日米安保体制(その2)
2 日米安保体制の今日的意義と指針
(1)日米安保体制の今日的意義

「国際社会の平和と安定」と「我が国の安全の確保」は我が国の平和と繁栄の基盤・基礎であります。
日米安保体制は、この国家目的・国家目標に対して次のよう役割を果たしています。

① 我が国の安全の確保
今日の国際社会においては、一国のみでは自国の安全確保は困難となってきています。
基本的価値を共有し、経済的関係も深く、太平洋国家としての共通の地政学的地位にある米国との同盟が適切であります。

② 我が国周辺地域の平和と安定の確保への寄与
安保条約第6条:「極東における国際の平和と安全の確保」我が国の安全=極東と言う我が国を含む地域の平和と安全。

図表―12 我が国周辺地域の不安定要因

日米両国の緊密な協力関係は、我が国周辺地域の平和と安定にとって必要な米国の関与を確保する基盤となっています。

③ 日米安保は、日米の包括的・総合的な友好協力関係の基礎
日米安保体制は、防衛面のみならず、政治、経済、社会などの幅広い分野における日米の包括的・総合的な友好・協力関係の基礎です。

④ 国際的な安全保障環境の改善への寄与
日米安保体制を基調とする日米協力関係は、わが国外交の基軸であり、多国間の安全保障に関する対話・協力の推進や国連の諸活動への協力などにより、国際社会の平和と安定に寄与しています。
国際社会の平和と繁栄は、わが国の平和と繁栄と不可分であります。

(2)日米防衛協力のための指針(ガイドライン)

平成8(1996)年の日米安全保障共同宣言の見直しを受けて、日米安保体制の信頼性の更なる向上を図るため、ガイドラインを見直し、平成9(1997)年、所謂「2+2」会合において、新たな「日米防衛協力のための指針」が了承されました。 

ア ガイドラインの概要

図表-13 ガイドラインの概要

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イ 我が国に対する武力攻撃に際しての対処行動

○役割分担
自衛隊:主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦米軍:自衛隊の作戦支援、自衛隊の能力を補完するための作戦
○作戦構想
①航空侵攻対処:自衛隊は防空作戦を主体的に、
②日本周辺海域及び海上交通の保護のための作戦:自衛隊は重要港湾・海峡の防備、日本周辺海域の船舶保護、その他の作戦
③着上陸侵攻対処:自衛隊は主体的に、米軍は能力補完、早期兵力来援による支援
④その他
ゲリ・コマ攻撃等対処:自衛隊が主体的に実施
弾道ミサイル攻撃:米軍は情報提供、必要に応じ打撃力を有する部隊の使用考慮
○自衛隊と米軍は、各々の指揮系統に従って行動
日米間の調整メカニズム、
通信電子・情報及び後方支援活動についての調整、協力・支援等

ウ 周辺事態に際しての協力

○日米両国政府が各々主体的に行う活動への協力
①救援活動及び避難民への対応のための措置
②捜索・救援
③非戦闘員を退避させるための活動
④国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保する為の活動

○米軍の活動に対する日本の支援
①施設の使用
②後方地域支援(戦闘地域以外、政府・地方公共団体及び民間能力の適切な活用
○運用面における日米協力
自衛隊:情報収集、警戒監視、機雷の除去等
米軍:平和と安全の回復のための活動

エ ガイドラインに基づく日米調整のシステム
日米両国政府は、あらゆる機会を捉えて情報交換と政策協議を充実させる他、協議の促進、政策調整及び作戦・活動分野の調整のために次の二つのメカニズムを構築しました。

(ア)包括的なメカニズム

平素における日米共同作業
共同作戦計画と周辺事態における相互協力計画の検討

図表―14 包括的メカニズムの概要

(イ)調整メカニズム

図表―15 武力攻撃や周辺事態時の活動調整

日米合同委員会
(地位協定に関する政策的調整)
日米政策委員会
(合同委員会の権限外の事項の政策的調整)
日米共同調整所
(自衛隊と在日米軍双方の活動調整)
合同調整グループと日米共同調整所は相互調整・情報交換を実施

オ ガイドラインの実効性を確保するための諸施策

 (ア)指針の実効性を確保するために
①周辺事態における日米協力との観点からの「法的整備」
○周辺事態安全確保法
○船舶検査活動法
②武力攻撃事態等における協力の観点から有事法制整備の一環としての「米軍の行動の円滑化のための措置」が講じられています。
例えば、自衛隊による物品及び役務の提供、指定行政機関による必要な措置、地方公共団体や事業者による協力(協力要請に応ずるべく努める。)等

 (イ)周辺事態安全確保法
①周辺事態の定義:そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃にいたる恐れのある事態等わが国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態
②対応の基本原則
○ 適切かつ迅速に、必要な措置を実施し、我が国の平和と安全の確保
○ 武力による威嚇又は武力の行使に当るものであってはならない。
③自衛隊が行う活動
○ 後方地域支援
○ 後方地域捜索救助活動
④後方地域支援の概要
周辺事態に際して日米安保の目的達成に寄与する活動を行う米軍に対し、後方地域において我が国が行う物品・役務の提供、便宜の供与等の支援です。
実施主体:内閣府や国家行政組織及び特別の機関
地方公共団体や国以外の者に対して協力を依頼することができます。


