九都県市合同防災訓練に参加して!
山下 輝男

 第8回九都県市合同防災訓練 図上訓練(さいたま市)に、本訓練を受託した総合防災ソリューション(http://www.dpsol.co.jp/)の依頼を受けた隊友会の一員として参加した。 小生は、2年前の平成26年1月15日に、同じくさいたま市の図上訓練に参加したのであるが、前回に比較して格段の進歩があると感じた次第である。以下、その報告である。

1 訓練の概要

 (1)訓練目的
  ①九都県市共通
   九都県市広域防災プランの検証、地域防災計画や災害応急対策に係る規定等の課題の摘出及び
   各災害対策本部の対応能力の養成
  ②さいたま市
   九都県市間の連携強化、関西広域連合との連携、マニュアルの習熟・検証→災害対応力の強化、
   市職員の災害イメージ形成
 (2)訓練実施日時・場所等
   平成28年1月15日(金)0930~1615
   さいたま市消防庁舎 危機管理センター、各執務室
 (3)特色等
  ①ロールプレイイング方式
  ②発災18時間後から23時間後までの5時間を想定
  ③改装された「危機管理センター」に、災害対策本部の主要セクション及び各部代表者・情報連絡員を
   参集させ、作戦室として運営
  ④仮想された関係機関をダミー機関として演習部に対応、物流オペレーションチームを危機管理センター内
   に設置


2 訓練風景



 危機管理センター内の状況 赤いベストが本部班、薄緑のベストが情報総括部、黄色いベストが物流オペレーションチーム、陸自の連絡員が参加した他国交省の職員も参加していた。


3 所見等

 OPルームでの研究会時に小生が参加職員に話した事項は次の通りである。
 (1)2年前に比較して、格段の進歩が見られた事項
  ①検討卓の活用
   OPルーム内に設けられた検討卓(状況等を表示した地図を中心に、関係者が集まって協議する場)の
   活用が前回よりも活用され、各セクション間の連携確認や情報共有等がなされた。
   唯、協議内容等の全員への情報提供や自身の班員への周知には改善の余地大
  ②情報の共有
   放送及びOHPによるOPルーム内の者に対する周知、ホワイトボードへの周知事項等の貼付により
   情報共有の努力をしており、前回より情報共有は進歩した。
  ③前回の教訓に基づくマニュアルの改善や業務遂行の改善
 (2)業務の焦点を認識し、努力の総合一体化の必要性
   状況の推移に応じ、災害対策本部の業務の焦点も変化するので、それを全員に明示して努力の総合一体化を
   図る必要がある。更なる工夫があろう。
   何時何を判断すべきかは、「状況判断の基本的要件」であり、それを常に意識して欲しい。
 (3)軽重緩急を考えた業務の遂行
   事態や状況の軽重緩急を適切に判断して、複雑多種多様な業務の優先順位を判断しなければ、長期的な対応、
   効率的業務も為し得ない。
 (4)倉庫管理や物流管理の重要性
   阪神淡路大震災時の経験をもとに、倉庫管理(被災地周辺に滞留した大量の救援物資等の保管・記録・払出等)
   の為に1個連隊規模の部隊を派遣したこと、必要な物資を如何に調達し、入試、それを如何に効果的に
   配分するかが重要である。その為のチームを編成して対応しているが、更に改善の余地があるようだ。
 (5)市役所は巨大な組織
   市長の主催する本部員会議を見せて頂いたが、部長等が20名近くおり、吃驚した次第である。頭が
   でかすぎて、大変だなと云うのが素直な所見である。軍事組織は極めて簡潔であり、これに比して
   余りもの巨大さは機能発揮するのだろうか?
   この巨大組織で如何に複雑な業務に対応するか真剣に検討する必要があると考えるが、どうだろうか?
 (6)グレーゾーンへの対応
   物流OPチームは災害対応時のみ編成されるセクションであり、事前に十分に検討されていたとはいえ、
   明確でない部分もあったようだ。平時なら、いざ知らず、有事の場合には特にグレーゾーン的な案件が
   多数惹起するはずだ。それに対応するには職員の意識改革が必要だろう。
 (7)マニュアルの整備や訓練成果の蓄積を!
   このような訓練を重ねることによって、着実に災害対応能力は向上する。然しながら、年年歳歳、
   人事配置は変化し、人は変わるものであるので、誰でもある程度は対応できるようにマニュアルの
   整備は不可欠である。


4 終わりに

 首都直下型地震等の切迫性が叫ばれる中で、その対応力の向上が重要である。第8回を数える九都県市の合同防災訓練が益々充実するよう期待したい。総合防災ソリューションのような危機管理訓練を請け負うような組織の存在はそいう点でも有益である。