手記『東日本大震災-災害救助犬出動す』の配信開始に当たって

NPO法人救助犬訓練士協会・防災士 山田道雄

「東北地方太平洋沖地震」の発生後1ヶ月を迎えました。4月10日現在、東日本大震災の被害は死者13,013名、行方不明者14,608名、負傷者4,684名(警察庁まとめ)を数えております。亡くなられた方には心からご冥福をお祈り申し申し上げます。また、被害を受けられた皆様にも心からお見舞い申し上げます。

地震発生後、われわれ災害救助犬チームはいち早く現場に駆けつけて微力ながら災害救助活動のお手伝いをさせていただきました。また、現在も一部のチームは行政側の要請に基づき、心ならずもご遺体捜索のお手伝いをさせていただいております。

今回はわが国として未曾有の大災害ということで、「想定外」とかいった言葉で代表される防災上の準備不足、災害対策の不備が髄所で指摘されています。災害救助犬の分野においても例外ではありません。地震発生後直ちに海外各国からの救援部隊とともに災害救助犬が派遣され続々入国して来ましたが、放射能に対する危惧からという事情があるにせよ、これら救助犬チームが適切に活用されたかには大いに疑問があり、今後十分な検証が必要かと思います。同様に、あるいはそれ以上にわが国の災害救助犬が初動段階において広大な被災地に適切に投入、運用されたかについては、十分に検証される必要があります。

いわゆる災害先進国日本において、驚くことに災害救助犬を保有する公的機関はなく、僅かに警視庁の警備犬が国際緊急援助隊の救助犬部隊(約3頭)用として保有しているに過ぎません。自衛隊では航空自衛隊が歩哨犬、海上自衛隊が警備犬として基地や燃料庫、弾薬庫の警備に使用されていますが、海上自衛隊呉造修補給所貯油所の警備犬が試行的に救助犬の訓練を取り入れ、昨年やっと2頭の国際救助犬(瓦礫捜索)の資格を取得したのが現状です。諸外国では軍又は人命救助担当の消防が救助犬を保有しているのが一般的ですが、わが国の消防は何故か救助犬を保有せず、またその意思もないようです。

公的機関がこのような現状なので、民間の犬関係の団体それぞれが独自の審査基準を設けて認定した、いわゆる「救助犬」は約300頭以上居ると言われます。一方、国際救助犬連盟(IRO)の審査基準に基づく国際救助犬試験の合格犬はきわめて少なく、せいぜい年間10数頭の認定犬に留まります。また、自治体や救助関係機関においては災害救助犬に興味は示すものの、その能力や運用についての認識不足から、災害現場や訓練において必ずしも適切に活用されていません。

このような現状において、今回警察庁の依頼によりNPO法人救助犬訓練士協会(RDTA) 6頭、海上自衛隊2頭計8頭の国際救助犬が一緒に活動したことはきわめて画期的なことでした。出動時の手記を参考に単なる事実経過のみでなく救助犬の能力や限界について紹介しつつ、その出動体制や運用について反省教訓事項を分析し、今後の国としての施策を提言して参ります。配信は週1回、計5回程度を考えています。