東日本大震災における危機管理(1)
政府事故調中間報告(概観及び政府諸機関の対応の問題点)
山下輝男
 今回からは、東日本大震災やその他スライドにお示ししているような事件・事故を題材として危機管理を考えていきたいと思います。
東日本大震災については、危機管理状の論点が沢山ある福島第一原発字をメインにします。
 福島第一原発事故事故調査・検証委員会の中間報告が、暮れも押し迫った12月26日に発表されました。
最終報告は夏になるそうです。

国会においても調査委員会が調査しており、民間レベルでも調査が進んでいるようですが、それらを待つことなく検討を加えてみましょう。
時に政府首脳の判断等が詳らかになっていないのが残念です。
中間報告とは別に小生が問題だと考える事項についても説明させていただきます。
事故調の中間報告は、500頁以上に上る膨大なボリュームとなっております。中間報告に記載されている問題点は、5項あり、それらはスライドに示す通りです。

OFCはオフサイトセンターです。
夫々の項目の詳細は順次説明致します。
 先ず最初は、政府諸機関の対応の問題点です。
大きく、現地対策本部の問題と原子力災害対策本部の問題点が列挙されています。

 現地における対策の要である現地対策本部は、オフサイトセンターに置かれることになっていますが、その重要なオフサイトセンターが機能不全に陥ってしまいました。
参集すべき要員が交通トラブルにより参集できず、地震による通信インフラの麻痺、モニタリングポストの破損、食料・水・燃料の不足等があり、更にオフサイトセンターに本来放射性物質を遮断する空気浄化フィルターが設置されていなかったがために、オフサイトセンターが使用できなかったという状況が起きました。考えられないですね。

 現地対策本部に対し権限委任すべきであったにも関わらず何故かそれが実施されなかった。
情報収集においても、本来の責に任ずるべきセクションや職員がその職責を果たしていないと指摘されています。官邸における態勢にも極めて重大な問題点がありました。
 発災当初の事故対応組織図です。
原災本部は官邸におかれ官邸地下の危機管理センターに官邸対策室が置かれることになっていますが、管首相等は官邸5階、地下には緊急参集チームが所在し、分離してしまいました。
更には原子力災害時の事務局を務める保安院のERCは経産省におかれていました。この体制はどう見ても異常ですね。
 危機管理上の論点は何でしょう?
ヘッドとその補佐セクションが分離して正常に機能するはずがありません。二元指揮ではありませんが、それに近い状況が生起する可能性もあります。
二元指揮の弊害はいうまでもないでしょう。

 緊急時の情報の集約と共有の重要性は、言わずもがなですが、それが為されていたでしょうか?
情報がないから東電本部に乗り込んで統合対策本部を新たに開設したのでしょうが、俄仕立ての組織がうまく機能するはずもないし、そもそも機能や役割の異なる組織機能を統合してスムースに意思決定等が出来るでしょうか?

 オフサイトセンターという緊要な建物組織がいざという場合に使えない等ということがあって良いものでしょうか?
怠慢と謗られても致し方ないでしょう。

 原災本部の事務局や情報収集責任のある保安院はその任務を積極的に果たしているのでしょうか?
中でも発災時に原発に所在していた保安検査官の行動には唖然とさせられます。
大臣命令で原発に引き返して免震重要棟に閉じこもり、積極的な情報収集に務めなかったというではありませんか。