⑤後方地域捜索救助活動
周辺事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者を後方地域において自衛隊が行う捜索救助活動(救助者の輸送を含む)
(我が国と規定されてはいますが、3条2項において自衛隊の部隊等と指定されています。)
戦闘参加者以外の遭難者も救助することが可能です。

図表-16 自衛隊が行う後方地域支援の内容


図表―17 後方地域捜索救助活動のイメージ図

 (ウ)船舶検査活動
周辺事態に際し、我が国が参加する貿易その他の経済活動日華悪規制措置の厳格な実施を確保する目的で。船舶(軍艦などを除く)の積荷・目的地を検査・確認する活動及び必要に応じ船舶の航路・目的港・目的地の変更を要請する活動です。
国連安保理決議に基づき、旗国の同意を得て、自衛隊が、領海及び周辺の公海で実施します。

3 日米同盟の将来に関する安全保障面での日米協議
(1)日米協議の基本的考え方

ア 日米協議の地位
日米同盟の能力を、時代の変革にあわせて如何に実効的なものに向上させていくかとの観点から、両国間の安全保障に関する戦略的な対話の一環

イ 我が国の基本的方針
防衛大綱に示された考えに基づき、「抑止力の維持」と「地元負担の軽減」

ウ 狙い
「米国のコミットメントの信頼性と実効性の向上」
「確固たる両国民の幅広い支持が必要」

(2)共通戦略目標(第一段階)の確認

地域及び世界において、日米が防衛・安全保障面でその達成に向けて協力すべき
戦略目標はスライドの通りです。

図表―18 共通戦略目標

図表をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。

要するに、日・米・豪・印及びASEANとの強い連帯を梃子に、中国、北朝鮮、イランに所要の平和的・建設的な働き掛けを行うということに尽きるのだろうと考えられます。

(3)日米の役割・任務・能力(第2段階)

ア 基本的な考え方

日米協議の主テーマについての基本的考え方は、①及び②のとおりです。

①「新たな脅威や多様な事態への対応を含む日本の防衛・周辺事態への対応における日米協力」
図表―19の通りです。

図―19 国際的な安全保障環境改善のための取組みにおける日米協力

②「国際的な安全保障環境の改善のための取組みにおける日米協力」 図表―20の通りです。

図―20 国際的な安全保障環境の改善のための取組みにおける日米協力

イ 日米間の安全保障・防衛協力において向上すべき活動の例

詳細は割愛するが、防空、弾道ミサイル防衛,PSI、テロ対策等15項目が例示されている。勿論これらに限定されているわけではありません。

ウ 日米の安全保障・防衛協力の態勢を強化するための不可欠な措置

詳細は割愛しますが、次のような措置を講じることとしております。
①政府全体として取り組むべき措置
(緊密且つ継続的な政策及び運用面の調整、計画検討作業の進展、情報共有及び情報協力の向上)
②自衛隊と米軍の間で取り組むべき措置
(自衛隊の米軍の相互運用性の向上、日本及び米国における訓練機会の拡大、自衛隊及び米軍による施設の共同使用、弾道ミサイル防衛)

エ 日米の安全保障・防衛協力の強化・拡大
ガイドラインの下での日米協力やガイドラインで取り上げられていない追加的な分野における日米協力の実効性を強化し、改善することとされました。細部は割愛します。

(4)在日米軍などの兵力態勢の再編(第3段階)

ア 在日米軍再編の背景

RMAの進展等による米軍のグローバルな再編の必要性(指揮や誘導のために司令部等を前線に保持する必要性が減少、経済的な負担軽減、海外勤務による兵士の負担軽減、駐留国の心理的抵抗感)日本側にとっても、地元の負担の軽減に対する要求が増大

イ 再編の狙い

米軍の抑止力の維持が大前提
○ アジア太平洋地域における抑止力である在日米軍の安定的プレゼンスを確保
○ 日米安保体制を基盤とする日米同盟を新たな安全保障環境に適応もって、我が国の平和とアジア太平洋地域における平和と安定を確固たるものにすることにあります。

ウ 再編の概要

① 自衛隊と米軍の連携の強化
米軍と自衛隊の司令部併置、情報共有の促進、共同使用基地と共同訓練の拡大
② 沖縄をはじめとする地元の負担の軽減
普天間飛行場の移設、航空機の移駐、関東地区の再編等
:抑止力維持のために、海兵空地任務部隊は引き続き沖縄に配置されるが、グァムに移転が予定されている部隊や機能は、ⅢMEFの指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部等の司令部機能であることに留意する必要があります。

図表―21 在日米軍の再編計画の概要

(防衛省HPから転載)