が実施されると考えて良いのではないでしょうか?
 この種防災対策の基本は、事前準備の周到です。事前に措置すべき事項として実施すべき事項がスライドに示されています。



9 発災時の対応及び個人が実施すべき事項の基本的な考えはスライドの通りです。



10 主な施策としてワーキンググループが示した事項です。先ず、首都中枢機能の確保に関する施策です。



11 建築物の耐震化を促進することにより被害を大幅に軽減できるものと見積もられます。特に、多数の人が利用する公共施設の耐震化が望まれます。

ライフラインや交通インフラも耐震化を進め、被害の軽減と発災時の速やかな復旧を図るべきです。



12 火災対策も極めて重要です。出火防止や初期消火の実施により火災による被害の軽減は可能だと云われています。



13 発災時の応急対策も疎かには出来ません。所要の計画を策定し、必要な訓練を行って応急の体制を整える必要があります。最近、地方自治体相互の応援協定が締結されつつありますが、大規模な災害の場合には広域的な応援体制が必要です。



14 道路交通の麻痺は想像を超えるのではないでしょうか?そのような状況に如何に対応するかは極めて重要です。救命・救助活動や消火活動に障害を与えないように隠し施策を講ずる必要があります。

特に放置された一般車両の取り扱いは微妙ですね。緊急時には個人の所有権を制限されることもあり得ます。